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第十章 Aランク昇格編
第218話 Aランク昇格への挑戦 其の八
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──挑戦を始めて六十六日目のロンドの道場にて。
昨日、コルネからの手紙が届かなかったので、今日だろうとロンドはそわそわしていた。いつも手紙が来る日はそわそわしていたが、今回は特に落ち着かない様子で道場の中をうろうろと歩き回っていた。
突然、ふと何か思いついたように道場の裏へと向かい、いつも鍛錬を行う道場の裏につづく扉をがちゃりと開ける。
「コルネくん、どこまでクエスト終わってるかな」
「手紙が着いたら分かることじゃありませんか」
そこで物干し竿に洗濯物を干していたヘルガは、手を止めずに、はぁ、と小さくため息をつく。ロンドは同じ質問を昨日も一昨日もしているのだ。うんざりするのも当然だ。
「前にも話し合ったでしょう。予定通り帰るための最低条件が十一体、前回コルネくんが倒してきたのは十二体。十二体倒せていれば残りはトレトでのクエストだけになりますが、今どうなっているのか分からない以上、悩んでも仕方ないんですって」
そう言いながらパン、と音を立てて服を上から下に振り皺をのばし、次の洗濯物を干そうとしたところでヘルガが玄関前に人の気配を察知する。
すぐに呼び鈴が鳴り、ヘルガが向かおうとする頃にはすでにロンドがドアを閉めていてドタドタと足音が遠ざかっていた。
ヘルガが玄関に着いた頃にはすでにロンドが手紙を受け取っていて、ペーパーナイフで封を開けようとしていた。慣れた手つきで封筒の端を落とし、素早く中の便箋を取り出す。
手紙を広げ、しばらく二人で左右から読む──とはいっても、いつもコルネからの手紙は簡潔で読み終わるのに時間はかからないのだが。ヘルガが読み終わりそうになったあたりでロンドの明るい声が静かな玄関に響く。
「あと六体! ──ってことは六日で残り四体だから、コルネくんが帰ってきた後はトレトに直行だ!」
「そうですね、今までのペースならほぼ確実にそうなるでしょう……にしてもすごいですね、十日で八体って。他の挑戦者が聞いたら白目剥きますよ」
「ああ、こうしてはいられない! すぐに馬車の手配をしてこなくちゃ!」
そう言って道場を飛び出していくロンド。
「まったく……他の冒険者はAランクに上がれるかどうかで気をもむのに、まだ挑戦は終わってないのにAランクに上がった後のことしか考えてないの、冷静に考えるとおかしいんですよね」
そう小さく呟いて、ヘルガは途中になっている洗濯物を干しに戻るのだった。
昨日、コルネからの手紙が届かなかったので、今日だろうとロンドはそわそわしていた。いつも手紙が来る日はそわそわしていたが、今回は特に落ち着かない様子で道場の中をうろうろと歩き回っていた。
突然、ふと何か思いついたように道場の裏へと向かい、いつも鍛錬を行う道場の裏につづく扉をがちゃりと開ける。
「コルネくん、どこまでクエスト終わってるかな」
「手紙が着いたら分かることじゃありませんか」
そこで物干し竿に洗濯物を干していたヘルガは、手を止めずに、はぁ、と小さくため息をつく。ロンドは同じ質問を昨日も一昨日もしているのだ。うんざりするのも当然だ。
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そう言いながらパン、と音を立てて服を上から下に振り皺をのばし、次の洗濯物を干そうとしたところでヘルガが玄関前に人の気配を察知する。
すぐに呼び鈴が鳴り、ヘルガが向かおうとする頃にはすでにロンドがドアを閉めていてドタドタと足音が遠ざかっていた。
ヘルガが玄関に着いた頃にはすでにロンドが手紙を受け取っていて、ペーパーナイフで封を開けようとしていた。慣れた手つきで封筒の端を落とし、素早く中の便箋を取り出す。
手紙を広げ、しばらく二人で左右から読む──とはいっても、いつもコルネからの手紙は簡潔で読み終わるのに時間はかからないのだが。ヘルガが読み終わりそうになったあたりでロンドの明るい声が静かな玄関に響く。
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「ああ、こうしてはいられない! すぐに馬車の手配をしてこなくちゃ!」
そう言って道場を飛び出していくロンド。
「まったく……他の冒険者はAランクに上がれるかどうかで気をもむのに、まだ挑戦は終わってないのにAランクに上がった後のことしか考えてないの、冷静に考えるとおかしいんですよね」
そう小さく呟いて、ヘルガは途中になっている洗濯物を干しに戻るのだった。
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