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第八章 新しいメニューと緊急クエスト編
第143話 新しいメニュー
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──コルネが喫茶店を出た後、コルネは知る由もなかったが領主アランたち一家はしばらくその場に残って話していた。
アランの次男オリヴァーは品定めをするようにニヤリと笑う。
「あれがSランク冒険者ロンドの唯一の弟子……か。それなりに鍛えているみたいだな」
「これ、ロンド様だろう。誰が聞いているかも分からぬのに、そのような口を利くな」
「へーい」
言い方を窘めるアランにオリヴァーは生返事をし、眠たそうな眼をしている彼の兄──フリードリヒの方を向く。
「兄貴はどう思った?」
「たぶん強いんじゃない? ……よく分からないけど」
アランの長男であり、オリヴァーの兄であるフリードリヒは魔法の天才と呼ばれており、王国魔法師団に所属している。
「よく分からないけどって……兄貴はそればっかり」
「オリヴァー、仕方ないだろう。一目見ただけでその者の強さが完全に分かるはずがない。ましてや魔法は肉体に現れないのだから」
ため息をつくオリヴァーに仕方ないと言うアラン。
「──だが、彼は一時期冒険者としてこの近辺で話題になったことがある。今は一人でBランクパーティとして討伐を行っているそうだ」
「へぇ、一人でBランクとは大したものだ。さぞ強いんだろうなぁ」
三人のやりとりをよそにジャンは一人で喜びに浸っていた。コルネは今も冒険者をやっていたのだ、と。
ということは消息の分からない二人もどこかで冒険者をやっている可能性も十分にある。
そうすれば、もしかしたら──もしかしたら俺のパーティ再結成計画が実現するかもしれない。
* * *
「おはよう、コルネくん。昨日は楽しかったね」
食堂に向かうと、師匠はいつものように先に座っていた。二日酔いになっている様子もなく、いつもと何も変わらなかった。
そう、今日からはまた何も変わらない日常が始まるのだ。レオンさんのところから帰ってから里帰り、さらに続けて収穫祭──ここ最近出かけるとが多かったからな。
ここらでゆっくりするのもいいだろう──そう考えている俺に、師匠は思い出したように告げる。
「収穫祭も終わったし、今日から届いたアレを使うから」
いつものように道場の裏に出ると、大きな袋を手にした師匠がやってくる。昨晩、師匠の部屋で見たあの袋だ。
「いやぁ、僕気付いちゃったんだよね。コルネくん、今のメニュー結構余裕あるでしょ?」
そう言いながら師匠は袋から丁寧に中身を取り出す。出てきたのは──剣。きちんと鞘がついている真剣だ。
練習時間を捻出するためにメニューを速くこなしていたからか。終わった後は動けなくなってしまったが、以前の俺ではあのスピードでこなすことすら出来なかっただろう。確かに俺は成長している。
「だから今日からメニューを変えます。覚悟しててね?」
笑顔で剣の鞘を少し浮かせては手のひらを叩く師匠。剣が手にぶつかるたびに、重い音が鳴る。新しいメニューに俺はついていけるのだろうか。
アランの次男オリヴァーは品定めをするようにニヤリと笑う。
「あれがSランク冒険者ロンドの唯一の弟子……か。それなりに鍛えているみたいだな」
「これ、ロンド様だろう。誰が聞いているかも分からぬのに、そのような口を利くな」
「へーい」
言い方を窘めるアランにオリヴァーは生返事をし、眠たそうな眼をしている彼の兄──フリードリヒの方を向く。
「兄貴はどう思った?」
「たぶん強いんじゃない? ……よく分からないけど」
アランの長男であり、オリヴァーの兄であるフリードリヒは魔法の天才と呼ばれており、王国魔法師団に所属している。
「よく分からないけどって……兄貴はそればっかり」
「オリヴァー、仕方ないだろう。一目見ただけでその者の強さが完全に分かるはずがない。ましてや魔法は肉体に現れないのだから」
ため息をつくオリヴァーに仕方ないと言うアラン。
「──だが、彼は一時期冒険者としてこの近辺で話題になったことがある。今は一人でBランクパーティとして討伐を行っているそうだ」
「へぇ、一人でBランクとは大したものだ。さぞ強いんだろうなぁ」
三人のやりとりをよそにジャンは一人で喜びに浸っていた。コルネは今も冒険者をやっていたのだ、と。
ということは消息の分からない二人もどこかで冒険者をやっている可能性も十分にある。
そうすれば、もしかしたら──もしかしたら俺のパーティ再結成計画が実現するかもしれない。
* * *
「おはよう、コルネくん。昨日は楽しかったね」
食堂に向かうと、師匠はいつものように先に座っていた。二日酔いになっている様子もなく、いつもと何も変わらなかった。
そう、今日からはまた何も変わらない日常が始まるのだ。レオンさんのところから帰ってから里帰り、さらに続けて収穫祭──ここ最近出かけるとが多かったからな。
ここらでゆっくりするのもいいだろう──そう考えている俺に、師匠は思い出したように告げる。
「収穫祭も終わったし、今日から届いたアレを使うから」
いつものように道場の裏に出ると、大きな袋を手にした師匠がやってくる。昨晩、師匠の部屋で見たあの袋だ。
「いやぁ、僕気付いちゃったんだよね。コルネくん、今のメニュー結構余裕あるでしょ?」
そう言いながら師匠は袋から丁寧に中身を取り出す。出てきたのは──剣。きちんと鞘がついている真剣だ。
練習時間を捻出するためにメニューを速くこなしていたからか。終わった後は動けなくなってしまったが、以前の俺ではあのスピードでこなすことすら出来なかっただろう。確かに俺は成長している。
「だから今日からメニューを変えます。覚悟しててね?」
笑顔で剣の鞘を少し浮かせては手のひらを叩く師匠。剣が手にぶつかるたびに、重い音が鳴る。新しいメニューに俺はついていけるのだろうか。
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