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第二章
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次の日、窓の外は真っ白に染まっていた。
雪が降る夜は冷え込んで辛いが、朝になって雪化粧で真っ白に輝く街は雰囲気が華やいでいいものだ。道では子供達が歓声をあげて転げまわっている。レオンは軍に出勤する前に家の前の雪かきをし、暖炉の灰をかき出し、薪を追加していってくれた。
そして、積もった雪が陽の光に照らされた普段よりもきらめいたその日の日中、セリーナの年の離れた兄、アレクセイ・ソロコフが突然訪れてきた。
アレクセイは長男として、奥方と老いた父親とで暮らしている。会うのは久しぶりだ。「突然すまんな」「いいのよ。元気だった?」と兄妹の抱擁を交わす。
「ちょうどスープを作ってたのよ。兄さんも食べる?」
「ああ、頼む。仕事の昼休憩を早めにとって来たんだ」
行政事務の書士をしているアレクセイは、インクのシミがある手がまだかじかんでいるのか、台所のセリーナの横に立って火に手をかざした。ちらりと部屋を見回して、彼の特有の眉毛を独特に下げる笑みを作る。
「新しい生活、だいぶ安定したみたいだな。前の邸宅からの引越しはひと騒動だったが」
「ええ。ちゃんと軍人の妻ってのをやってるのよ」
そうかそうか、と頷いてアレクセイは玉ねぎの保管箱に腰を下ろす。それから兄妹はそれぞれの近況を語り合った。
セリーナはこじんまりとした生活をそれなりに楽しんでいることを語り、アレクセイは、同居する父親の様子を教えてくれた。老いてから足が悪くなったが、この冬は特に寒さが関節を痛めつけているらしく、暖炉とお気に入りの肘掛椅子から離れようとしないらしい。
「近々、顔を出すわ」
「うん。もしレオン君も時間があるなら、一緒においで」
意図的になのか、何も考えずにそうしているのか、アレクセイは義弟を気軽に「レオン君」と呼ぶ。セリーナの二度目の結婚の時、事前に顔合わせした時からそうだった。
思い出すとあの頃は、再婚を決心したとはいえセリーナもまだレオンに対してぎこちなく、父などレオンが丁寧な挨拶をしてもむっつりと黙り込んで、この兄だけがセリーナの新しい夫に初めから気さくな態度で接してくれた。
アレクセイは昔からそういう優しさが取り柄なのだ。役人といえど特別出世するような気概は無く、ただ几帳面に文字を書くことだけが評価される地味なタイプだ。しかしセリーナにとっては、この八歳年上の兄が家族の中で一番の心の拠り所だった。父は常に厳格で、母は早逝し、この兄からの優しさが頼りだった子供時代のせいかもしれない。
スープができあがって、リサが買ってきてくれた黒パンとともに食卓に並べた。雪の塊が屋根から滑り落ちる音を聞きながら、兄妹は一緒に食事を味わう。
「それで、レオン君とは……どうなんだ?」
そう聞かれて、セリーナはスプーンを持つ手を止めた。なんでもないふうを装った兄の表情など、妹にはすぐに見破られる。「どう、って?」と意地悪く聞き返すと、アレクセイの目が泳いだ。
「ほら、その……夫婦らしく……というか、仲良く、できているのか……とか」
勝手に赤くなってパンを無闇に小さく千切る兄を、セリーナはちょっと呆れて見返した。
「もちろん。何心配してるのよ」
「いや、ほらだって、急な話だったろう。フランクの喪があけて、求婚されて、北の国境からレオン君が帰ってきたらバタバタと結婚式。その時もまだお前は躊躇があるように見えたし、レオン君は『妹さんを絶対に幸せにします』とか硬いことしか言わないし。あれからちゃんと意思疎通できているのか、兄として気になってな」
