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第十章 Aランク昇格編
第203話 マンドラゴラ 其の三
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いくらかシャベルで掘っていくと分かったが、この作業は常に気を張り詰めなければならず、精神的にきつい。
地面を掘ったらすぐに、マンドラゴラが飛び出してきても捕獲できるようにシャベルを手放し、両手で構える──これを一回ごとにするのがかなり面倒だった。だから少しでも手間を省くために、土魔法を使い、手を使わずに掘り起こす方法に切り替えた。
狭い範囲の土を少しだけ盛り上げるという緻密な作業は今までなら苦戦していただろうが、半年の間に土魔法もしっかり鍛えたので、出来るようになっているのは知っている。
今から盛り上げる地面の周りに捕まえられるように両手を構えて、土魔法を使う。もしマンドラゴラが出てきたら素早く両手で捕まえられるはずだ。
相変わらず集中力は必要だが、これならペースアップできそうだ。
たしかにペースアップはしたが、なかなかマンドラゴラは見つからない。一帯にある葉っぱを調べつくしては移動し、調べつくしてはまた移動し──三十回くらいはもう繰り返しただろうか。
あまり人が入らないであろう奥なら案外すぐに見つかってしまうかも──なんて密かに期待していたのだが、さすがに甘かったようだ。
この辺もこの葉っぱを調べたら終わりか──左から来たから次は右の方に行ってみるか。気が緩んで次のことを考えながら魔法を使ってしまいそうになり、一旦深呼吸をする。
集中しなければ……これがマンドラゴラの可能性だってあるのだ。マンドラゴラを二体捕まえるまで気を抜いてはいけない。気合いを入れ直して、魔法で土を盛り上げる。
「キィィィィィィィィィィィ」
その刹那、土の中から出ているにもかかわらず、そこら中に響き渡るほど大きな金切り声が聞こえた。とてつもなくうるさい声を至近距離で出されて一瞬だけ怯んでしまいそうになるが、ここで逃がしてしまえば全てが水の泡となってしまう。
盛り上がった土に被せるように、素早く両手を動かす。すると、土から飛び出そうとしたマンドラゴラが右手に当たる。
小さな体からは想像もつかないほどの衝撃が伝わる。その結果、手にぶつかったマンドラゴラの勢いを殺しきれずに、右手が少し浮いてしまう。
これはまずいと思い、左手を右手の下に滑り込ませると硬い感触がある。逃げられないように素早く右手を四本の指が入るくらいまで浮かせ、下から突いてくるマンドラゴラをしっかりと握る。
握ってもなお、マンドラゴラはゴンゴンと勢いよく俺の手を突き上げてくる。このままだといつ逃げられるか分からない。早いところ締めてしまおう。
まずは頭の葉っぱをむしり取る。全部むしると、かなりおとなしくなるらしい。てのひらで上からマンドラゴラを押さえながら右手の親指と人差し指で茎を折っていくと、金切り声は大きく、暴れ方は激しくなる。
全部葉をむしってしばらく経つと、あんなにうるさかった声も弱々しいものになってきた。そろそろいいかと思い、俺はさっとナイフを取り出して、茎の付け根よりも少し下を切る──するとマンドラゴラは動きをぴたりと止め、周囲には静寂が訪れる。
まずは一体確保だ。腰に下げていた袋に丁寧にマンドラゴラを入れ、口を縛る。この調子ならもしかすると昼過ぎくらいにはギルドに戻れるかもしれない。師匠にいい報告ができるように頑張らないと。
地面を掘ったらすぐに、マンドラゴラが飛び出してきても捕獲できるようにシャベルを手放し、両手で構える──これを一回ごとにするのがかなり面倒だった。だから少しでも手間を省くために、土魔法を使い、手を使わずに掘り起こす方法に切り替えた。
狭い範囲の土を少しだけ盛り上げるという緻密な作業は今までなら苦戦していただろうが、半年の間に土魔法もしっかり鍛えたので、出来るようになっているのは知っている。
今から盛り上げる地面の周りに捕まえられるように両手を構えて、土魔法を使う。もしマンドラゴラが出てきたら素早く両手で捕まえられるはずだ。
相変わらず集中力は必要だが、これならペースアップできそうだ。
たしかにペースアップはしたが、なかなかマンドラゴラは見つからない。一帯にある葉っぱを調べつくしては移動し、調べつくしてはまた移動し──三十回くらいはもう繰り返しただろうか。
あまり人が入らないであろう奥なら案外すぐに見つかってしまうかも──なんて密かに期待していたのだが、さすがに甘かったようだ。
この辺もこの葉っぱを調べたら終わりか──左から来たから次は右の方に行ってみるか。気が緩んで次のことを考えながら魔法を使ってしまいそうになり、一旦深呼吸をする。
集中しなければ……これがマンドラゴラの可能性だってあるのだ。マンドラゴラを二体捕まえるまで気を抜いてはいけない。気合いを入れ直して、魔法で土を盛り上げる。
「キィィィィィィィィィィィ」
その刹那、土の中から出ているにもかかわらず、そこら中に響き渡るほど大きな金切り声が聞こえた。とてつもなくうるさい声を至近距離で出されて一瞬だけ怯んでしまいそうになるが、ここで逃がしてしまえば全てが水の泡となってしまう。
盛り上がった土に被せるように、素早く両手を動かす。すると、土から飛び出そうとしたマンドラゴラが右手に当たる。
小さな体からは想像もつかないほどの衝撃が伝わる。その結果、手にぶつかったマンドラゴラの勢いを殺しきれずに、右手が少し浮いてしまう。
これはまずいと思い、左手を右手の下に滑り込ませると硬い感触がある。逃げられないように素早く右手を四本の指が入るくらいまで浮かせ、下から突いてくるマンドラゴラをしっかりと握る。
握ってもなお、マンドラゴラはゴンゴンと勢いよく俺の手を突き上げてくる。このままだといつ逃げられるか分からない。早いところ締めてしまおう。
まずは頭の葉っぱをむしり取る。全部むしると、かなりおとなしくなるらしい。てのひらで上からマンドラゴラを押さえながら右手の親指と人差し指で茎を折っていくと、金切り声は大きく、暴れ方は激しくなる。
全部葉をむしってしばらく経つと、あんなにうるさかった声も弱々しいものになってきた。そろそろいいかと思い、俺はさっとナイフを取り出して、茎の付け根よりも少し下を切る──するとマンドラゴラは動きをぴたりと止め、周囲には静寂が訪れる。
まずは一体確保だ。腰に下げていた袋に丁寧にマンドラゴラを入れ、口を縛る。この調子ならもしかすると昼過ぎくらいにはギルドに戻れるかもしれない。師匠にいい報告ができるように頑張らないと。
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