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最終章
第300話 可能性
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「ヘルガ、相談があるんだけど……」
「何でしょうか、ロンド様」
手紙を届けにきた冒険者の訪問の後、コルネくんがいないところで買い物から帰ってきたヘルガに声をかける。
コルネくんがずっと探していた元パーティメンバー、エミルくんからの手紙がテーブルの上に無造作に置かれていて、その内容を見てしまったのだ。
「コルネくんが明日襲撃されるかもしれないんだ」
「……何て言いました?」
呆れ顔をするヘルガに事情を説明する。元パーティメンバーと明日会うとコルネくんは言っていたが、あの文面はどう見たって果たし状──本人は昔馴染みだからそんなことはないだろうと安心しきっているが、実は名前を騙るだけの別人という可能性もある。
そうやって油断させたところを襲う──実に巧妙な手口だ。
「エミルという名前の昔馴染みがいるという情報をどこから仕入れたかは別として、たしかに可能性はありますね」
「そう──だから明日、コルネくんが出かける前に冒険者ギルドに先回りして潜んでおこうと思うんだ。ヘルガには僕がどこに行ったのかと訊かれたときに適当に誤魔化してもらいたくて」
「お任せください」
* * *
手紙を受け取った次の日、俺は意気揚々と出かけようとしていた。エミルからの手紙には今日の夕方とあったが、一口に夕方と言っても陽が傾きかけたところも夕方だし、空が一面茜に染まる頃も夕方だ。
エミルの言う夕方がいつ頃なのかは分からないが、だったら早めに行って待てばいい。クエストから帰ってきてからしばらくギルドで過ごすパーティも多いし、エミルも同じように早くから待っているかもしれない。
今日の修行は予定通り早めに終われたので、疲れもある程度回復している。持ち物を確認してさあ出るぞと玄関に向かっていると、道場の中がやけに静かなことに気付く。
「ヘルガさん、師匠は──」
「ロンド様なら市場を見てくると出ていかれましたよ」
なるほど、道理で静かなわけだ。ヘルガさんに行ってきますと告げ、道場を出てエミルの待つ冒険者ギルドへと向かう。
「何でしょうか、ロンド様」
手紙を届けにきた冒険者の訪問の後、コルネくんがいないところで買い物から帰ってきたヘルガに声をかける。
コルネくんがずっと探していた元パーティメンバー、エミルくんからの手紙がテーブルの上に無造作に置かれていて、その内容を見てしまったのだ。
「コルネくんが明日襲撃されるかもしれないんだ」
「……何て言いました?」
呆れ顔をするヘルガに事情を説明する。元パーティメンバーと明日会うとコルネくんは言っていたが、あの文面はどう見たって果たし状──本人は昔馴染みだからそんなことはないだろうと安心しきっているが、実は名前を騙るだけの別人という可能性もある。
そうやって油断させたところを襲う──実に巧妙な手口だ。
「エミルという名前の昔馴染みがいるという情報をどこから仕入れたかは別として、たしかに可能性はありますね」
「そう──だから明日、コルネくんが出かける前に冒険者ギルドに先回りして潜んでおこうと思うんだ。ヘルガには僕がどこに行ったのかと訊かれたときに適当に誤魔化してもらいたくて」
「お任せください」
* * *
手紙を受け取った次の日、俺は意気揚々と出かけようとしていた。エミルからの手紙には今日の夕方とあったが、一口に夕方と言っても陽が傾きかけたところも夕方だし、空が一面茜に染まる頃も夕方だ。
エミルの言う夕方がいつ頃なのかは分からないが、だったら早めに行って待てばいい。クエストから帰ってきてからしばらくギルドで過ごすパーティも多いし、エミルも同じように早くから待っているかもしれない。
今日の修行は予定通り早めに終われたので、疲れもある程度回復している。持ち物を確認してさあ出るぞと玄関に向かっていると、道場の中がやけに静かなことに気付く。
「ヘルガさん、師匠は──」
「ロンド様なら市場を見てくると出ていかれましたよ」
なるほど、道理で静かなわけだ。ヘルガさんに行ってきますと告げ、道場を出てエミルの待つ冒険者ギルドへと向かう。
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