「まあ確かに。最初は戸惑いもあったけど、ちゃんと馴染んできてるわ」
兄は僅かに肩の力を抜いて、「そうか」と呟いた。
セリーナは小首をかしげる。分かりやすい兄の表情に、まだ何か懸念の色が読み取れたからだ。
「兄さん、なんなのよ。言いたいことがあるなら言って。突然訪ねて来たりして、何か聞きたいこととか、用事でもあるんじゃないの?」
そう促すと、アレクセイには珍しく、はっきりしない口調でもごもごと話し出した。
「その……亡くなったフランクのことは、レオン君とは話題にはならないよな?」
セリーナは固まって、瞬きを繰り返す。
「フランクのこと? どうして?」
「いや、どうしてって……。ほら、レオン君はずいぶんお前に惚れ込んでいる様子だったから、フランクのことで、嫉妬とか、なにかややこしい感情とか、ぶつけられてないかと……」
アレクセイは自分でも何を言っているのか分からなくなったのか、「すまん」と謝って溜息とともにうな垂れた。
セリーナはまだ頭の整理ができない。やっと出た言葉は、たった一つの事実だった。
「レオンは優しい夫よ」
「うん、そうか。それならいいんだ。ただ、彼についての噂が耳に入って、ちょっと気になっただけなんだ」
「噂?」
セリーナはいよいよ昼食を中断して、「口を滑らせた」と困った顔になっている兄を覗き込んだ。
「噂って、どんな?」
「いや、噂は噂だよ。役人って仕事は、部署によっては本当に暇らしくてね。つまらない奴らが、くだらないことを、」
「アレクセイ兄さん」
セリーナは兄の手をとって握り、泳ぐ彼の目をじっと見据えた。
しばらくすると、アレクセイは観念したかのように掌で額をひと撫でして、慎重に言葉を探し出す。
「レオン君はずっと何年も前から、人妻のお前に片恋を募らせていた、と聞いたんだ」
セリーナは思わず「なんだそんなこと」と言葉を吐き出す寸前だった。しかも、兄が聞いたという噂は、全くの真実だ。
アレクセイはさらに続ける。
「で、その熱のあげようは少々タガが外れていて、お前に執拗につきまとっていたとか……」
頭を抱えたくなる。
つい昨日、レオンはセリーナに「下町に出ている貴女を影から見守っていました」と告白した。それを別に解釈すれば、「つきまとう行為」になるかもしれない。
「兄さん……あのね、」
「それに、お前とすれ違ってぶつかっただけの男に暴力まで振るったなんて、物騒な話もあるんだ」
「えっと、多分それは」
貧困街に潜入していた時、スリに財布を取られたことがある。しかし後になって、その財布は匿名で届けられ無事戻ってきたのだ。今なら、あれはレオンのおかげだったのだと分かる。
けれど、それを兄にどう説明したものだろう。
アレクセイは喋るうちに勢いづいたのか、セリーナを遮って、その「噂」の懸念をぶちまけた。
「若い時にハマる恋ってのは、ちょっと危なっかしい。それは、僕も男だから分かる。けどレオン君の場合は、お前のためなら罪も犯しそうな勢いだったそうじゃないか。これは事実無根のことだろうけど、『フランク・ブランソンはレオン・フェアクロフの密かな恋敵だった。そのせいで命を落としたんだ』なんて言う奴らまでいるんだ」
今度こそセリーナは言葉を失った。レオンが己の恋のためにフランクを亡き者にしたなんて、荒唐無稽にもほどがある。
ふと、セリーナの頭に、既視感がよぎった。この馬鹿げた筋書き、どこかですでに聞かされた気がする。
すぐに、エリーゼ・グリフトン男爵夫人のお茶会だ、と気がついた。毎日が華麗な退屈に彩られた貴族のアイゼンシュタイン夫人が、人の喪失の痛みも、それを乗り越える苦労も知らないで、ただの薄っぺらな「恋物語」としてそんな妄想を披露した。
