あなたが私を手に入れるまで

青猫

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番外編

思いもよらない1

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 セリーナとレオンの朝は、いつも少々慌ただしい。眠りから目が覚めたらすっぱり起き上がってベッドから出ればいい、というのはお互いよくわかっているのだが。どうしても二人での微睡みは心地が良くて、意味もなく微笑み合いながらダラダラしてしまう。
 そのツケがこれだ。
「レオン、焦げてる匂いがする!」
「うわ、すみません……! あ、じゃあこっちの焦げたパンは俺が」
「コーヒーはいったわ。洗濯物はもう出したわよね?」
「はい、さっき洗濯屋の馬車が来たので、籠ごと渡しました」
 小さな食卓で急いで朝食をとりながら、二人はお互いの今日一日の予定を交換し合う。
「俺は午前は訓練。午後は総隊長が出席する会議のための準備と、城壁増築の視察のお供です」
「私はいつもの庭仕事で、害虫との戦いよ。あ、でも午後はいよいよヨーゼフ神父様がいらっしゃるから、その講演を聞くの。でもきっと日没前には終わるわ」
 レオンは「ヨーゼフ神父?」と少し首をかしげたが、先日セリーナが話したことをすぐに思い出したようだ。
「ああ、新しい上司になるかもしれないという……」
「そう。伝統の薬草の知識がある修道院から来てくださるのよ。どんな方か楽しみだわ」
 そこで二人の朝食の皿が空になった。レオンが先に立ち上がって、コップと皿をゆすいで洗い、セリーナが布巾で水気をふき取る。もうすっかり慣れた連携作業だ。
 その時、玄関の扉がノックされ、威勢のいい女性の声が「おはようございます」と外からかけられた。セリーナが扉を開けると、案の定、同じ軍の宿舎に住むお向かいの奥さんだった。
「おはようございます」
「あ、朝の支度で忙しい時にごめんねぇ。これから息子が荷馬車を借りて市場に買い出しに行くから、お宅も何か欲しいかなと思って」
「助かるわ! 待ってね、今すぐに買い物リストを作るから」
 ここ一帯の新しい住宅地は、軍や役人の宿舎が多い。レオンとセリーナのように共働きの夫婦も珍しくないし、子供を五人も抱えている家庭もある。それぞれの家庭の忙しさがあるが、小さな子供がいる母親たちは子守の当番を決めたり、若い働き手がいる家は買い出しをまとめて引き受けたりして、毎日皆が助け合って暮らしている。
「いつもありがとう。鶏卵を多めに買ってきてもらえると嬉しいわ」
 セリーナがメモを渡すと、奥さんは「最近安くなってきてるもんね」と言ってうんうん頷いた。
「こちらこそ、セリーナさんのおかげで先週は助かったもん。子供の急な熱って何度経験してもハラハラするけど、もらったお薬よく効いたわ」
 そこに身支度を整えたレオンも顔を出した。セリーナも荷物をまとめなければならない。
 奥さんはレオンにも挨拶をして「じゃあ、帰って来たらうちに寄って、買い物したものを取りに来てね」と言い残し去っていった。
「多分、仕事が終わる時間はお互い同じ頃でしょう。医療部に迎えに行きます」
 レオンは馬に鞍をつけ、セリーナの腰を抱えて先に乗せた。部隊は違えど、二人とも王都にある軍本部に勤めているので、朝はこうして一緒に馬で出勤する。
 軽々とレオンも馬に跨り、手綱を握った。
 賑やかな王都の朝の様子を、夫の腕の中から眺めて進むこの時間が、セリーナのお気に入りだ。
「この都会に引っ越してきてた時は毎日手探りだったけど、最近は、けっこう慣れてきたわよね。私たち」
 ふと、王都での生活も半年以上になるのだと気がついて、セリーナはそう呟いた。頭上から「そうですね」というレオンの声が降ってくる。
「でも、貴女に苦労かけすぎていないといいのですが。やはり女中を雇うべきか、もう一度考えましょう」
 またこの議題か。とセリーナはこっそりと天を仰いだ。
「女中なしでも家事はそれなりに回ってるじゃない。洗濯屋を利用したり、近所の子供たちにお小遣いあげて用事を頼んだりして。それに台所に直接水道が引いてあってすごく便利だし、竃も最新式ですぐお湯が沸くし」
「でも、仕事から帰ってきて、料理をするのとか……」
「それだって、あなたが手伝ってくれて助かってるわ。それに王都って、いろんな安い食事処があって楽しいじゃない。二人で一緒に外食するのも、私好きなの」
 くすりとレオンが笑う気配が伝わってきた。二人の乗る馬は混雑する大辻を曲がって、軍本部へと向かう。
「じゃあ、今夜はどこで食べましょうか?」
「以前から気になってた、籠屋通りの小さなお店に行ってみましょうよ」
「……あの、異国人がやってる? どんな料理が出てくるかわかりませんよ」
「でも、いつも良い香りがするの。絶対美味しいわよ」
 またレオンが「貴女の好奇心には勝てませんね」と笑った。
 二人の和やかな登庁の道のりはそろそろ終わろうとしてる。
 また一日頑張って、仕事が終わったら落ち合いましょうと、二人はいつものように約束しあって、軍の門の前で別れた。

