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第八章 新しいメニューと緊急クエスト編
第158話 オーガとの戦い
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頭から伸びる二本の角に、筋肉質な太い腕は人間の胴体ほどもある。体のつくりは人間とよく似ているが、木々に紛れるためか肌の色が緑だ。
俺は初めて見るオーガに本能的な恐怖を抱いていた。あの腕が胴体に一度直撃しただけで、おそらく死ぬ──たとえ運よく即死を免れたとしても、しばらく動けないだろうから死ぬ。
頼むからこちらに気付かないでくれ。早く……早く過ぎ去ってくれ。今から倒さないといけないと分かっているのに、頭の中が恐怖でいっぱいになる。
「行ってくるよ。きみはここから動かないで」
ロンド様の言葉に俺が震えながらコクコクと頷くと、ロンド様は切った蔓を静かにかき分けて、のしのしとだんだん離れていくオーガの方へと向かっていく。
蔓の擦れあう音がどうしてもしてしまうが、オーガ自身の足音に紛れたせいか、幸いにも気付かれることはなかった。
オーガをほぼ一直線に狙えるところまで移動したロンド様は一度目を閉じ、呼吸を整える。集中しているのだろう。
そこからすぐにカッと目を開けたかと思うと、突然走り出す。は、速い──人間は走り始めてからだんだんとスピードが上がるはずなのに、走り出しから異様に速いのだ。
身体能力で説明がつくようなものではない。おそらくは何かしらの魔法だろう。
尋常ではない速さでロンド様はオーガに接近するが、ずっと歩き続けていたオーガまではかなり距離が出来てしまっている。
半分まで距離を詰めたあたりでオーガの方も気付いた素振りを見せ、素早く振り返る。こちらも速い──巨体からは想像できないほどの速さでオーガが体の向きを変える。
ロンド様が斬りかかる前にオーガは完全に構えてしまっている。これでは不意打ちはできない。ロンド様はどう出るのか──自分の命をもが懸かった状況でこんなことを思うのもなんだが、これは見ものだ。
ロンド様の剣が青白い輝きに包まれる。これは──たしか雷の魔法剣だ。コルネが見せてくれた中にあった。
なるほど、痺れさせてから攻撃しようというわけか。危険な腕も、そもそも体が動かなければ怖くない。
斬りかかろうとするロンド様に向かってオーガは横薙ぎに腕を振るう。それを勢いよく突っ込んでいたのにも関わらず、いきなりバックステップで回避し、脚へと斬りつける。
突然勢いを殺して後ろに下がるなど、常人にできる技ではない。おそらくこれも魔法だ。
脚に傷は出来ているようだが、オーガが倒れる気配はない。この巨躯には効かないということか──だとしたら、この状況はまずいんじゃないか。
オーガの脚が動くのなら、蹴飛ばされておしまいだ。ロンド様の方に攻撃を防ぐ術はないのだから。
ずっと目を離さずに見ていたはずなのに、オーガの足元からロンド様が忽然と消える。否、まるで消えたかのように一瞬で地面を蹴ってオーガの頭の高さまで跳びあがったのだ。
「はあああああああああっ……!」
俺が戸惑っている間にロンド様は近くの木を蹴り、その勢いのまま、オーガの首を一太刀で切り落とす。
スタッと軽やかに着地したロンド様の剣にはいつの間にか炎が燃え盛っていた。
何が起きたのか分からなかった──いや、全て見ていたのだから正確には分かっているのだが、頭が追いついてこない。
そうか、オーガは倒れはしなかったが、痺れていて一瞬動けなかった──雷の魔法剣は効いていたのだ。その一瞬の隙にロンド様は跳びあがって木を蹴ることで勢いをつけ、炎の魔法剣で首を刎ねた。
俺が全てを理解したのは、オーガの首が鈍い音を立てて地面にぶつかった後だった。
俺は初めて見るオーガに本能的な恐怖を抱いていた。あの腕が胴体に一度直撃しただけで、おそらく死ぬ──たとえ運よく即死を免れたとしても、しばらく動けないだろうから死ぬ。
頼むからこちらに気付かないでくれ。早く……早く過ぎ去ってくれ。今から倒さないといけないと分かっているのに、頭の中が恐怖でいっぱいになる。
「行ってくるよ。きみはここから動かないで」
ロンド様の言葉に俺が震えながらコクコクと頷くと、ロンド様は切った蔓を静かにかき分けて、のしのしとだんだん離れていくオーガの方へと向かっていく。
蔓の擦れあう音がどうしてもしてしまうが、オーガ自身の足音に紛れたせいか、幸いにも気付かれることはなかった。
オーガをほぼ一直線に狙えるところまで移動したロンド様は一度目を閉じ、呼吸を整える。集中しているのだろう。
そこからすぐにカッと目を開けたかと思うと、突然走り出す。は、速い──人間は走り始めてからだんだんとスピードが上がるはずなのに、走り出しから異様に速いのだ。
身体能力で説明がつくようなものではない。おそらくは何かしらの魔法だろう。
尋常ではない速さでロンド様はオーガに接近するが、ずっと歩き続けていたオーガまではかなり距離が出来てしまっている。
半分まで距離を詰めたあたりでオーガの方も気付いた素振りを見せ、素早く振り返る。こちらも速い──巨体からは想像できないほどの速さでオーガが体の向きを変える。
ロンド様が斬りかかる前にオーガは完全に構えてしまっている。これでは不意打ちはできない。ロンド様はどう出るのか──自分の命をもが懸かった状況でこんなことを思うのもなんだが、これは見ものだ。
ロンド様の剣が青白い輝きに包まれる。これは──たしか雷の魔法剣だ。コルネが見せてくれた中にあった。
なるほど、痺れさせてから攻撃しようというわけか。危険な腕も、そもそも体が動かなければ怖くない。
斬りかかろうとするロンド様に向かってオーガは横薙ぎに腕を振るう。それを勢いよく突っ込んでいたのにも関わらず、いきなりバックステップで回避し、脚へと斬りつける。
突然勢いを殺して後ろに下がるなど、常人にできる技ではない。おそらくこれも魔法だ。
脚に傷は出来ているようだが、オーガが倒れる気配はない。この巨躯には効かないということか──だとしたら、この状況はまずいんじゃないか。
オーガの脚が動くのなら、蹴飛ばされておしまいだ。ロンド様の方に攻撃を防ぐ術はないのだから。
ずっと目を離さずに見ていたはずなのに、オーガの足元からロンド様が忽然と消える。否、まるで消えたかのように一瞬で地面を蹴ってオーガの頭の高さまで跳びあがったのだ。
「はあああああああああっ……!」
俺が戸惑っている間にロンド様は近くの木を蹴り、その勢いのまま、オーガの首を一太刀で切り落とす。
スタッと軽やかに着地したロンド様の剣にはいつの間にか炎が燃え盛っていた。
何が起きたのか分からなかった──いや、全て見ていたのだから正確には分かっているのだが、頭が追いついてこない。
そうか、オーガは倒れはしなかったが、痺れていて一瞬動けなかった──雷の魔法剣は効いていたのだ。その一瞬の隙にロンド様は跳びあがって木を蹴ることで勢いをつけ、炎の魔法剣で首を刎ねた。
俺が全てを理解したのは、オーガの首が鈍い音を立てて地面にぶつかった後だった。
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