セリーナは頭痛を払うように頭を振って、湧き上がる怒りや困惑を落ち着かせた。
「あのね、兄さん。レオンは正義を仕事にする人よ。そこはフランクと同じ」
もう一度アレクセイの手を強く握る。
「長年影から私を慕っていてくれたのが事実でも、フランクに対して何かするような見境いの無い男じゃ決してないわ」
もちろんアレクセイだって、その噂を信じ込んでなどいなかったのだろう。セリーナの言葉にうんうんと何度も頷いている。
「きっと、フランクを事故で亡くした不幸と、レオンとの出会いの幸運が、世間には奇異に映るのね」
「うん……そうだな」
兄は取り乱したのを恥ずかしそうにして、「すまん」と短く謝った。
「私は大丈夫。レオンとうまくやってるわ。心配してくれて、ありがとう」
セリーナは兄をそう安心させて、食事を再開した。アレクセイは、すっかり心が晴れた、という様子にはさすがにならなかったが、それでも兄妹の間には馴染んだ気楽な雰囲気が戻ってきた。
しかし、仕事に戻る兄を戸口まで送り返し、冷たい外気が家に吹き込む前にまたドアを閉めると、セリーナの胸にはまた困惑と憤りが戻ってくる。
——いったいどうやったら、そこまで妄想を膨らませられるのよ! 確かにレオンの愛情は大きすぎて、受け取る側も戸惑うことはあるけれど……。
ふと、彼の「貴女のためなら、俺はなんでもします」という言葉が頭の隅で響いた。
——「なんでも」って、だから、彼の場合は北の国境での大変だった任務とか。
思考が流れて、いつだったか彼が、バラを盗むために貴族の屋敷に忍び込もうとしたのを思い出す。セリーナが「一輪の花が欲しい」とねだったのを、誇大解釈した末の未遂事件だった。
——私のためなら罪をも犯す……? でも、気取った庭の花を盗るくらいの、些細な罪だわ。
セリーナは知らずのうちに眉を寄せて、キリと爪を噛んだ。
雪が降る夜は冷え込んで辛いが、朝になって雪化粧で真っ白に輝く街は雰囲気が華やいでいいものだ。道では子供達が歓声をあげて転げまわっている。レオンは軍に出勤する前に家の前の雪かきをし、暖炉の灰をかき出し、薪を追加していってくれた。
そして、積もった雪が陽の光に照らされた普段よりもきらめいたその日の日中、セリーナの年の離れた兄、アレクセイ・ソロコフが突然訪れてきた。
アレクセイは長男として、奥方と老いた父親とで暮らしている。会うのは久しぶりだ。「突然すまんな」「いいのよ。元気だった?」と兄妹の抱擁を交わす。
「ちょうどスープを作ってたのよ。兄さんも食べる?」
「ああ、頼む。仕事の昼休憩を早めにとって来たんだ」
行政事務の書士をしているアレクセイは、インクのシミがある手がまだかじかんでいるのか、台所のセリーナの横に立って火に手をかざした。ちらりと部屋を見回して、彼の特有の眉毛を独特に下げる笑みを作る。
「新しい生活、だいぶ安定したみたいだな。前の邸宅からの引越しはひと騒動だったが」
「ええ。ちゃんと軍人の妻ってのをやってるのよ」
そうかそうか、と頷いてアレクセイは玉ねぎの保管箱に腰を下ろす。それから兄妹はそれぞれの近況を語り合った。
セリーナはこじんまりとした生活をそれなりに楽しんでいることを語り、アレクセイは、同居する父親の様子を教えてくれた。老いてから足が悪くなったが、この冬は特に寒さが関節を痛めつけているらしく、暖炉とお気に入りの肘掛椅子から離れようとしないらしい。
「近々、顔を出すわ」
「うん。もしレオン君も時間があるなら、一緒においで」