 医療部の建物の裏に広がる薬草園に出ると、すでに同僚のカルロとファビオが反目し合いながら、苗の手入れをしていた。
「おはようございます」
「ああ、セリーナ」
「おはよう、セリーナ」
 カルロは元は王宮の庭師、ファビオは大学の農学科で助手として働いていた経歴を持つ。二人とも老年の一歩手前だが、頑丈な体を持ち、植物を育てることに関しては熟練者だ。だが、どうも頑固なところが似た者同士で、セリーナが間に入らないと、いつも口喧嘩ばかりしている。
「今日は天気がいいから、シロギクの乾燥作業を進めようか」
「何を言ってるんだ。まずクチナシの害虫対策が先だ」
 手伝いのセリーナを取り合うように、カルロとファビオは日に焼けた顔で睨み合う。その間でセリーナはやれやれと肩を落とした。
 この二人の諍いにはもう慣れたが、そろそろ切実に、自分たちにはきちんとした司令塔が必要だと身につまされる。
 この薬草園は、軍の医療部の隊長、フランツ・アプシュニットの発案で発足したばかりだ。集められた人員は、植物の状態を見ることに関してはプロである、庭師のカルロ。農学での植物の分類を本職とするファビオ。そして、長年趣味でハーブを育ててきたセリーナだ。
 三人の役職はあってないようなものだ。どのみち、様々な薬草を育てる庭を一から作るには全員の手が必要で、春からずっと毎日三人で土まみれになってきたのだから、上下関係もあったものではなかった。
 カルロの提案で、長らく芝しか生えていなかった庭の土が総入れ替えされた。その後、ファビオの監修で基本的な薬草を選び、種や苗を買い付けた。そこにセリーナの経験を交えて三人でよく働き、やっとなんとか「薬草園」と名乗れるくらいの庭が出来上がったのだ。
 だが輝かしい夏も中盤になり、この三人に「まとめ役」というものが必要なのは明らかだった。でないとここは、意見のなかなか合わない爺さんたちと、その二人に挟まれてあれこれ手伝う女性職員のいるだけの部署になってしまう。
 それに三人とも薬草を育てることができても、それらを正しく保存する知識は素人どまりだ。この薬草園にもいずれ秋が訪れる。栽培したものを収穫し終えた先の仕事も、見据えなくてはならない頃だった。
 このことについては、アプシュニット隊長が動いてくれた。少々時間がかかったが、この薬草園の長にふさわしい人物をやっと見つけ出してくれたのだ。
 その人物というのが、薬草学の第一人者だと評判の高い聖職者、ヨーゼフ神父だ。長年教会で信者たちを取りまとめながら、修道院では薬草の栽培と研究をしていた経歴があるらしい。
 今日はまず、そのヨーゼフ神父が軍の医療部で講演を行う。彼を薬草園の責任者とするかどうかの判断は、隊長やその他の幹部に決定権があるが、セリーナとカルロとファビオも、その神父がどんな人物か見極めるつもりだ。
 ヨーゼフ神父にとっても今日は、軍部の医療部での薬草園とはどの程度の規模なのか、視察も兼ねているのだろう。
 雇う側と雇われる側。言い換えると、新しい仕事場を検分する側と、彼を迎い入れる側の、ちょっとしたお見合いのようなものかもしれない。
「ねえ、まずドクダミを採取しちゃいましょうよ。それから害虫駆除、乾燥作業を手伝うわ。午後はほら、私たちの上司になるかもしれない方がいらっしゃるんだから、手際よくやっちゃいましょう」
 セリーナは二人の同僚にそう割って入って、麦わら帽子と農作業用のエプロンを身につけた。
 カルロとファビオも「ああ、ドクダミか」「すっかり忘れてた」「もうろくだな」「お前のハゲ頭よりは明朗だわい」などと言いながら、作業道具を揃えていく。
 朝の爽やかな空気が、次第に夏の暑さに染まっていく。セリーナは雲ひとつ無い青空を見上げて、午後に待ち受ける新しい出会いに少しだけ期待を膨らませた。

