不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

文字の大きさ
上 下
12 / 233
第一章 終わりと始まり

12 護衛騎士?

しおりを挟む
朝ごはんを食べて、陛下は朝議に。
流石に僕は陛下のお部屋でお留守番。
寝室のほうではなくて私室のほうね。
のんびりと絵本を眺めていた。

と、そんな僕の前に一人の少年が座っている。
僕の護衛騎士だという。
二歳年上の少年。

鋭い目つきをしているけれど、僕を見ている目はやわらかで優しい。
金の髪とラベンダー色の瞳。
陛下よりは少し青みが強い瞳かな。
髪の色も金と言うよりはクリーム色?
少し薄い感じがする。

朝議に行く前の陛下が呼んだ少年。
ジークハルト・チューベローズ。

騎士団長の息子で僕は違って王家に近い貴族の家柄。
公爵家の息子だ。

僕の護衛騎士になったのだという。
僕の幼馴染、未来の騎士団長でもう一人のラスボスでもある。

ゲームでは、とにかく固くて一撃が重い。
魔力での攻撃力はそこそこだけど、とにかく体力と防御力、攻撃力がやばい。
魔法防御力も強いから、魔法もだめ。
能力低下の任務をこなさないと一撃でゲームオーバーでたらめな強さ。

にこにこと目を細めているジークハルトの首をかしげる。
さっきこそっと鑑定を使ってみたら、数値はやっぱり異常。

8歳にして大人は軽く超えている。
彼の父、現在の騎士団長もかなりの強さだけどもな。
王家の血をっ持つものは破格の強さでも持っているのだろうか。

その割にはエスターへぼい。

「ラスティ王妃様、どうかしました?」

王妃…。
そうね、僕王妃ね。
うん、ちょっとその呼び方は慣れないな。
そう思いながら首をかしげる。

「王妃……様……が…慣れません……。」

違和感しかない。
ジークハルトは僕の様子を見て首を傾げた。
困惑している僕を見て、うーんと唸った。

「えっと…失礼でなければ…ラスティ様?」

うん、そっちの方が良いかな。

「はい。そちらがいいです。」

ぴしりと背中を伸ばして答える。
ジークハルトは、にっこりと微笑んだ。

「うふふ、可愛いなぁ。」

はい?
ジークハルトは、ついと頭をかいた。

「俺…こほん、私は幸せです。こんなにカワイイ王妃様に仕えることができるなんて。」

にこにこと微笑んでいるジークハルトに僕は困ってしまう。
実のところジークハルトが僕の護衛騎士になってくれたのはうれしい。
頼りになるお兄ちゃんって感じだし。
でも、護衛騎士になるということは、ジークハルトの将来にとっては良くないように感じる。

ジークハルトは、騎士団長になる人だ。
護衛騎士になったら騎士団長になるのが難しい。

騎士団は身分問わず強いものが集まる。
そこの団長になるには、やはり騎士団に入り実力を認められる必要がある。

護衛騎士は、王宮を守る騎士。
貴族の子息が多く騎士という称号だけだなどと言われてしまうこともある。
実際、大半の騎士がお飾り。

けれども、王や王子、王妃にも専属の護衛騎士は違う。
専属の騎士となれば血筋もさることながら優秀でなければならない。
ジークハルトは公爵家であり優秀だ。
能力だってダントツ。
護衛騎士の資格は十分にあるだろう。

けれども、専属の護衛騎士になれば、解雇されるまでずっとその地位。
この国の正式な騎士、聖騎士になることが難しくなる。
騎士団長になれる機会も失ってしまう。
騎士としては聖騎士になって、騎士団長になることが夢だろう。

ジークハルトは聖騎士であることを、とても誇りに思っていたのだから。

「ジークハルト様が…聖騎士になれなくなってしまいます。」

彼は不思議そうに首をかしげた。

「私は別に聖騎士になるつもりはありません。ラスティ様の護衛騎士のほうがいいです。」

ずっと傍で守ってあげれますから。
そうジークハルトは、笑う。
うむぅ??僕は初対面ではないけど、ジークハルトは、僕と初対面のはずだよなぁ。
ステータスの好感度は一旦おいといて。

「えっと…その、僕以前のことが曖昧で…僕…ジークハルト様に会ったことが?」

ジークハルトは、首を横に振った。

「いえ、その…ラスティ様が今回登城された時にお見かけしまして…かわいいなぁと…。」

ジークハルトは、僕を見つめたまま、うっとりとした目を向けた。
まて、ちょっとまて。

「あまりに私がその…ラスティ様を見ていたので…その…父が陛下に……。」

しどろもどろになっていくジークハルトに、僕は唖然とした。
いやいや…ジークハルトってこんな感じではなかったような。
頼れるお兄さんって感じで…えーと…あれ?

いや…僕にはやっぱりあまあまだったけどもだよ。



ここまででは、なかったよぅ~。
これが虹色好感度の威力ですか???
なにそれ???


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

処理中です...