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第一章 終わりと始まり
13 陛下と現騎士団長
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ジークハルトが、あわあわしていると扉が開いて陛下と現在の騎士団長が入ってきた。
現在の騎士団長は、ジークハルトの父で、以前の生では何度か見かけた程度だが知っている。
陛下が、少し不機嫌そうなので、僕は首をかしげた。
すごく困っているようでもあって陛下の眉が下がっている。
陛下は僕とジークの様子を見て、眉は下げたままだが嬉しそうに微笑んだ。
「ラスティ、ジークハルトはどうだい?」
どうと言われても…と僕は陛下を見た。
騎士団長は、やれやれとジークハルトの頭をがしがしと撫でている。
「うまく行ったか?」
ジークハルトは、首を横に振った。
「目の前に…いらっしゃるだけで胸がいっぱいで…失礼なことばかりしてしまいました。」
いや…何も失礼なことしていなしと思うが騎士団長と陛下が何故かすごく嬉しそうに笑った。
騎士団長は、顔を引き締めてうむぅと唸ると陛下の方を向く。
「まぁ…ディオス、お前が独占欲が強いのはよーく知っているが、俺も息子のために少しは、父親らしいことがしたいんだ。年齢的には、息子の方がラスティ様の相手に良くないか?」
陛下はため息をついて僕を抱き上げると騎士団長を軽く睨む。
「独占欲が強いとは心外だな。いきなり、王妃を自分の息子に寄越せと言われて、お前を息子ともども国をたたき出さなかっただけ私は心が広いと思うが?」
騎士団長は、はははと豪快に笑った。
物騒な会話だなと思いつつジークハルトを見る。
ジークハルトは耳まで真っ赤になっていた。
何でだ?
陛下はそれを見て、更に眉を下げた。
すごく困っているようだ。
えっと…話についていけません。
「まぁ…ジークのこの様子をみたら無下に否とは言えないけど…言えないけどもだ……うう…うぅ~。やっぱりだめ。ラスティは私のだ。」
騎士団長は、頷く。
「わかっているさ。ディオスも本気だってこともな。ただ、少しばかりうちのせがれにもチャンスをやってほしいんだよ。今まで無表情で赤子の時ですら泣きもしなかったこいつがだ…ラスティ様を見た途端この調子だ。うれしいやらあきれるやら、どうしたものか…は、俺もだが…この変化をつぶすわけには……俺には無理なんだよ。」
陛下も頷いた。
「ああ…そこはわかっているよ。私だって嬉しいさ…。けど、ラスティは…ダメなんだよ。他のものならって思うけど……ラスティを私も手放す気はないんだ。手放せないよ。」
はぁ…と陛下はため息をついた。
「あの???」
陛下は僕を見てどう説明をしたものかと考えてから、口を開いた。
「ラスティは私のお嫁さんとして今ここに居ることは…わかっているかな?」
頷く。
「で…目の前の顔のこわい、体のいかつい大男は、この国の騎士団長って強くて偉い人で、私の従兄弟でもある、バルハルトというんだ。公爵だね。」
僕は、うなずういて今更ながら挨拶をする。
「ラスティです。よろしくお願いいたします。」
陛下が離してくれないので、無礼ながら抱っこされた体制でお辞儀してにっこりと笑う。
騎士団長が、うぬぅと呻いてから微笑んだ。
「ディオ……こほん、陛下が言ったとおりの関係だ。バルハルトだ。よろしく。小さなお妃さま。」
微笑むバルハルト公は、一気に優しい雰囲気になる。
真面目な顔だと少し強面だけれども、綺麗な顔なのだ。
ジークハルトと同じ色の髪を短髪にしていた。
陛下とジークハルトは、髪を長くして後ろで一つにくくっている。
いや、王家の人間や貴族は殆ど、首を守るという理由でその髪型だ。
僕は、末席だったし来たばかりなので短いけど。
そう考えるとバルハルト公の、短髪は珍しい。
緑色の瞳が、優しい色をたたえて僕を見つめている。
陛下がジト目で騎士団長…バルハルト公をにらんだ。
「お前な…私やお前の息子のことを言えなくないか…。」
バルハルト公はため息をつく。
「いや…親子だし好みも似るのは当たり前だろう。とは言っても、お前みたいにこんな小さな頃から囲い込むとか、娶るとかはしない。お前と違ってそこまで外道ではないからな。」
陛下は言いたい放題だなと苦笑する。
バルハルト公は、肩をすくめた。
「ともかくだ。無茶を承知でこちらもあんたに言ったんだ。俺もあんたの要求はできる限り飲む。だから、こいつにチャンスだけは与えてやってくれ。ラスティ様をジークハルトの嫁にくれないか?」
はい??なんて???
