パーティを抜けた魔法剣士は憧れの冒険者に出会い、最強の冒険者へと至る

一ノ瀬一

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第十章 Aランク昇格編

第204話 マンドラゴラ 其の四

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 僕も土魔法でマンドラゴラを探していたが、一体目のマンドラゴラを見つけるよりも先にコルネくんが二体マンドラゴラを見つけてしまった。

 マンドラゴラをコルネくんの方に誘導するためにある程度の距離を保ちつつ、次々と移動してくるコルネくんから見つからないように逃げる──その中でマンドラゴラ探しをしなければならず、スピードが落ちてしまっていたからだろう。

 せっかくこっそりついてきたのに何も出来ないとは……しかしコルネくんはもう二体目の葉っぱをむしっている。一体目で少し慣れたのか手際よくプチプチと葉を摘んでいく。

 このままならマンドラゴラが弱るまでちゃんと待てば、逃げられることはないだろう。その前に僕はここを離脱しなければ。

 大きな音を立てないように、草があまり生えていないところに足を下ろし、だんだんと距離を取る。

 ここまで来れば大丈夫なはず、たしかあっちから走ってきた……はずだから、一直線に向かえばギルドに戻れるはず。多少ずれても全速力でギルドまで行けばコルネくんよりも先に着けるはずだ。

 通った後に風を起こしながら、全速力で森を駆け抜けていく。もし離れてしまった場所に出てしまった場合を考えて、なるべく時間を残しておきたい。

 ギルドに着いたら水魔法で手を洗うのを忘れないようにしないと。ずっとギルドで待っていたはずなのに手が汚れているのは不自然だ。

 * * *

 運よく二体目はちょうど太陽が真上に来る頃に見つかった。一体目と同じように手で押さえながら葉をむしり、付け根をナイフで切る。

 さあ戻るかとギルドの方角に少し進むと、地面が掘り返された後がいくつもあった。俺はこんなところまでは探しに来てなかった気がするが──もしかしたら少しずつ移動していたから分からなかっただけで、いつの間にかかなりの広さを探していたのかもしれない。

 自分では運がよかったと思っていたが、案外広いエリアをすでに探していたのか。何にせよ見つかってよかった。早くギルドに戻って師匠に報告しなければ。



 ギルドに戻って待っていた師匠にマンドラゴラを見せると、よかったよかったと一緒に喜んでくれた。そのままマンドラゴラを提出しに向かったが、俺は師匠の爪に土が入り込んでいるのを見逃さなかった。

 俺がマンドラゴラを探している間、退屈すぎて師匠も森の入り口でマンドラゴラを探したんだろうか。
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