意図的になのか、何も考えずにそうしているのか、アレクセイは義弟を気軽に「レオン君」と呼ぶ。セリーナの二度目の結婚の時、事前に顔合わせした時からそうだった。
思い出すとあの頃は、再婚を決心したとはいえセリーナもまだレオンに対してぎこちなく、父などレオンが丁寧な挨拶をしてもむっつりと黙り込んで、この兄だけがセリーナの新しい夫に初めから気さくな態度で接してくれた。
アレクセイは昔からそういう優しさが取り柄なのだ。役人といえど特別出世するような気概は無く、ただ几帳面に文字を書くことだけが評価される地味なタイプだ。しかしセリーナにとっては、この八歳年上の兄が家族の中で一番の心の拠り所だった。父は常に厳格で、母は早逝し、この兄からの優しさが頼りだった子供時代のせいかもしれない。
スープができあがって、リサが買ってきてくれた黒パンとともに食卓に並べた。雪の塊が屋根から滑り落ちる音を聞きながら、兄妹は一緒に食事を味わう。
「それで、レオン君とは……どうなんだ?」
そう聞かれて、セリーナはスプーンを持つ手を止めた。なんでもないふうを装った兄の表情など、妹にはすぐに見破られる。「どう、って?」と意地悪く聞き返すと、アレクセイの目が泳いだ。
「ほら、その……夫婦らしく……というか、仲良く、できているのか……とか」
勝手に赤くなってパンを無闇に小さく千切る兄を、セリーナはちょっと呆れて見返した。
「もちろん。何心配してるのよ」
「いや、ほらだって、急な話だったろう。フランクの喪があけて、求婚されて、北の国境からレオン君が帰ってきたらバタバタと結婚式。その時もまだお前は躊躇があるように見えたし、レオン君は『妹さんを絶対に幸せにします』とか硬いことしか言わないし。あれからちゃんと意思疎通できているのか、兄として気になってな」
「まあ確かに。最初は戸惑いもあったけど、ちゃんと馴染んできてるわ」
兄は僅かに肩の力を抜いて、「そうか」と呟いた。
セリーナは小首をかしげる。分かりやすい兄の表情に、まだ何か懸念の色が読み取れたからだ。
「兄さん、なんなのよ。言いたいことがあるなら言って。突然訪ねて来たりして、何か聞きたいこととか、用事でもあるんじゃないの?」
そう促すと、アレクセイには珍しく、はっきりしない口調でもごもごと話し出した。
「その……亡くなったフランクのことは、レオン君とは話題にはならないよな?」
セリーナは固まって、瞬きを繰り返す。
「フランクのこと? どうして?」
「いや、どうしてって……。ほら、レオン君はずいぶんお前に惚れ込んでいる様子だったから、フランクのことで、嫉妬とか、なにかややこしい感情とか、ぶつけられてないかと……」
アレクセイは自分でも何を言っているのか分からなくなったのか、「すまん」と謝って溜息とともにうな垂れた。
セリーナはまだ頭の整理ができない。やっと出た言葉は、たった一つの事実だった。
「レオンは優しい夫よ」
「うん、そうか。それならいいんだ。ただ、彼についての噂が耳に入って、ちょっと気になっただけなんだ」
「噂?」
セリーナはいよいよ昼食を中断して、「口を滑らせた」と困った顔になっている兄を覗き込んだ。
「噂って、どんな?」
「いや、噂は噂だよ。役人って仕事は、部署によっては本当に暇らしくてね。つまらない奴らが、くだらないことを、」
「アレクセイ兄さん」
セリーナは兄の手をとって握り、泳ぐ彼の目をじっと見据えた。
しばらくすると、アレクセイは観念したかのように掌で額をひと撫でして、慎重に言葉を探し出す。
「レオン君はずっと何年も前から、人妻のお前に片恋を募らせていた、と聞いたんだ」
セリーナは思わず「なんだそんなこと」と言葉を吐き出す寸前だった。しかも、兄が聞いたという噂は、全くの真実だ。
