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第十一章 サラの魔法道場編
第254話 初めてのAランクモンスター討伐 其の五(サラ視点)
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コルネくんが冒険者ギルドから出ていった後、足音が遠ざかっていき聞こえなくなったのを確かめてから私はそっとギルドの扉を開ける。隙間から外を見ると、コルネくんの姿は豆粒のように小さくなっていた。
あそこまで行ったのなら大丈夫だろう──そう判断し、ゆっくりとギルドの扉を開けて外に出る。鍵を閉めたのをしっかりと確認し、気付かれないようにコルネくんの後を追いかける。
これでも私はレオンに褒められるくらいには気配を消すのが上手い。それにこの山は私の庭も同然──コルネくんもちょっとやそっとでは気付かないだろう。もし見つかっても「キノコを採りに来た」などと適当な言い訳をすればいい。
後をつけるなど我ながら少し気持ち悪い気もするが、私のところでロンドの大事な一番弟子に万が一のことがあってはいけない。そう、これは使命感によるものなのだ。後ろめたいことではないのだ。
コルネくんが山に入っていったので、私もそれを追う。私らに狩られると分かってから賢いモンスターは警戒して下りてこなくなったため、きっとしばらくは強いモンスターには出会わないだろうが周りに気を配っておく。
そうこうしているうちにコルネくんは水を飲むマーナ・ガルムを見つけたようだ。ここでは仕掛けずに追うつもりか──急に走りだしたコルネくんに追いつき、木の影から闘いを見守る。
いざとなれば私が魔法で助けに入るが、コルネくんもマーナ・ガルムと闘うだけの実力はあると判断されたのだ。ここはじっくりとAランク冒険者の実力を見せてもらおうじゃないか。
あれは──魔力操作で攻撃を避けているのか。たしかに魔力操作を使えば不自然な動きで相手に行動を読まれにくくなるが……剣士だとこういう使い方もできるのか、参考になるねぇ。
そのまま隙だらけのマーナ・ガルムに炎の魔法剣で──やはりあの体勢からだと力が入らないようだ。
そこからもう一度、コルネくんは同じ手でマーナ・ガルムを削ろうとするが──さすがにマーナ・ガルムもその手は食わないと避けた彼を爪で抉ろうとする。
まずい──そう思い、魔法を発動させようとするが、コルネくんの体の方も一度避けたところからさらにスススと横にずれていく。このままいけば重傷にはならないだろうと考え、静観を決める。
案の定、コルネくんは少し傷を負ったが、すぐにマーナ・ガルムを倒していた。剣の腕は私には分からないが、魔力操作は使い方が上手く、魔力の動き方も滑らかだった。
仲間の声を聞きつけてか、他のマーナ・ガルムたちが集まってきおったが、こいつらは私がまとめて倒しておこう。コルネくんはクエストにあった一体をきちんと独力で倒したのだから、私がクエストを手伝ったことにはならない。さてと──
「ゲ──」
「ブライト!」
<ゲヘナ>を使おうとした途端、視界が眩いほどの白に塗りつぶされ、思わず目を瞑る。そうか──コルネくんは自分が一人だと思っているのだから、マーナ・ガルムに囲まれそうになれば、ブライトを使って逃げるのは当たり前だ。
私だけでなくマーナ・ガルムも目が開けられないらしく、その場で動き回っているのが分かる。目が見えるようになれば、おそらく一直線に斜面を下るコルネくんに突っ込んでいくだろう──そこを私が叩く。
音でマーナ・ガルムたちに気付かれないようにじっと待っていると、ドタバタとマーナ・ガルムが動き出すのが分かる。
私の目が見えるようになると即座に詠唱をし、コルネくんの手前にゲヘナを使う。範囲に入っていた二体はすぐに燃え、残りのうち数体は斜面でスピードを抑えきれず自ら炎に突っ込んだ。
動きだすのが遅かった一体が私に気付いて向かってきたので、発動していたゲヘナを一度解除する。正面から飛びかかってくるマーナ・ガルムを、槍状に延ばした炎を操る<ファイア・ランス>で地面に縫いつけ、そのままゲヘナで同じように燃やす。
すぐにゲヘナを解除し、水魔法で山火事にならないように枝を燃やす残り火を消しておく。
あとはコルネくんと一緒に先ほどの場所に戻って、素材を取ってくるだけだ。私が倒すといつも骨しか残らないので、マーナ・ガルムの毛皮を取れるのは久しぶりだ。
