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第九章 ルミーヴィアへの旅編
第181話 ルミーヴィア
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翌朝、ニザヘナを発つ前にどうしても皆スイーツが食べたかったので、朝早くから開いているお店を探して、歩くのに支障が出ない程度に食べた。
もちろんそこのスイーツも美味しかったのだが、ベリー・トトリーはやはり格別だったのだと分かった。
昼食の他にベリーを乾燥させたものも街で買って、旅の目的地であるルミーヴィアを目指す。
ミャクー村からルミーヴィアまでは冒険者が頑張って三日で着くほどの距離なのだが、ここ二日俺たちはなんだかんだでハイペースでここまで来ている。
昨日はニザヘナに泊まるためにまだ暗くならないうちに進むのをやめてしまったが、それでも今日中にルミーヴィアに到着できそうだ。
初日はもう少し行けそうだとレクタムに向かった結果、薄闇の中を猛ダッシュで進んだし、昨日はニザヘナベリーが楽しみすぎて自然とペースが上がっていた。
ヒールを駆使して無謀とも思えるスピードで突き進んでいくマリーもすごかったが、師匠が魔力操作をしていたときもあったとはいえ、体力だけで俺たちについてきた兄さんもすごいな。
今日ルミーヴィアに着いてしまえば、おそらく明日からはマリーとしばらく会えなくなる。
三年か五年か──はたまたどちらかが死んでしまって永遠に会えないか。幼馴染たちの中で唯一会いに行けるところにいた分、マリーがいなくなってしまうと正直寂しい。
頻繁に会っていたわけではないが、ミャクーに行ってパン屋のドアを開ければいつでもマリーが座って店番をしている──その事実だけでなんとなく安心するのだ。
でも寂しいなんて本人には言えるはずがない。マリーは自分で故郷を離れてレネさんに弟子入りすると決めたのだ。彼女がその選択をしたのなら、俺は快く送り出すべきだろう。
「ここがルミーヴィアか……」
ちょうど空が一面茜に染まる頃、俺たちはルミーヴィアに辿り着いた。ルミーヴィアは高地にある町でミャクーやヴィレアよりは発展しているが、街と呼べるほどではない。
ここに来るまでの坂を上っている途中でマリーの顔がふとした瞬間に曇るのを彼女はなんでもないと誤魔化していたが、やはり無意識に顔に出てしまうほどには不安なのだろう。
とりあえずレネさんを探す前に宿を取っておこうと、町で一番大きな宿屋に入ると突然誰かに話しかけられる。否、話しかけられたのは俺ではなく兄さんだったようだ。
「よぉ、久しぶりじゃんか──アルノ」
そこに立っていたのは目つきの悪い気の強そうな女性だった。
もちろんそこのスイーツも美味しかったのだが、ベリー・トトリーはやはり格別だったのだと分かった。
昼食の他にベリーを乾燥させたものも街で買って、旅の目的地であるルミーヴィアを目指す。
ミャクー村からルミーヴィアまでは冒険者が頑張って三日で着くほどの距離なのだが、ここ二日俺たちはなんだかんだでハイペースでここまで来ている。
昨日はニザヘナに泊まるためにまだ暗くならないうちに進むのをやめてしまったが、それでも今日中にルミーヴィアに到着できそうだ。
初日はもう少し行けそうだとレクタムに向かった結果、薄闇の中を猛ダッシュで進んだし、昨日はニザヘナベリーが楽しみすぎて自然とペースが上がっていた。
ヒールを駆使して無謀とも思えるスピードで突き進んでいくマリーもすごかったが、師匠が魔力操作をしていたときもあったとはいえ、体力だけで俺たちについてきた兄さんもすごいな。
今日ルミーヴィアに着いてしまえば、おそらく明日からはマリーとしばらく会えなくなる。
三年か五年か──はたまたどちらかが死んでしまって永遠に会えないか。幼馴染たちの中で唯一会いに行けるところにいた分、マリーがいなくなってしまうと正直寂しい。
頻繁に会っていたわけではないが、ミャクーに行ってパン屋のドアを開ければいつでもマリーが座って店番をしている──その事実だけでなんとなく安心するのだ。
でも寂しいなんて本人には言えるはずがない。マリーは自分で故郷を離れてレネさんに弟子入りすると決めたのだ。彼女がその選択をしたのなら、俺は快く送り出すべきだろう。
「ここがルミーヴィアか……」
ちょうど空が一面茜に染まる頃、俺たちはルミーヴィアに辿り着いた。ルミーヴィアは高地にある町でミャクーやヴィレアよりは発展しているが、街と呼べるほどではない。
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