アレクセイはさらに続ける。
「で、その熱のあげようは少々タガが外れていて、お前に執拗につきまとっていたとか……」
頭を抱えたくなる。
つい昨日、レオンはセリーナに「下町に出ている貴女を影から見守っていました」と告白した。それを別に解釈すれば、「つきまとう行為」になるかもしれない。
「兄さん……あのね、」
「それに、お前とすれ違ってぶつかっただけの男に暴力まで振るったなんて、物騒な話もあるんだ」
「えっと、多分それは」
貧困街に潜入していた時、スリに財布を取られたことがある。しかし後になって、その財布は匿名で届けられ無事戻ってきたのだ。今なら、あれはレオンのおかげだったのだと分かる。
けれど、それを兄にどう説明したものだろう。
アレクセイは喋るうちに勢いづいたのか、セリーナを遮って、その「噂」の懸念をぶちまけた。
「若い時にハマる恋ってのは、ちょっと危なっかしい。それは、僕も男だから分かる。けどレオン君の場合は、お前のためなら罪も犯しそうな勢いだったそうじゃないか。これは事実無根のことだろうけど、『フランク・ブランソンはレオン・フェアクロフの密かな恋敵だった。そのせいで命を落としたんだ』なんて言う奴らまでいるんだ」
今度こそセリーナは言葉を失った。レオンが己の恋のためにフランクを亡き者にしたなんて、荒唐無稽にもほどがある。
ふと、セリーナの頭に、既視感がよぎった。この馬鹿げた筋書き、どこかですでに聞かされた気がする。
すぐに、エリーゼ・グリフトン男爵夫人のお茶会だ、と気がついた。毎日が華麗な退屈に彩られた貴族のアイゼンシュタイン夫人が、人の喪失の痛みも、それを乗り越える苦労も知らないで、ただの薄っぺらな「恋物語」としてそんな妄想を披露した。
セリーナは頭痛を払うように頭を振って、湧き上がる怒りや困惑を落ち着かせた。
「あのね、兄さん。レオンは正義を仕事にする人よ。そこはフランクと同じ」
もう一度アレクセイの手を強く握る。
「長年影から私を慕っていてくれたのが事実でも、フランクに対して何かするような見境いの無い男じゃ決してないわ」
もちろんアレクセイだって、その噂を信じ込んでなどいなかったのだろう。セリーナの言葉にうんうんと何度も頷いている。
「きっと、フランクを事故で亡くした不幸と、レオンとの出会いの幸運が、世間には奇異に映るのね」
「うん……そうだな」
兄は取り乱したのを恥ずかしそうにして、「すまん」と短く謝った。
「私は大丈夫。レオンとうまくやってるわ。心配してくれて、ありがとう」
セリーナは兄をそう安心させて、食事を再開した。アレクセイは、すっかり心が晴れた、という様子にはさすがにならなかったが、それでも兄妹の間には馴染んだ気楽な雰囲気が戻ってきた。
しかし、仕事に戻る兄を戸口まで送り返し、冷たい外気が家に吹き込む前にまたドアを閉めると、セリーナの胸にはまた困惑と憤りが戻ってくる。
——いったいどうやったら、そこまで妄想を膨らませられるのよ! 確かにレオンの愛情は大きすぎて、受け取る側も戸惑うことはあるけれど……。
ふと、彼の「貴女のためなら、俺はなんでもします」という言葉が頭の隅で響いた。
——「なんでも」って、だから、彼の場合は北の国境での大変だった任務とか。
思考が流れて、いつだったか彼が、バラを盗むために貴族の屋敷に忍び込もうとしたのを思い出す。セリーナが「一輪の花が欲しい」とねだったのを、誇大解釈した末の未遂事件だった。
——私のためなら罪をも犯す……? でも、気取った庭の花を盗るくらいの、些細な罪だわ。
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