パーティを抜けた魔法剣士は憧れの冒険者に出会い、最強の冒険者へと至る

一ノ瀬一

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第四章 初めての単独討伐クエスト編

第68話 討伐クエスト 其の八

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 記念すべきCランクとしての最後のクエストは、特筆すべきこともなく終わり、いつものように倒したモンスターを背負ってギルドに向かう。

 背中の重みを感じながら歩いていると、ふと師匠の顔が頭に浮かぶ。Bランクに上がったと聞いたら師匠は喜んでくれるだろうか。いや、考えるまでもない──きっと大喜びするだろう。

 最近ではもうあまり見なくなったが、道場に来てすぐは、師匠は何かあるたびに泣いていたからな。ヘルガさんにハンカチを差し出される師匠を見て、Sランク冒険者のイメージが崩れたような気はするが。

 喜び方が大袈裟ではあるけど、師匠に喜んでもらえることはやはり嬉しいことで、見ていてこっちも嬉しくなってくる。

 またドラゴンのときみたいに、お祝いしてくれるかな。ヘルガさんが手の込んだ料理をたくさん作ってくれて……三人でおしゃべりしながらお腹いっぱいになるまで食べるんだ。

 孤児院にいた頃もお祝いはあるにはあったが、俺だけの──俺だけのためのお祝いはドラゴン討伐のときが初めてだった。

 孤児院にいたほとんどの子どもは誕生日が分からないから、年一回まとめて祝っていたのだが、それはどちらかと言えばお祭りに近くて。だから、お祝いされるとこんなに心が温かくなるんだ、ということをそのとき初めて知った。

 今はどこにいるかも分からないが、アドレアもあれから誰かに「お祝い」されたのだろうか。次会ったときにもしまだだったら、俺がたくさん祝いたいな。

 そんなことを考えているとギルドに着く。

 背負ったモンスターを渡し、再び受付のカウンターに行くと、先ほどの受付嬢さんが新しい冒険者証を用意してくれていた。

「Bランクおめでとうございます!」
「ありがとうございます」

 手渡されたBランクの冒険者証は淡い緑色だった。突然Bランクになれると言われて、いまいち実感が湧かなかったのだが、新しくなった冒険者証を見て本当にBランクになったんだという気持ちが急に膨らんでくる。

 クエストの報酬を受け取ってから、足早にギルドを去る。Bランクに上がったことを一刻も早く師匠に伝えたいのだ。

 かなり上達した魔力操作を使いながらラムハへと急ぐ俺の足取りは、かつてないほど軽かった。
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