 その日の昼下がり。軍本部の医療部で開かれたヨーゼフ神父の薬草学の講演には、軍医だけでなく、町医者や大学の教授まで聴講のために押し寄せ、かなりの大盛況となった。
 セリーナの勝手な聖職者のイメージに反し、ヨーゼフ神父はまだ若くはつらつとした人物だった。
 艶やかな髪をきちんと後ろに流し、細身に詰襟の黒衣をまとい清潔感がある。礼拝で信者相手に培われたのものなのか、朗々とした声は広い部屋で雄弁に響き、個人に対面する時は物腰が柔らかだ。
 講演の内容もすばらしいものだった。
 彼は、新種の薬草を多用するのではなく、今まで伝統的に使われていた薬草の効能をどれだけ引き出せるかが重要だと説いている。栽培法や保存法で効き目を強くする手法は、セリーナにとっても新鮮な知識だった。
 講演後、挨拶に詰めかけた軍の幹部や高名な医者への個別対応がひと段落し、ヨーゼフ神父はやっと、アプシュニット隊長と三人の薬草園の職員と対面した。
「いやあ、すばらしいお話でした。村や僧院の知識を集約し生かすというお考えは、僕が軍部に薬草園を開くことになった信念とも通じます」
 アプシュニット隊長は熱っぽくそう言って、ヨーゼフ神父と握手を交わす。そして改めて、発足したばかりの薬草園の三人を紹介した。
「カルロは王宮の庭師で、毎年すばらしいバラを咲かせる達人だったのです。けど、僕が王宮の会議に出席した時にたまたま、植木をハートの形に剪定するなんて馬鹿らしいと嘆いている彼と鉢合わせしてしまって。それで、そのまま王陛下に許可をもらい引き抜きました」
「いや、バラはもう飽きたし、何か人の役に立つものを育ててみたいって思ったんでさ」
 照れたようなカルロとヨーゼフ神父は微笑んで握手した。
 次はファビオだと、アプシュニット隊長は紹介を続ける。
「彼は大学の農学部で長年、助手を勤めていました。農学部にある大量の植物標本や図鑑は、全て彼の仕事なんです。軍の医療部でも、薬草を育てるだけでなく、それらの記録や図録も作成したいと思っています。彼は大きな助けになるはずです」
「もう歳だし、孫の世話したりする生活もいいかと思ったんだが、どうも長年の習慣で働きたくなってしまいまして。また一から頑張ってみようかと」
 ファビオの皺だらけの手が、ヨーゼフ神父の男性にしては優雅な所作の手に握られた。
 そしてセリーナの番だ。アプシュニット隊長はちょっと微笑んで、セリーナを手で指し示す。
「彼女は、地方都市からやってきてくれた頼もしい助っ人です。長年ハーブの家庭菜園を営んできて、薬草の日常的な使い方をよく知っている方です。昨年僕が枯らした草花も、今年は彼女にかかって生き生きと復活したのですよ」
 セリーナはちょっと緊張しながら軽く膝を折って、目の前のすらりとした神父に挨拶をした。聖職者なのだから、女人との接触はしないだろうと思ったのだ。
 けれどそんなことは気にしないとでも言うように、ヨーゼフ神父はセリーナにも手を出して「よろしく」と微笑みかけた。握手した彼の手はさらりとして、爪が整えらえ、きちんと手入れがされている。
 ふとセリーナは、自分の夫の肉厚で傷だらけの手を思い出した。目の前に立つ神父は、外見も職業も、レオンとは正反対の人種だ。
「さっそく、その新しい薬草園を拝見したいですね」
 人好きするような笑みでヨーゼフ神父はそう言った。
 五人は薬草園に向かって廊下を歩き進める。
「まだいろいろ試行錯誤していて、神父様から見たらきっと不備があるでしょう。植えている薬草もそんなに珍しいものではありませんし」
 客人に庭を案内しながらセリーナが謙遜すると、上司である隊長が「でも昨年僕が素人考えでやってた庭とは天と地ほど違うんですよ」とフォローしてくれる。
 そして、三人だけでなんとか作り上げた薬草園は、ヨーゼフ神父から好意的な評価をしてもらえた。
「土も入れ替えたようだし、育てている薬草も基本的なものはおさえてある。雑草や害虫も取り除いてあって、丁寧な仕事が垣間見えますね」
 それを聞いて、セリーナとカルロとファビオはお互いに嬉しさをにじませた目線を交わす。が、やはり次には厳しい指摘も待ち構えていた。
「けど、このキキョウとツルクサはこんなに近くして植えてはいけませんよ。いずれツルクサがキキョウに巻きついて枯らしてしまう。それにこのドクダミは収穫のタイミングがもう過ぎています。もっと柔らかい葉でないと、粉末にした時に香りがきつくなってしまうし、効果も薄まってしまう」
 あらら、とセリーナは肩を落とした。やはりきちんと専門の知識がある人の指導が必要なのだ。
 その時ふと、肩にのせられた手があった。ヨーゼフ神父のものだ。
「ああ、すみません。がっかりしないでください。僕はこの薬草園、気に入りました。アプシュニット隊長と、あなたたち三人が認めてくださるなら、私は喜んでここで働きますよ」
 わっと歓声が上がった。一番喜んでるのは隊長だ。
「ぜひぜひ、お願いします。この医療部の庭から、優れた薬が作り出せるよう、お力を貸してください」
 ということで、セリーナの職場に新しい上司がやってくることになった。
 薬草の知識が豊富で、物腰穏やかで気さくな感じの神父様だ。
 あまり信仰深くはないが、セリーナがまず思ったことは、「カルロとファビオの毎日の諍いに、やっと神様が救いの手を差し伸べてくれたのだ」と、少々的外れなことだった。
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