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最終章

第304話 毒魔法

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 エミルたちと会ってからひと月した頃に、エミルからオランド家の騎士団に入れることになったと手紙があった。あの二人とのパーティはもうなくなったのだと思うとほんの少し寂しくはあったが、本人の希望が叶ったようでよかったと思った。

 オランド家のところならば休日にエミルの実家に帰ることもできる。三年ぶりに帰ってきた息子にエミルのご両親は何を思っただろうか。

 エミルの生活が落ち着いたら、騎士団はどうかとか冒険者時代と比べて忙しいかとかいろいろまた話したいな。

 手紙といえば、ダンジョンに行く前に師匠に使った止血をする毒魔法のことをしたためた手紙をルカに送っていたのだが、その返事が来た。

 ルカは俺が使ったあの魔法を効き目が薄いながらもこの短期間で成功させたらしい。ぶっつけ本番で、しかも一発で成功させた俺が言うのもなんだが、さすがとしか言いようがない。

 成功したという報告だけでも驚きだったが、それに加えて魔法の分析をしてみた結果も一緒に送られてきていて驚愕した。魔法を使ったときとそうでないときの血の固まるまでの時間の比較であったり、イメージごとでの差異であったりが表にまとめてあって、魔法の研究とはこういうことなのだと思った。

 研究の暁にルカがこの魔法が使いこなせるようになれば、間違いなくルカは魔法使いとして引く手あまたになり、そして毒魔法の価値も見直されるだろう。

 これまでの布で縛るやり方だけでは間に合わなかった傷の深い人も救えるようになるこの魔法は大規模な戦闘では特に重宝されること間違いなしだ。

 解毒薬を飲まなければならず不便な割に、実際に戦闘で使うのは難しいという毒魔法に新たな使い道ができたことは喜ばしいことだ。
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