パーティを抜けた魔法剣士は憧れの冒険者に出会い、最強の冒険者へと至る

一ノ瀬一

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第八章 新しいメニューと緊急クエスト編

第164話 任務を終えたコルネ 其の二

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 無事に師匠がオーガを倒して、安堵に包まれた冒険者や村人たちは一緒になってお肉を頬張っている。村の人の中にはお肉は久しぶりだという人もいて、とても嬉しそうだ。

 見張りで一緒になった冒険者たちと話していると、色んなところで交わされる会話が次から次へと耳に飛び込んでくる。今度倉の整理を手伝ってほしいだとか、お肉が美味しいだとか、内容はてんでんばらばらだが、その中でひときわ大きな声で盛り上がっているところがある。

「──で、そこでオーガのこんな太い腕を避けてだな! オーガを斬りつけるんだ、でもオーガにはまるで効いてないみたいで──」

 一人の冒険者──おそらく師匠についていった盾使いだろう──が、師匠とオーガの戦いを大勢に向けて語っている。それに何十人もの冒険者や村人たちがすっかり聴き入っていている。

 実際にどうやってオーガを倒したのかは彼と師匠以外は知らないから、気になるのだろう。Sランク冒険者の戦いを間近で見た者などそうそういないはずだから、皆が夢中になるのも頷ける。

 まあ、あの巨大なケルベロスでさえ一瞬でのだから、おそらく今回も師匠はオーガを瞬殺したのだろう。

「そこでロンド様が一瞬で消えたと思ったら、素早く跳びあがっていて──そばに生えていた木を蹴って勢いをつけてから、ズバッと、なんと一撃でオーガを仕留めたんだ」
「すげー!」
「たった一撃で!?」
「でも、なんでオーガは攻撃しなかったんだ?」

 それはきっと最初の剣が──

「これは俺も後から気付いたんだけどよ、きっと最初の雷の魔法剣でオーガは痺れてわずかな時間だけ動けなかったんだ。ロンド様はその隙を突いたのさ──ロンド様が跳びあがってからオーガの首が落ちるまで本当にあっという間だった」
「そんなわずかな時間で……きっと最初から一撃で仕留められると分かっていたんだ」
「さすがはSランク冒険者、全部計算済みってことか」

 冒険者が熱く師匠のことを語るのを聴いていて、俺も鼻が高い。師匠は無敵の冒険者なのだ。

 * * *

 ロンド様がヴィレアに向かわれた後、私は一人、上に送るための報告書をしたためる。

 ヴィレアにオーガが出た──コルネくんはたしかにそう言っていた。もしAランクのモンスターがいたとなると、あそこにもAランクパーティが必要になってくる。

 ヴィレアは今頃どうなっているだろうか。ロンド様はどんなモンスターでも負けないだろうがたった一人だ。取り逃がしてしまって、オーガが村に下りてきてしまえば、被害は甚大になる。

 上手くいっているといいのだけれど──そう思いながら、私はペンを置く。現時点で記せる情報は少ない。

 私に今できるのは、ロンド様の留守を守りながら家事をこなし、夕食を少し豪華にして二人を労うことだけだ。
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