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第九章 ルミーヴィアへの旅編
第178話 ベリー・トトリーにて
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ニザヘナベリーのことを考えながら四人でずんずんと歩いていくと、太陽がまだ高いうちにニザヘナが見えてくる。
レクタムのときとは違い、今回はまだみんな元気だ──いや、元気すぎるほどだ。みんなニザヘナベリーが食べられると興奮しており、昨日の師匠が四人いるみたいだ。
俺も自身が興奮していることは分かっているのだが、冷静になれないでいた。ガイドブックに載っていたニザヘナベリーを使ったスイーツの絵が、どうしても頭から離れないのだ。
「みんな──分かってるよね」
「「「もちろんです」」」
街に入ると、全員が今から戦いがあるかのような面構えになり──ザッ、ザッ、と早足で歩みを進める。異様な雰囲気の集団に道行く人々がこちらに注目している気がするが、今はそんなことを気にしてはいられない。
歩きながら四人で師匠のガイドブックを覗き込んでいたのだ、最初に行くべき場所もそこまでの道順も分かっている。
「ここだ……!」
目的地に着き、師匠が思わず呟く。ベリー・トトリー──ガイドブックにでかでかと載っていた、この街で一番人気のニザヘナベリーを使ったスイーツを出しているお店だ。
綺麗な外観の建物にかわいらしいニザヘナベリーの描かれた看板、そして窓ごしでも分かる店内のお洒落な内装──貴族御用達という噂があるのも頷ける。
そのような噂があるのなら目玉が飛び出るほど高額なのかと思うが、実際はそんなことはなく、少し高いがここでしか食べられないと考えれば出せるような良心的な価格らしい。
扉の前まで行くと、師匠が俺たちを見て小さく頷く。きっと覚悟は決めたか、と問うているのだ。俺たちが頷きかえすのを確認すると、師匠がお店のドアを開ける。
「いらっしゃいませ、お好きな席へどうぞ」
店員さんの涼やかな声を聞き、窓際のテーブルに座る。するとすぐに店員さんがやってきてメニューを置いていく。
そのメニューをテーブルのど真ん中に置いてみんなで覗き込む。周りから見れば秘密の相談をしているような恰好になってしまっているが、全員が今メニューを見たいのだから仕方ないのだ。
「僕はこの上に丸々ベリーが乗ったケーキとタルトかな、ガイドブックにも載ってたってことはたぶん人気も高いはずだから間違いないよ」
師匠は最初から二品頼むつもりらしい。師匠のことだからきっと二つじゃ止まらないな。
「俺はムースとパンケーキにします。パンケーキにベリーを煮詰めて作ったソースをたっぷりかけるなんて贅沢すぎませんか?」
「私はこの削り氷ってのにします。溶ける前に食べなくちゃいけないから他のは後から注文するとして──氷を細かく削ってふわふわの食感にしたって冷静に考えてすごくないですか? きっと今まで食べたことのないような味がするにきまってます」
兄さんやマリーも何を頼むか決まったようだ。
「俺はこのケーキとパフェで──ケーキは看板メニューだから決定として、ベリー以外も入ってていろんな組み合わせが楽しめるパフェこそ至高ですよ」
全員決まったようなので店員さんを呼んで注文をすると、困惑した表情をしながらも注文を取り、間違えないように注文を復唱しながら店員さんが戻っていくのを見て、一気に頼みすぎたと反省したのだった。
レクタムのときとは違い、今回はまだみんな元気だ──いや、元気すぎるほどだ。みんなニザヘナベリーが食べられると興奮しており、昨日の師匠が四人いるみたいだ。
俺も自身が興奮していることは分かっているのだが、冷静になれないでいた。ガイドブックに載っていたニザヘナベリーを使ったスイーツの絵が、どうしても頭から離れないのだ。
「みんな──分かってるよね」
「「「もちろんです」」」
街に入ると、全員が今から戦いがあるかのような面構えになり──ザッ、ザッ、と早足で歩みを進める。異様な雰囲気の集団に道行く人々がこちらに注目している気がするが、今はそんなことを気にしてはいられない。
歩きながら四人で師匠のガイドブックを覗き込んでいたのだ、最初に行くべき場所もそこまでの道順も分かっている。
「ここだ……!」
目的地に着き、師匠が思わず呟く。ベリー・トトリー──ガイドブックにでかでかと載っていた、この街で一番人気のニザヘナベリーを使ったスイーツを出しているお店だ。
綺麗な外観の建物にかわいらしいニザヘナベリーの描かれた看板、そして窓ごしでも分かる店内のお洒落な内装──貴族御用達という噂があるのも頷ける。
そのような噂があるのなら目玉が飛び出るほど高額なのかと思うが、実際はそんなことはなく、少し高いがここでしか食べられないと考えれば出せるような良心的な価格らしい。
扉の前まで行くと、師匠が俺たちを見て小さく頷く。きっと覚悟は決めたか、と問うているのだ。俺たちが頷きかえすのを確認すると、師匠がお店のドアを開ける。
「いらっしゃいませ、お好きな席へどうぞ」
店員さんの涼やかな声を聞き、窓際のテーブルに座る。するとすぐに店員さんがやってきてメニューを置いていく。
そのメニューをテーブルのど真ん中に置いてみんなで覗き込む。周りから見れば秘密の相談をしているような恰好になってしまっているが、全員が今メニューを見たいのだから仕方ないのだ。
「僕はこの上に丸々ベリーが乗ったケーキとタルトかな、ガイドブックにも載ってたってことはたぶん人気も高いはずだから間違いないよ」
師匠は最初から二品頼むつもりらしい。師匠のことだからきっと二つじゃ止まらないな。
「俺はムースとパンケーキにします。パンケーキにベリーを煮詰めて作ったソースをたっぷりかけるなんて贅沢すぎませんか?」
「私はこの削り氷ってのにします。溶ける前に食べなくちゃいけないから他のは後から注文するとして──氷を細かく削ってふわふわの食感にしたって冷静に考えてすごくないですか? きっと今まで食べたことのないような味がするにきまってます」
兄さんやマリーも何を頼むか決まったようだ。
「俺はこのケーキとパフェで──ケーキは看板メニューだから決定として、ベリー以外も入ってていろんな組み合わせが楽しめるパフェこそ至高ですよ」
全員決まったようなので店員さんを呼んで注文をすると、困惑した表情をしながらも注文を取り、間違えないように注文を復唱しながら店員さんが戻っていくのを見て、一気に頼みすぎたと反省したのだった。
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