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第七章 里帰りと収穫祭編
第128話 収穫祭に向けて 其の三
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「ステージには家族と一緒に出るんだ。紹介するよ──妻のセレナ、そしてアルとドリーだ」
「よろしくお願いします」
「「よろしくおねがいします!」」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
アルとドリーは元気いっぱいのようだ。兄のアルは九か十歳、妹のドリーは七歳くらいだろうか。セレナさんは奥から聞こえた声のように柔和でおおらかそうな雰囲気がある。
「ちょっと待っててな」
そう言ってマシューさんは奥に消える。楽器を取りに行ったのだろう。その間に残された三人は準備を始める。
セレナさんは竪琴をポロン、と鳴らし、音を確かめているようだ。一つ一つの弦を鳴らしていき、耳を近づけてそれを聴いている。
アルは太鼓を叩いて、響きを調べているようだ。叩く場所や強さを変えながら、うんうんと頷いている。
ドリーは手にしている小さな笛を軽く吹いたり、穴を覗きこんだりしている。ちょっとした吹き方から、笛を吹き慣れていることが伝わってくる。
マシューさんも戻ってきて準備を始める。手にしているのは、五本の弦が張られている穴の開いた楽器で──たしか、リュートといっただろうか。
以前、路で弾いていた人に気になって尋ねたとき、そう返ってきた気がする。温かい音がする楽器だ。マシューさんも一つずつ弦を鳴らしていく。
「準備はいいか?」
「「はーい」」
元気よく応える子どもたちと、目線を合わせて頷くセレナさん。
皆が楽器を弾くように構えると、澄んだ笛の音が流れだす。この曲はドリーの笛から始まるようだ。
ドリーの澄み渡った笛の音は、すっと胸に入ってくるようで、素人でも分かるほどに上手だった。演奏が始まるまでは元気いっぱいだったドリーは、今は演奏者の顔をしている。
ワンフレーズを吹き終えたところで、他の楽器が入ってくる。ドリーが奏でる綺麗で少し切ないメロディを引き立てるように、竪琴やリュートはゆったりとした演奏だ。
聴いていると、どことなくゆったりと街の中を流れていく川のようだと思った。透き通っていて水底が見えるような綺麗な川──なんとなくそう感じた。
演奏が終わると、ドリーは年相応の元気いっぱいの少女に戻る。
「今のが一曲目だ。この曲は川をモチーフにして作られたと言われてるよ」
本当に川がモデルになっていたようだ。曲としてはとてもよかったのだが、スローテンポで魔法剣を合わせるのは難しそうだった。
二曲目は激しい曲だと聞いているので、こちらだけ魔法剣をやらせてもらった方がいいだろうか。
それを考えるのは曲を聴き終えた後でいいだろう──今は曲に集中せねば。今度はアルの太鼓から始まるようだ。
最初は太鼓の音に添えるようにリュートや竪琴が奏でられるが、だんだんと激しくなっていく。
そして一番盛り上がるところで、マシューさんが激しくリュートをかき鳴らす。竪琴や笛の音も激しくなっていて、まさに戦いを表現したような曲だ。
その激しい盛り上がりを保ったまま、曲は終わる。
これは──すごくやりやすそうだ。曲調の大きな変化がなく、だんだんと変わっていくところもそうだが、テンポが遅すぎず速すぎずちょうどいい。
「どうだい、演出は上手くできそうかな?」
「はい、二曲目をもう一度──もう一度だけ聴かせていただきたいんですが」
「お安い御用だよ」
マシューさんがそう言うと、また二曲目の演奏が始まる。俺は拍を数えながら、ざっくりとしたプランをメモに起こしていく。
「よろしくお願いします」
「「よろしくおねがいします!」」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
アルとドリーは元気いっぱいのようだ。兄のアルは九か十歳、妹のドリーは七歳くらいだろうか。セレナさんは奥から聞こえた声のように柔和でおおらかそうな雰囲気がある。
「ちょっと待っててな」
そう言ってマシューさんは奥に消える。楽器を取りに行ったのだろう。その間に残された三人は準備を始める。
セレナさんは竪琴をポロン、と鳴らし、音を確かめているようだ。一つ一つの弦を鳴らしていき、耳を近づけてそれを聴いている。
アルは太鼓を叩いて、響きを調べているようだ。叩く場所や強さを変えながら、うんうんと頷いている。
ドリーは手にしている小さな笛を軽く吹いたり、穴を覗きこんだりしている。ちょっとした吹き方から、笛を吹き慣れていることが伝わってくる。
マシューさんも戻ってきて準備を始める。手にしているのは、五本の弦が張られている穴の開いた楽器で──たしか、リュートといっただろうか。
以前、路で弾いていた人に気になって尋ねたとき、そう返ってきた気がする。温かい音がする楽器だ。マシューさんも一つずつ弦を鳴らしていく。
「準備はいいか?」
「「はーい」」
元気よく応える子どもたちと、目線を合わせて頷くセレナさん。
皆が楽器を弾くように構えると、澄んだ笛の音が流れだす。この曲はドリーの笛から始まるようだ。
ドリーの澄み渡った笛の音は、すっと胸に入ってくるようで、素人でも分かるほどに上手だった。演奏が始まるまでは元気いっぱいだったドリーは、今は演奏者の顔をしている。
ワンフレーズを吹き終えたところで、他の楽器が入ってくる。ドリーが奏でる綺麗で少し切ないメロディを引き立てるように、竪琴やリュートはゆったりとした演奏だ。
聴いていると、どことなくゆったりと街の中を流れていく川のようだと思った。透き通っていて水底が見えるような綺麗な川──なんとなくそう感じた。
演奏が終わると、ドリーは年相応の元気いっぱいの少女に戻る。
「今のが一曲目だ。この曲は川をモチーフにして作られたと言われてるよ」
本当に川がモデルになっていたようだ。曲としてはとてもよかったのだが、スローテンポで魔法剣を合わせるのは難しそうだった。
二曲目は激しい曲だと聞いているので、こちらだけ魔法剣をやらせてもらった方がいいだろうか。
それを考えるのは曲を聴き終えた後でいいだろう──今は曲に集中せねば。今度はアルの太鼓から始まるようだ。
最初は太鼓の音に添えるようにリュートや竪琴が奏でられるが、だんだんと激しくなっていく。
そして一番盛り上がるところで、マシューさんが激しくリュートをかき鳴らす。竪琴や笛の音も激しくなっていて、まさに戦いを表現したような曲だ。
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「はい、二曲目をもう一度──もう一度だけ聴かせていただきたいんですが」
「お安い御用だよ」
マシューさんがそう言うと、また二曲目の演奏が始まる。俺は拍を数えながら、ざっくりとしたプランをメモに起こしていく。
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