241 / 328
第十章 Aランク昇格編
第234話 Aランクになって
しおりを挟む
「おっ、コルネくんじゃないか。これ、ささやかだけどAランクになったお祝い──受け取ってくれ」
「ありがとうございます」
俺のAランク昇格というニュースが王国全土に知れ渡るのに時間はかからなかったようで、俺が書状を受け取った数日後には街の人は皆知っていた。
先ほどもたまたまお店の前を通りがかっただけだというのに、八百屋のおじさんから野菜をもらった。このところ、街の人たちからお祝いをもらってばかりだ。
ヘルガさんも買い物に行くたびに俺の昇格祝いだと未だによくおまけしてもらっていると言っていた。やはり俺と師匠とヘルガさんがここで暮らしていることは周知の事実なのだろうか。
Aランクに上がってから街の人に祝福される以外に変わったことといえば、いろんなところから手紙がきたことだろうか。
アドレアはいろいろあってサラさんのところに通っているそうだ。アドレアはサラさんの魔導書を幼い頃から読んでいたから、きっとサラさんと初めて会ったときは嬉しかっただろう。
それにサラさんの得意な系統は「とっておき」と言っていた「ゲヘナ」から考えるに、おそらく火。アドレアも火系統の魔法が得意だったから気が合うことだろう。
マリーはルミーヴィアで頑張っているようだった。レネさんたちとギルドの隅で毎日練習していて、回復魔法も順調に上達しているらしい。ときどきミャクーに帰ってパパやアルノさんの様子を見てきてほしい、とのことだった。
ローランやレオンさんの道場の友人からも祝福の手紙が来ていた。ローランは早く闘いたいがアクスウィルの授業が詰まっていて行けそうにないと書かれていて、可笑しくなってしまった。本当にローランは変わらないな。
レオンさんのところで一緒に修行をしていたメンツから何人かが山にモンスターが出たときにパーティとして行けるほどには上のグループになったと書いてあった。なんでも俺が教えた魔力操作で下剋上が起きまくっているらしい。
たくさんの人から手紙が届いて実は少しだけ──ほんの少しだけエミルからも連絡があるんじゃないかと期待していた。
これだけ噂になれば、俺がラムハにいることもきっとエミルに伝わるはず。手紙を出すための住所は分からないだろうが、ラムハでコルネという人物を探せばきっとすぐ俺に辿り着く。
だから、もしかするとエミルが訪ねてくるかも──なんてことを思って待っていたが、少なくともここ何日かはなかった。俺の話を聞いてすぐに出発したとしたらもう着いてもいいはずだが、これからも待ちつづけていたらいつか来るだろうか。
何か来れない事情が──いや、もしかするともう…………やめよう。これ以上は考えたくない。
「ありがとうございます」
俺のAランク昇格というニュースが王国全土に知れ渡るのに時間はかからなかったようで、俺が書状を受け取った数日後には街の人は皆知っていた。
先ほどもたまたまお店の前を通りがかっただけだというのに、八百屋のおじさんから野菜をもらった。このところ、街の人たちからお祝いをもらってばかりだ。
ヘルガさんも買い物に行くたびに俺の昇格祝いだと未だによくおまけしてもらっていると言っていた。やはり俺と師匠とヘルガさんがここで暮らしていることは周知の事実なのだろうか。
Aランクに上がってから街の人に祝福される以外に変わったことといえば、いろんなところから手紙がきたことだろうか。
アドレアはいろいろあってサラさんのところに通っているそうだ。アドレアはサラさんの魔導書を幼い頃から読んでいたから、きっとサラさんと初めて会ったときは嬉しかっただろう。
それにサラさんの得意な系統は「とっておき」と言っていた「ゲヘナ」から考えるに、おそらく火。アドレアも火系統の魔法が得意だったから気が合うことだろう。
マリーはルミーヴィアで頑張っているようだった。レネさんたちとギルドの隅で毎日練習していて、回復魔法も順調に上達しているらしい。ときどきミャクーに帰ってパパやアルノさんの様子を見てきてほしい、とのことだった。
ローランやレオンさんの道場の友人からも祝福の手紙が来ていた。ローランは早く闘いたいがアクスウィルの授業が詰まっていて行けそうにないと書かれていて、可笑しくなってしまった。本当にローランは変わらないな。
レオンさんのところで一緒に修行をしていたメンツから何人かが山にモンスターが出たときにパーティとして行けるほどには上のグループになったと書いてあった。なんでも俺が教えた魔力操作で下剋上が起きまくっているらしい。
たくさんの人から手紙が届いて実は少しだけ──ほんの少しだけエミルからも連絡があるんじゃないかと期待していた。
これだけ噂になれば、俺がラムハにいることもきっとエミルに伝わるはず。手紙を出すための住所は分からないだろうが、ラムハでコルネという人物を探せばきっとすぐ俺に辿り着く。
だから、もしかするとエミルが訪ねてくるかも──なんてことを思って待っていたが、少なくともここ何日かはなかった。俺の話を聞いてすぐに出発したとしたらもう着いてもいいはずだが、これからも待ちつづけていたらいつか来るだろうか。
何か来れない事情が──いや、もしかするともう…………やめよう。これ以上は考えたくない。
0
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる