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第一章 終わりと始まり

09 この世界の神様

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聖者は教会にいる。
教会には、大神官がいて神様について教えてくれる。

神さまがこの世界にはきちんといる。
僕の眼を通して世界を見てるのかなぁ。

でも神様って別に僕の眼で見なくても世界は見渡せそうだけど。

この世界の神様は一人。
この世界を作って二人の人を生み出し、空に昇ったとされている。
空から人々を見守るために。

一人は、人々見守るための眼。
僕の持っている金の瞳。

空からだと良く見えないからという理由らしいけども。

もう一人が聖者。

金の瞳を持つ者が子を産み、人を増やす。
聖者は清く正しく生きれるように、人々を導く。

金の瞳を持つ者は王となり人々を産み育み見守り繁栄した。
聖者は教会をつくり、人々を癒し安寧へと導いた。

という創世神話。

この世界は前世のように宗教がいくつも分かれているような世界ではない。
一つの創世神話を信じられてる世界だ。

人々はそれを信じている。
教会は聖者が必要だし、王家には金の瞳が必要ということでもある。

その神話の所為もあってか、金の瞳を持つものは、結構ひどい目にもあったりする。
まぁ、金の瞳をもつものは、良い子を産むとも言われているから、王家の人間にもっと多くの金の瞳の人が居た時はこぞって貴族が欲しがった。
その所為で王家の血が薄まったという人も居る。
金の瞳を持つ者は子供を産むためだけに扱われるようなそんな時代もあったらしい。
その古い考えに寄りつかれている者は今もいる。

ふと頭に浮かんだ言葉に眉を寄せた。

ー そいつは、相手が誰でも、足を開くような恥知らずなのでしょう? ー

幼いエスターの声でそれは再生された。
たぶん、僕はこの生の今までのことが記憶が曖昧だけど、曖昧な時期に彼に言われたのだろうなと思う。

…はい?この8歳児どうなっているの?
おかしくない??
いや…そりゃぁ教会にぶちこまれますわぁ~。
8歳児王子が足開くとかいったらだめなやつ。

でも、金の瞳をもつ者は、そう言われることもある。
神話で、子供を産むための系にされてるから。
子供を産む=弱いを良しとする恥知らず。
この思考はダメだろう。
前世の世界だったらボコボコだぞ?エスター。

とはいえ、この世界は、弱肉強食。
まぁ弱肉強食と言っているのは僕だけ。
そんな言葉がこの世界にあるわけではない。
強い者が弱い者を思うままに利用しているこの世界の考え方が何となく似てるかなと。
別の意味で、強い者に弱いものは食われちゃうし。

子供を産んで紋章が消えたら、さっさと子供もパートナーを置いて行ってしまう人が多いのもその所為だ。
子供を産むということはパートナーより弱いということ。
力がすべてのこの世界。
弱いことは恥ずかしいこと。
それを屈辱ととらえる者も多い。

神様の瞳という教えは、今はただの神話。
でも、金の瞳を持つ者は多くの確率で、神話の通り華奢で力の弱い外見で生まれる。
弱さを良しとする金の瞳を持つ者を侮蔑する考えを持つ者はいる。

どんだけ時代錯誤というか…。

まぁ一部だけだけどね。
そんな人は一部だけど、いるということは確かだ。
そしてエスターはその考えの持ち主だということ。

僕にとっては要注意。

金の瞳を侮蔑対象として見るものは、聖者を崇拝していることが多い。
同じく華奢な外見で生まれることが多いけど、清く正しく生きている強さがある。
聖者は、普通の人には無い聖なる神の力が使える。
それはとても強力だ。
そもそも、人と交わらない聖なるもの。
金の瞳を持つ者は、外見は同じような者でも存在が正反対と思われているようだ。
実際、教会の教えでは金の瞳を持つ者は敬っているようで貶している表現だ。
エスターは、教会で教育されれば敬虔な信者となるのだろう。

本質は、暴走わがまま王子のままだろうけど。

余計に、僕を攻撃してきそうだけど。

今度、僕の前でそれを言ったらエスターを後悔させてやろう。
今までのこともある。
僕だって、やられっぱなしでいたくはない。

いままでのラスティの分も反撃したっていいよね?

金の瞳の者は総じて魔力も高い。
腕力だけで考えているからそんな偏見を持つのだ。

別に、外見が華奢だからって弱いわけではない。
この世界の力は、腕力だけではない。
知力も力だし、魔力も力だ。

今の僕は、魔力だけなら下手な大人より上だ。

外見に騙されてると痛い目にあうぞ?
王子でなくなったという謎の変化。

まぁ、妃という別の危機はあるけれど。
これをチャンスとしてこのループから抜け出したい。


いい加減、あいつらのために死ぬのも嫌だしな。


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