不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第一章 終わりと始まり

01 北の塔の青空

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城の北の塔。
王族の罪人が、幽閉される塔。

遠くから見るとこの城は真っ白で美しい。
きっと今日も美しく人々の眼には映っているのだろう。
顔を上げると美しい青い空。

僕は、それを眺めながらため息を吐いた。

もここが僕の最後の場かと。

ぼんやりと手の中の指輪を見た。
この台座に毒が仕込まれている。

これで、王族としての誇りを保ったまま死ね。

義理兄である、第一王子のエスターはこれをそう言って僕に投げた。

まぁ…彼はそれを後悔することになるのだが。

だって、僕を罪人だと思っているのは彼の思い込み。
彼がそれに気が付いたときは僕はこの毒で死んでいる。


「何度目かなぁ…」


僕の名はラスティ・ミント・フォレストローズ。

フォレストローズ王国の第二王子。

あまり、自分での自覚は無いけれど絶世の美少年らしい。

金糸の髪に金の瞳。
金の瞳は特別で王族の中で、稀にしか生まれない。
この世界では金の瞳は神の瞳。
神様が金の瞳の者を通してこの世界を見ているのだという。

まぁ…そんな伝説信じている人は、あまりいない。

自分も瞳にそんな力があるとは思っていない。
けれど…少しだけそうなのかもしれないとも思うことはある。

この金の瞳を持つ者は、今は僕だけだ。
そして、金の瞳を持つ者は、国王に引き取られる。
これは決められていること。
引き取られ方は様々だけど。
大体、王子や妃。

僕、ラスティも国王陛下とは親子関係ではない。

陛下とは、遠い親戚。
両親は王族ということも知らなかったくらい。
そのくらい離れている。

金の瞳の僕が生まれて両親はとても驚いたという。
両親は、陛下に僕の瞳のことを報告した。

自分たちでは守れない。
どうか助けてほしいと。

陛下は快く僕を引き取った。
そして、彼は僕をとても可愛がってくれていた。

陛下はよく国を治めている優秀な国王。
それに、美しい国王だ。
陛下は黄金の髪とも呼ばれる綺麗な金髪でアメジストのような紫の瞳。
年齢は、30代後半だったけ…。

金髪も王族の象徴。
この世界では金髪は王族の血を引いている証拠でもある。
両親は、金髪に近い明るい茶色の髪色だったという。
よくよく見たら、茶色の髪の中に金髪が混じっていたと僕が生まれてから気が付いたくらいらしい。

前王がはやくなくなり18歳で王になった。
20歳の時にエスターが生まれている。
エスターが今年18だから38歳か…

見た目は、エスターと兄弟かというくらい若い。
まぁ…エスターは陛下に似ていないから兄弟より友人という感じかも。

義理兄である国王の息子のエスターは、燃えるような赤毛にくすんだ青い瞳。
顔もあまり王には似ていない。

エスターには少し気になる噂はある。
両親に似ていないということだ。

その所為かエスターには、母親の不義の子という疑惑がある。
エスターはそのことがコンプレックスのようだ。

だからだろう。

僕は、エスターに嫌われていた。

遠縁で平民に近いくらいの貴族出の僕。

だというのに、王家の象徴である金色を髪と瞳と二つ持っているから。
それに僕の結構顔立ちも王家の血がわかる顔なんだという。

陛下には似てないけど。
陛下は精悍な美形っていう感じ。
僕は童顔だと思う。
子供っぽい。
なんでも、陛下の母君の顔に似ているという人も居た。

陛下もただ、僕を引き取ったわけではない。
たぶん助けてと縋られたことも理由の一つだろうけども。


陛下は陛下で考えがあったんだ。

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