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第八章 新しいメニューと緊急クエスト編
第146話 新しいメニュー 其の四
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師匠が一度道場の中に戻ってから、項垂れて出てきた。地獄の筋トレがくると覚悟していたところ、突如今日は腕以外の筋トレだけになった。
師匠の様子から鑑みるに、きっと素振りの回数でも間違っていたんだろう。
腕まわりの筋トレをしなくていいからといって、筋トレも楽ではない。素振りだけではなく、筋トレももちろんメニューが変わっている。
筋トレのバリエーションが限られているため、変わらないものも多いが、回数が大幅に増えている。
筋トレを全て終えた後は走り込み、そして型稽古に加えて打ち込み稽古をした。
冒険者は一般的にモンスターのみを相手にし、人間と戦うのは騎士の仕事となっている。ならば冒険者には打ち込み稽古は必要ないのではないかと思ってしまうが、師匠曰く、そうではないらしい。
隙がどこにあるかを観察し、そこに打ち込むことはモンスター相手でも役に立つし、冒険者でも人と戦わうときが来るかもしれない、と。
それを聞いて、師匠が巨大ケルベロスとを倒したときのことを思い出した。たった一撃で巨体を倒せたのは、隙のある場所に正確に打ち込んだからなのかもしれないと、ぼんやりと思った。
人と戦わなければならないときもある、と言われて考えた。どこの街でもいたるところに賞金首の張り紙が貼られている。
ギルドの中、レストラン──日常の中でそれらは風景に溶け込んでしまって気に留めることもないし、彼らが捕まったという話も聞かない。
でも、もし山奥にモンスターを探しに行ってバッタリ出会いでもしてしまったら……確実に相手は口封じに俺を殺しにかかるだろう。
そのとき俺は躊躇なく相手を殺せるだろうか。
師匠はティオール森林の調査で泊まった宿屋で、主人を殺したと言っていた。後から話を聞いたとき、正直主人も師匠も殺し方が雑だと思ったし、人を手にかけることはそんなに覚悟を決めてからするものじゃないのかもしれない。
俺は悶々とした気持ちを抑えきれないまま打ち込み稽古を終え、魔法の修行へと移る。
今までやっていたのは発動までの時間を短くするためのもので、ひたすら繰り返し発動させては消して発動させては消してを繰り返していた。
それに加えて、今日からは魔法剣の長さを長くするものもするらしい。たしかに俺は師匠に比べて、刀身のない部分まで魔法を延ばす部分は未熟だ。
つい最近までは師匠の限界の長さにかなり近づけていると思っていたのだが、収穫祭のステージで師匠の限界はもっと上だということを知ってしまった。
涼しい顔の師匠が延ばした炎は、俺の長さの二倍くらいあって、あんぐりと口を開けてしまったことを覚えている。
修行の内容はシンプルで、「限界まで長くした魔法剣をキープし続ける」──これだけだ。やること自体はシンプルなのだが、剣という拠り所のない場所に魔法をキープし続けるのはとてつもない集中力がいる。
それも限界の長さのため、張り詰めた糸のように精神を研ぎ澄ましたまま魔法を維持し続けねばならない。
全ての修行を終える頃には、肉体はもちろん精神も疲弊しきって、俺は何も考えられない状態になっていた。
師匠の様子から鑑みるに、きっと素振りの回数でも間違っていたんだろう。
腕まわりの筋トレをしなくていいからといって、筋トレも楽ではない。素振りだけではなく、筋トレももちろんメニューが変わっている。
筋トレのバリエーションが限られているため、変わらないものも多いが、回数が大幅に増えている。
筋トレを全て終えた後は走り込み、そして型稽古に加えて打ち込み稽古をした。
冒険者は一般的にモンスターのみを相手にし、人間と戦うのは騎士の仕事となっている。ならば冒険者には打ち込み稽古は必要ないのではないかと思ってしまうが、師匠曰く、そうではないらしい。
隙がどこにあるかを観察し、そこに打ち込むことはモンスター相手でも役に立つし、冒険者でも人と戦わうときが来るかもしれない、と。
それを聞いて、師匠が巨大ケルベロスとを倒したときのことを思い出した。たった一撃で巨体を倒せたのは、隙のある場所に正確に打ち込んだからなのかもしれないと、ぼんやりと思った。
人と戦わなければならないときもある、と言われて考えた。どこの街でもいたるところに賞金首の張り紙が貼られている。
ギルドの中、レストラン──日常の中でそれらは風景に溶け込んでしまって気に留めることもないし、彼らが捕まったという話も聞かない。
でも、もし山奥にモンスターを探しに行ってバッタリ出会いでもしてしまったら……確実に相手は口封じに俺を殺しにかかるだろう。
そのとき俺は躊躇なく相手を殺せるだろうか。
師匠はティオール森林の調査で泊まった宿屋で、主人を殺したと言っていた。後から話を聞いたとき、正直主人も師匠も殺し方が雑だと思ったし、人を手にかけることはそんなに覚悟を決めてからするものじゃないのかもしれない。
俺は悶々とした気持ちを抑えきれないまま打ち込み稽古を終え、魔法の修行へと移る。
今までやっていたのは発動までの時間を短くするためのもので、ひたすら繰り返し発動させては消して発動させては消してを繰り返していた。
それに加えて、今日からは魔法剣の長さを長くするものもするらしい。たしかに俺は師匠に比べて、刀身のない部分まで魔法を延ばす部分は未熟だ。
つい最近までは師匠の限界の長さにかなり近づけていると思っていたのだが、収穫祭のステージで師匠の限界はもっと上だということを知ってしまった。
涼しい顔の師匠が延ばした炎は、俺の長さの二倍くらいあって、あんぐりと口を開けてしまったことを覚えている。
修行の内容はシンプルで、「限界まで長くした魔法剣をキープし続ける」──これだけだ。やること自体はシンプルなのだが、剣という拠り所のない場所に魔法をキープし続けるのはとてつもない集中力がいる。
それも限界の長さのため、張り詰めた糸のように精神を研ぎ澄ましたまま魔法を維持し続けねばならない。
全ての修行を終える頃には、肉体はもちろん精神も疲弊しきって、俺は何も考えられない状態になっていた。
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