パーティを抜けた魔法剣士は憧れの冒険者に出会い、最強の冒険者へと至る

一ノ瀬一

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第九章 ルミーヴィアへの旅編

第170話 休憩

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 日が暮れる前になんとかラムハまで戻ってきた俺が師匠の部屋を開けると、大量の書類と格闘している師匠とそれをたすけるヘルガさんがいた。

 たしかにこの量の書類が必要となると出かける気も起きないだろう、と思った。堆く積まれた山からは、俺が出てからずっとこうしていたことが分かる。

「ロンド様、コルネくんが帰ってきたことですし、休憩にいたしましょう。どうせまとめて明日の朝に送るんですから、それまでに仕上げればよいのです」
「それもそうだね、食堂でおやつを食べながらコルネくんの話を聴こうか。お茶を入れてくれるかな、ヘルガ」
「かしこまりました」



「──というわけで、兄さんも一緒について行きたいみたいなんですけどいいですか?」

 いきなり兄さんの名前が出てきて、困惑する師匠。たしかに俺もまさかマリーと話してたら兄さんが来て、行きたいと言いだすなんて思ってもみなかった。

 最初は半分冗談のつもりだったらしいが、マリーが兄さんがいた方が気まずくなさそうと言ってから本当に行くかどうかの流れになってしまった。

 兄さんも昔、孤児院で一緒に師匠の魔法剣を目を輝かせて見ていた。だからきっと、本当に行きたかったんだと思う。

 でも前にギルドで会ったときは「ミャクーでゆっくり暮らしたい」って言ってたじゃん……いや今回の旅はルミーヴィアに行くだけで、討伐はないから「ゆっくり暮らす」範疇か。

「うーん──────まあ、マリーさんがいいなら僕は構わないけど。コルネくんに剣を教えた師匠にも会ってみたかったしね」
「それなら、また明日ミャクーまで行ってそう伝えておきます。書類の方は大丈夫ですか?」

 書類はまとめて明日出すと言っていた。もしかすると今日は夜遅くまで師匠はペンを走らせないといけないのかもしれない。

「心配しなくても大丈夫だよ。今ちょうど七割くらいかな、ヘルガも書類の整理を手伝ってくれてたから結構進んだんだ──だからこのままいけば、ちょっと遅くなるけど寝られると思うよ」

 そう返す師匠の顔は疲れているのか、少し元気がないように見えた。いつもはあまり疲れを見せない師匠が目に見えるほど疲れるなんて、書類を書くのは思った以上に過酷なのかもしれない。
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