パーティを抜けた魔法剣士は憧れの冒険者に出会い、最強の冒険者へと至る

一ノ瀬一

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最終章

第287話 贈呈式を終えて

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「はぁ、終わったねぇ」

 玉座の間から出て再び控え室に戻ってきて、サラさんがよいしょと椅子に腰かけながら呟く。

「どうだい、初めての式典は緊張したかい? 二人とも」
「最初から最後まで緊張しっぱなしでした。見様見真似でやっていましたが、合ってるのか不安で……」
「ボクも横のコルネをちらちら見ながらやってました」

 やはりというかアドレアも俺と同じように合ってるのか分からないままやってたんだな。

「まあ初めては誰だって緊張するさね。コルネくんは元々Aランクだったからそうでもないかもしれないけど、アドレアのSランク昇格が発表されたらさぞかし騒ぎになるだろうさ。謎の少女の正体も相まってきっと何日も話題に上るだろうね」
「そう……ですね。まだ学校の友だちは知らないので、どういう反応をするのかちょっと怖いです。急によそよそしい態度になったらと思うと……」
「……きっと大丈夫さね。アドレアがいつも通り過ごしていれば、向こうも以前と同じように接してくれるよ」

 そう言ってサラさんはアドレアを抱きしめる。

 いきなり暗い話題になってしまたために短い沈黙が訪れ、それを破るように今度はレオンさんが切りだす。

「そういえばSランク冒険者の制度が変わったから、ロンドは外出のために今までのように書類を山ほど書かなくてもよくなるんじゃったかのう」
「そうですね。ラムハに一定の人数がいるならおそらく書いても少しで済むと思います」
「そしたらわしの道場にも来放題じゃし、サラの道場にだって行き放題じゃな」

 以前師匠はレオンさんとサラさんの道場にはほとんど行ったことがないと言っていた。冒険者会議で顔を合わせることは多いが、最後に道場に行ったのはSランク冒険者になる前らしい。

 大量の書類が必要だったため、遊びに行くくらいの感覚では行けなかったのだろうが、これからはそういうこともできるようになるのだ。

「魔力操作を使う弟子が増えてきてのう、わしだとどうもな……そこをロンドに教えてもらいたいんじゃ」
「いいですよ。いつにします?」
「それもいいけど、最初くらいは自分の行きたいところに行った方がいいんじゃないかね」

 日程を決めにかかる師匠にサラさんが静止をかける。たしかに急を要するものではないし、せっかくの自由を謳歌しなければという考えも頷ける。師匠はどこに行きたいんだろう。

「ロンドは自由にいろんなところに行けるようになって、どこに行きたいんじゃ?」
「行きたいところ……ですか。うーん…………あっ、じゃああそこにみんなで行きたいですね」
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