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最終章
第318話 いつか
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──数年後、王都のとある家にて。
「…………ルネ! コルネ! ほら、起きて!」
微睡みの中で俺を起こすアドレアの声がする。そうだ、年に一度のエミルやマリーたちとの集まりへと今朝出発するんだった。
すぐに飛び起きると、キッチンの方から流れてきたパンの香りが鼻腔をくすぐる。きっとアドレアが炎魔法で炙っているのだろう。
急いでキッチンへと向かうとむくれたアドレアが待っていた。
「朝食はボクが準備するとは言ったけど、ちょっとのんびりしすぎじゃないかな?」
「ごめんごめん、昨日楽しみでなかなか寝つけなくて」
二人で祈りを捧げてから、アドレアの用意してくれたサンドにかぶりつく。
「やっぱり何度食べても美味しいよ」
「ふふ、ありがと」
顔をほころばせる彼女を見ているとこちらまで幸せな気持ちになる。
「早く準備して出発しなくちゃ」
走るのに邪魔にならないよう最低限のものを鞄に詰めて、家を出る。
ジャンはメキメキと剣の腕を上げており、それとともにクエストのレベルも上げるために今回の集まりはヴィレアで行われることになっている。
今日一日走ってラムハまで行き、師匠のところに泊まって、そこから明日ヴィレアに向かう予定だ。
アドレアは魔法使いであり体力はそんなにあるわけではないが、その代わりに威力の高い風の魔法を使えるので、魔力操作と併せて一日あれば王都からラムハまでなら走りきることができる。
「コルネくんとアドレアさん、おかえり」
日が昏れ始める頃、道場に到着すると、師匠が出迎えてくれる。王都で生活するようになってからもときどきは帰ってきているのだが、久しぶりだということもあって師匠は楽しみにしていてくれたようだ。
アドレアの前で平静を保つようにしているが、ドアを開けるまでのスピードがそれを物語っている。
サッと汗を流したら、促されるままに夕食の席につく。品数の多さから、ヘルガさんが腕によりをかけて作ってくれたことが分かる。
「二人とも結婚生活は順調?」
「順調ですね。最近はまたレオンさんのところで出会った友人が王国騎士団に入っててびっくりしましたよ」
「私もそうですね──そういえば半年くらい前ですけど、私のところにもサラさんのところから友人が移ってきました」
懐かしい味に舌鼓を打ちながら、師匠に近況報告のようなものをする。
「レオンさんとサラさんのところからはやっぱり入る人多いよね。あ~僕も騎士団に入って王都で暮らそっかな」
「師匠……」
「なんてね、冗談だよ。集団で闘うのは向いてないし、何よりこの街が気に入ってるからね」
何年か前、王国騎士団での魔力操作を使う剣士の指導をするために俺は王都に移り住んだが、そのときも師匠はラムハに留まることを選んだ。もうラムハに居続ける義務はなくなったが、やはり道場もあるし、ここは師匠にとって愛すべき街らしい。
いつか師匠のもとに魔法剣士として弟子に取れるほどの才能がやってくるといいな。
「…………ルネ! コルネ! ほら、起きて!」
微睡みの中で俺を起こすアドレアの声がする。そうだ、年に一度のエミルやマリーたちとの集まりへと今朝出発するんだった。
すぐに飛び起きると、キッチンの方から流れてきたパンの香りが鼻腔をくすぐる。きっとアドレアが炎魔法で炙っているのだろう。
急いでキッチンへと向かうとむくれたアドレアが待っていた。
「朝食はボクが準備するとは言ったけど、ちょっとのんびりしすぎじゃないかな?」
「ごめんごめん、昨日楽しみでなかなか寝つけなくて」
二人で祈りを捧げてから、アドレアの用意してくれたサンドにかぶりつく。
「やっぱり何度食べても美味しいよ」
「ふふ、ありがと」
顔をほころばせる彼女を見ているとこちらまで幸せな気持ちになる。
「早く準備して出発しなくちゃ」
走るのに邪魔にならないよう最低限のものを鞄に詰めて、家を出る。
ジャンはメキメキと剣の腕を上げており、それとともにクエストのレベルも上げるために今回の集まりはヴィレアで行われることになっている。
今日一日走ってラムハまで行き、師匠のところに泊まって、そこから明日ヴィレアに向かう予定だ。
アドレアは魔法使いであり体力はそんなにあるわけではないが、その代わりに威力の高い風の魔法を使えるので、魔力操作と併せて一日あれば王都からラムハまでなら走りきることができる。
「コルネくんとアドレアさん、おかえり」
日が昏れ始める頃、道場に到着すると、師匠が出迎えてくれる。王都で生活するようになってからもときどきは帰ってきているのだが、久しぶりだということもあって師匠は楽しみにしていてくれたようだ。
アドレアの前で平静を保つようにしているが、ドアを開けるまでのスピードがそれを物語っている。
サッと汗を流したら、促されるままに夕食の席につく。品数の多さから、ヘルガさんが腕によりをかけて作ってくれたことが分かる。
「二人とも結婚生活は順調?」
「順調ですね。最近はまたレオンさんのところで出会った友人が王国騎士団に入っててびっくりしましたよ」
「私もそうですね──そういえば半年くらい前ですけど、私のところにもサラさんのところから友人が移ってきました」
懐かしい味に舌鼓を打ちながら、師匠に近況報告のようなものをする。
「レオンさんとサラさんのところからはやっぱり入る人多いよね。あ~僕も騎士団に入って王都で暮らそっかな」
「師匠……」
「なんてね、冗談だよ。集団で闘うのは向いてないし、何よりこの街が気に入ってるからね」
何年か前、王国騎士団での魔力操作を使う剣士の指導をするために俺は王都に移り住んだが、そのときも師匠はラムハに留まることを選んだ。もうラムハに居続ける義務はなくなったが、やはり道場もあるし、ここは師匠にとって愛すべき街らしい。
いつか師匠のもとに魔法剣士として弟子に取れるほどの才能がやってくるといいな。
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