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第八章 新しいメニューと緊急クエスト編
第151話 久しぶりの討伐クエスト 其の四
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「さっき、そこで通りすがりのやつが収穫祭の魔法剣ってやつ? の話──してきたんだけど、そんなによかったのか?」
ギルドの中に戻った冒険者は、先ほどステージを見たと言っていた別の冒険者に訊く。
「ああ、綺麗だったぜ。ステージの盛り上がりも他のところの比じゃなかったもんな」
思い出すかのようにうっとりとした表情をする冒険者。コルネに真っ先に声をかけた冒険者だ。
「そうか……俺も見たかったな」
「あたしもだよ……次は来年かぁ。一年も待ち切れないよ」
ロンドと話してきた冒険者に同調する彼女は、二人とは別のパーティに所属する魔法使いだ。
彼女の言葉に、最近ヴィレアにやってきた新参の若い冒険者は剣の手入れをしながら質問を投げかける。
「なんで一年後なんだ?」
「なんでって……魔法剣を使うSランク冒険者のロンド様が唯一その技を見せるのがラムハの収穫祭なのさ。去年──いや、一昨年までは毎年同じのをちょっとしか見せてもらえなくて……だからてっきり今年もそうかと思って、あたしはちょうどその時間に店で飯食ってたよ、ちくしょう……」
説明の途中で、勝手に落ち込み始める冒険者。
「だったら、さっきの冒険者は?」
「ステージでロンド様の弟子って紹介されてたぜ。俺もステージ見るまで知らなかったけどよ」
「うっそ、あのロンド様の弟子なの!? じゃあ、あいつも魔法剣を?」
「そうだな。いやぁ、俺は最初からすごいやつだと思ってたぜ──毎日BやCランクの討伐クエストを受けるなんて、まずまともじゃねぇからな」
「「たしかに……」」
一度短い沈黙が訪れるが、それを破るように新参の冒険者が言う。
「じゃあ、そのロンド様の弟子に魔法剣を見せてもらえるように頼めばいいんじゃないか?」
何も知らない新参の冒険者の言葉に、他の二人の視線は虚空を彷徨う。
「いや、それは……近寄りがたいというか…………いつもクエスト終わったらすぐ帰っちゃうし」
「…………ダメで元々、後で頼んでみよう。俺が言い出したことだからな。ステージで見せたってことは同業者には特段秘密ってわけでもないだろう」
* * *
ギルドから急いで山へ入って探していると、コルネくんは見つかった。そこまで手間取ったわけではないのだが、僕が着いたときにはすでにコボルトを倒した後だった。
よしよし、しっかりと首を落としているみたいで安心したよ。でもコボルトの背中には大きな傷がある──こんなに大きいと査定にも響くんじゃないだろうか。
コルネくんがミス? やはり久しぶりだったせいだろうか。ここからは山を下りるまで、しっかりとコルネくんを見ておかなければ。
もしかしたら、いきなりモンスターが出るかもしれない。注意しないと。
結局、山を下りるまでモンスターにも遭わず、特に他の冒険者に会うこともなかった。
コルネくんが山を下りて少しいったところで、僕はラムハへと帰り始める。コルネくんも移動が速くなっているし、おそらく今から帰り始めないと間に合わない。
全力に近いスピードでラムハまで戻り、すぐに水浴びをする。ずっと家にいたはずの僕が汗をかいているのはおかしいだろう。
体を拭き、髪を風の魔法で乾かして、急いで出かける前に来ていた部屋着に着替える。
そろそろコルネくんが帰ってくると思ったんだけど……今日は少し遅いみたいだ。あの後何かあったんだろうか──そう考えていると、玄関の扉が開く音がする。
「おかえり、コルネくん」
僕は何食わぬ顔で答える。
ギルドの中に戻った冒険者は、先ほどステージを見たと言っていた別の冒険者に訊く。
「ああ、綺麗だったぜ。ステージの盛り上がりも他のところの比じゃなかったもんな」
思い出すかのようにうっとりとした表情をする冒険者。コルネに真っ先に声をかけた冒険者だ。
「そうか……俺も見たかったな」
「あたしもだよ……次は来年かぁ。一年も待ち切れないよ」
ロンドと話してきた冒険者に同調する彼女は、二人とは別のパーティに所属する魔法使いだ。
彼女の言葉に、最近ヴィレアにやってきた新参の若い冒険者は剣の手入れをしながら質問を投げかける。
「なんで一年後なんだ?」
「なんでって……魔法剣を使うSランク冒険者のロンド様が唯一その技を見せるのがラムハの収穫祭なのさ。去年──いや、一昨年までは毎年同じのをちょっとしか見せてもらえなくて……だからてっきり今年もそうかと思って、あたしはちょうどその時間に店で飯食ってたよ、ちくしょう……」
説明の途中で、勝手に落ち込み始める冒険者。
「だったら、さっきの冒険者は?」
「ステージでロンド様の弟子って紹介されてたぜ。俺もステージ見るまで知らなかったけどよ」
「うっそ、あのロンド様の弟子なの!? じゃあ、あいつも魔法剣を?」
「そうだな。いやぁ、俺は最初からすごいやつだと思ってたぜ──毎日BやCランクの討伐クエストを受けるなんて、まずまともじゃねぇからな」
「「たしかに……」」
一度短い沈黙が訪れるが、それを破るように新参の冒険者が言う。
「じゃあ、そのロンド様の弟子に魔法剣を見せてもらえるように頼めばいいんじゃないか?」
何も知らない新参の冒険者の言葉に、他の二人の視線は虚空を彷徨う。
「いや、それは……近寄りがたいというか…………いつもクエスト終わったらすぐ帰っちゃうし」
「…………ダメで元々、後で頼んでみよう。俺が言い出したことだからな。ステージで見せたってことは同業者には特段秘密ってわけでもないだろう」
* * *
ギルドから急いで山へ入って探していると、コルネくんは見つかった。そこまで手間取ったわけではないのだが、僕が着いたときにはすでにコボルトを倒した後だった。
よしよし、しっかりと首を落としているみたいで安心したよ。でもコボルトの背中には大きな傷がある──こんなに大きいと査定にも響くんじゃないだろうか。
コルネくんがミス? やはり久しぶりだったせいだろうか。ここからは山を下りるまで、しっかりとコルネくんを見ておかなければ。
もしかしたら、いきなりモンスターが出るかもしれない。注意しないと。
結局、山を下りるまでモンスターにも遭わず、特に他の冒険者に会うこともなかった。
コルネくんが山を下りて少しいったところで、僕はラムハへと帰り始める。コルネくんも移動が速くなっているし、おそらく今から帰り始めないと間に合わない。
全力に近いスピードでラムハまで戻り、すぐに水浴びをする。ずっと家にいたはずの僕が汗をかいているのはおかしいだろう。
体を拭き、髪を風の魔法で乾かして、急いで出かける前に来ていた部屋着に着替える。
そろそろコルネくんが帰ってくると思ったんだけど……今日は少し遅いみたいだ。あの後何かあったんだろうか──そう考えていると、玄関の扉が開く音がする。
「おかえり、コルネくん」
僕は何食わぬ顔で答える。
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