僕は目を丸くする。
陛下は、ううーんと頭を抱えた。
現在の騎士団長は、ジークハルトの父で、以前の生では何度か見かけた程度だが知っている。
陛下が、少し不機嫌そうなので、僕は首をかしげた。
すごく困っているようでもあって陛下の眉が下がっている。
陛下は僕とジークの様子を見て、眉は下げたままだが嬉しそうに微笑んだ。
「ラスティ、ジークハルトはどうだい?」
どうと言われても…と僕は陛下を見た。
騎士団長は、やれやれとジークハルトの頭をがしがしと撫でている。
「うまく行ったか?」
ジークハルトは、首を横に振った。
「目の前に…いらっしゃるだけで胸がいっぱいで…失礼なことばかりしてしまいました。」
いや…何も失礼なことしていなしと思うが騎士団長と陛下が何故かすごく嬉しそうに笑った。
騎士団長は、顔を引き締めてうむぅと唸ると陛下の方を向く。
「まぁ…ディオス、お前が独占欲が強いのはよーく知っているが、俺も息子のために少しは、父親らしいことがしたいんだ。年齢的には、息子の方がラスティ様の相手に良くないか?」
陛下はため息をついて僕を抱き上げると騎士団長を軽く睨む。
「独占欲が強いとは心外だな。いきなり、王妃を自分の息子に寄越せと言われて、お前を息子ともども国をたたき出さなかっただけ私は心が広いと思うが?」
騎士団長は、はははと豪快に笑った。
物騒な会話だなと思いつつジークハルトを見る。
ジークハルトは耳まで真っ赤になっていた。
何でだ?
陛下はそれを見て、更に眉を下げた。
すごく困っているようだ。
えっと…話についていけません。
「まぁ…ジークのこの様子をみたら無下に否とは言えないけど…言えないけどもだ……うう…うぅ~。やっぱりだめ。ラスティは私のだ。」
騎士団長は、頷く。
「わかっているさ。ディオスも本気だってこともな。ただ、少しばかりうちのせがれにもチャンスをやってほしいんだよ。今まで無表情で赤子の時ですら泣きもしなかったこいつがだ…ラスティ様を見た途端この調子だ。うれしいやらあきれるやら、どうしたものか…は、俺もだが…この変化をつぶすわけには……俺には無理なんだよ。」
陛下も頷いた。
「ああ…そこはわかっているよ。私だって嬉しいさ…。けど、ラスティは…ダメなんだよ。他のものならって思うけど……ラスティを私も手放す気はないんだ。手放せないよ。」
はぁ…と陛下はため息をついた。
「あの???」
陛下は僕を見てどう説明をしたものかと考えてから、口を開いた。
「ラスティは私のお嫁さんとして今ここに居ることは…わかっているかな?」
頷く。
「で…目の前の顔のこわい、体のいかつい大男は、この国の騎士団長って強くて偉い人で、私の従兄弟でもある、バルハルトというんだ。公爵だね。」
僕は、うなずういて今更ながら挨拶をする。
「ラスティです。よろしくお願いいたします。」
陛下が離してくれないので、無礼ながら抱っこされた体制でお辞儀してにっこりと笑う。
騎士団長が、うぬぅと呻いてから微笑んだ。
「ディオ……こほん、陛下が言ったとおりの関係だ。バルハルトだ。よろしく。小さなお妃さま。」
微笑むバルハルト公は、一気に優しい雰囲気になる。
真面目な顔だと少し強面だけれども、綺麗な顔なのだ。
ジークハルトと同じ色の髪を短髪にしていた。
陛下とジークハルトは、髪を長くして後ろで一つにくくっている。
いや、王家の人間や貴族は殆ど、首を守るという理由でその髪型だ。
僕は、末席だったし来たばかりなので短いけど。
そう考えるとバルハルト公の、短髪は珍しい。
緑色の瞳が、優しい色をたたえて僕を見つめている。
陛下がジト目で騎士団長…バルハルト公をにらんだ。
「お前な…私やお前の息子のことを言えなくないか…。」
バルハルト公はため息をつく。
「いや…親子だし好みも似るのは当たり前だろう。とは言っても、お前みたいにこんな小さな頃から囲い込むとか、娶るとかはしない。お前と違ってそこまで外道ではないからな。」
陛下は言いたい放題だなと苦笑する。
バルハルト公は、肩をすくめた。
「ともかくだ。無茶を承知でこちらもあんたに言ったんだ。俺もあんたの要求はできる限り飲む。だから、こいつにチャンスだけは与えてやってくれ。ラスティ様をジークハルトの嫁にくれないか?」
はい??なんて???
僕は目を丸くする。
陛下は、ううーんと頭を抱えた。
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