パーティを抜けた魔法剣士は憧れの冒険者に出会い、最強の冒険者へと至る

一ノ瀬一

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第十一章 サラの魔法道場編

第242話 サラの魔法道場 其の七

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 俺たちが食べ終わる頃には先に食べ始めていた人たちはすでに寮に戻っていて、食堂が広く見えた。ルカと俺も食べ終えて寮へと戻る。

「この後すぐに水浴びに行こうと思うんだけど、コルネは水魔法使える?」
「一応はね。ルカは?」
「俺も一応って感じかな」

 基本的に水浴びは自分で水魔法を使って水を出すことが多いので、水魔法が使えない人は誰かに出してもらう形になる。各々、部屋に戻って着替えを用意してからルカについていくと、一階の談話室の奥に水浴びをするところはあった。

 脱衣所で服を脱いでいると、ルカが驚いた表情を見せる。

「コルネ、服の上からじゃ分かんなかったけど筋肉すごいね。普段どんな修行してるの?」
「筋肉に関係ありそうなのだと、ランニングと筋トレと素振りと型稽古と──あとは重い練習用の剣で素振りかな」
「それに加えて魔法の修行もあるんだろ? 魔法剣士は大変だね」

 そう返しながら服を脱いだルカくんは筋肉が薄くついた、スリムな体型だった。レオンさんの道場の剣士や師匠のしっかりと筋肉がついた体しか長らく見ていなかったせいで俺は、そうでない体が珍しく感じてしまう。

 水浴び場の扉を開けると、身長より少し高いくらいの仕切りが手前から奥に続いており、区切られた空間でみな水浴びをしていた。

 なるほど他人に見られると恥ずかしいから仕切りがあるのかと納得していると、奥にある仕切りの中から「うわぁ」と幼い声がし、勢いよく水が噴き出すのが見える。おそらく魔法に慣れていない子どもが出力を誤ったのだろう。

 水は勢いそのままに壁にぶち当たり、床の排水口へと、ズゾゾと吸い込まれていく。

 まだ仕切りの中に入っていなかった俺は壁に当たって飛び散った水飛沫を浴びた。

 俺より前にいたルカはというと、もろに水を浴びてまだ水浴びをしていないというのに髪がぺちゃんこになっていた。はぁ、と小さくため息をついてからルカが言う。

「こういうことがあるから仕切りがあるんだ」



 風魔法で髪を乾かした後に、ルカに誘われて談話室で四、五人でカードゲームをすることになった。案の定質問攻めに遭ったが、それも収まったころにそのうちの一人が言いづらそうに切りだす。

「コルネ……明日、俺の魔法の研究に付き合ってくれない?」

 ああ、そういうことか。サラさんからも協力するように言われているし、断る理由もない。

「もちろん──それで明日の朝どこに行けばいい?」
「部屋まで迎えに行くから待っててくれたらいいよ」

 それなら迷うことはないし安心だ。俺たちのやり取りが終わると、言い出そうか迷っていたらしいルカを含む他のメンバーも協力してほしいと口々に頼み始めた。

 結局、明日は一緒にカードゲームをやっていた全員の研究に付き合うことになった。時間はかかるだろうが、明日は討伐には行かず道場を見て回ろうと思っていたから、別に問題はない。

 それよりも魔法の研究って何をするんだろうか。アドレアの魔導書に書かれていたような難しい内容ではないと言っていたが──きっと最高峰の魔法の研究に違いない。楽しみだ。
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