このクエストは一応素材クエストの体をとっているので、きっとコルネくんは素材をギルドで売ってくれるだろう。マーナ・ガルムの白銀色をした美しい毛皮を何に加工してもらおうかと考えると、ついつい鼻歌が出てしまう。
あそこまで行ったのなら大丈夫だろう──そう判断し、ゆっくりとギルドの扉を開けて外に出る。鍵を閉めたのをしっかりと確認し、気付かれないようにコルネくんの後を追いかける。
これでも私はレオンに褒められるくらいには気配を消すのが上手い。それにこの山は私の庭も同然──コルネくんもちょっとやそっとでは気付かないだろう。もし見つかっても「キノコを採りに来た」などと適当な言い訳をすればいい。
後をつけるなど我ながら少し気持ち悪い気もするが、私のところでロンドの大事な一番弟子に万が一のことがあってはいけない。そう、これは使命感によるものなのだ。後ろめたいことではないのだ。
コルネくんが山に入っていったので、私もそれを追う。私らに狩られると分かってから賢いモンスターは警戒して下りてこなくなったため、きっとしばらくは強いモンスターには出会わないだろうが周りに気を配っておく。
そうこうしているうちにコルネくんは水を飲むマーナ・ガルムを見つけたようだ。ここでは仕掛けずに追うつもりか──急に走りだしたコルネくんに追いつき、木の影から闘いを見守る。
いざとなれば私が魔法で助けに入るが、コルネくんもマーナ・ガルムと闘うだけの実力はあると判断されたのだ。ここはじっくりとAランク冒険者の実力を見せてもらおうじゃないか。
あれは──魔力操作で攻撃を避けているのか。たしかに魔力操作を使えば不自然な動きで相手に行動を読まれにくくなるが……剣士だとこういう使い方もできるのか、参考になるねぇ。
そのまま隙だらけのマーナ・ガルムに炎の魔法剣で──やはりあの体勢からだと力が入らないようだ。
そこからもう一度、コルネくんは同じ手でマーナ・ガルムを削ろうとするが──さすがにマーナ・ガルムもその手は食わないと避けた彼を爪で抉ろうとする。
まずい──そう思い、魔法を発動させようとするが、コルネくんの体の方も一度避けたところからさらにスススと横にずれていく。このままいけば重傷にはならないだろうと考え、静観を決める。
案の定、コルネくんは少し傷を負ったが、すぐにマーナ・ガルムを倒していた。剣の腕は私には分からないが、魔力操作は使い方が上手く、魔力の動き方も滑らかだった。
仲間の声を聞きつけてか、他のマーナ・ガルムたちが集まってきおったが、こいつらは私がまとめて倒しておこう。コルネくんはクエストにあった一体をきちんと独力で倒したのだから、私がクエストを手伝ったことにはならない。さてと──
「ゲ──」
「ブライト!」
<ゲヘナ>を使おうとした途端、視界が眩いほどの白に塗りつぶされ、思わず目を瞑る。そうか──コルネくんは自分が一人だと思っているのだから、マーナ・ガルムに囲まれそうになれば、ブライトを使って逃げるのは当たり前だ。
私だけでなくマーナ・ガルムも目が開けられないらしく、その場で動き回っているのが分かる。目が見えるようになれば、おそらく一直線に斜面を下るコルネくんに突っ込んでいくだろう──そこを私が叩く。
音でマーナ・ガルムたちに気付かれないようにじっと待っていると、ドタバタとマーナ・ガルムが動き出すのが分かる。
私の目が見えるようになると即座に詠唱をし、コルネくんの手前にゲヘナを使う。範囲に入っていた二体はすぐに燃え、残りのうち数体は斜面でスピードを抑えきれず自ら炎に突っ込んだ。
動きだすのが遅かった一体が私に気付いて向かってきたので、発動していたゲヘナを一度解除する。正面から飛びかかってくるマーナ・ガルムを、槍状に延ばした炎を操る<ファイア・ランス>で地面に縫いつけ、そのままゲヘナで同じように燃やす。
すぐにゲヘナを解除し、水魔法で山火事にならないように枝を燃やす残り火を消しておく。
あとはコルネくんと一緒に先ほどの場所に戻って、素材を取ってくるだけだ。私が倒すといつも骨しか残らないので、マーナ・ガルムの毛皮を取れるのは久しぶりだ。
このクエストは一応素材クエストの体をとっているので、きっとコルネくんは素材をギルドで売ってくれるだろう。マーナ・ガルムの白銀色をした美しい毛皮を何に加工してもらおうかと考えると、ついつい鼻歌が出てしまう。
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