パーティを抜けた魔法剣士は憧れの冒険者に出会い、最強の冒険者へと至る

一ノ瀬一

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最終章

第307話 パーティメンバー(エミル視点)

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「エミル! 父さんの許可が下りたよ!」
「それはよかった。案外すんなり行ったね」

 あれから数日後、ジャンがもう一度僕を呼び出し、初っ端にそう伝えてくる。前回話したときにジャンが「冒険者パーティを組むなら口調も冒険者にしましょう」と言ったので、二人だけで会うときはこのように冒険者口調で喋っているのだ。

「ただ……他のメンバー次第だって」
「まあ、そうなるか……」

 さっきまで喜び満面だったジャンの顔に影が差す。

 道理ですんなり許可自体は下りたわけだ……しかし、これはかえって難しいかもしれない。全ては領主様個人の裁量次第──領主様が駄目だと言えばどんなに優秀な冒険者でも駄目なのだから。

 最初から行かせる気などなくて、どんな冒険者を連れてきても駄目だと言う準備をしているのかとさえ思えてくる。

 そんな気はなかったとしても、ジャンは領主の息子──生半可な実力のメンバーで何かあったらとは思うだろう。

「エミル、誰か心当たりある?」
「えーと……ないことはないかな」

 ずっとここにいるジャンは冒険者のツテなどあるはずがないから、僕がなんとかしなくては。

 ついさっき──ジャンがメンバー次第だという報せを持ってくるまでは次の休暇を使ってラムハの冒険者ギルドに探しに行く予定だったが、これはやめだな。ラムハの冒険者ギルドは強いモンスターの討伐クエストがないため、領主様のお眼鏡に適うほどの実力者はまずいないだろう。

 そうなると、少し遠いがヴィレアの冒険者ギルドに探しに行くか──あそこはBランクまでのクエストがあって、かなりの強者もいると聞く。

 実力は申し分ないかもしれないが、そもそもヴィレアに初めて来た僕がいきなりこの話をしたとして、受けてくれる人はいないだろう。

 ここはよくヴィレアに通っていたというコルネに相談するべきか。正直、コルネを巻き込むのはあまり気が乗らないが……他に手はないし仕方ないだろう。
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