パーティを抜けた魔法剣士は憧れの冒険者に出会い、最強の冒険者へと至る

一ノ瀬一

文字の大きさ
上 下
71 / 328
第四章 初めての単独討伐クエスト編

第67話 討伐クエスト 其の七

しおりを挟む
 初日の討伐クエストが上手くいってから、ほぼ毎日討伐クエストを受けていた。

 今ではギルドでもらう曖昧な地図も読めるようになり、討伐数が多めのものでも素早くこなせるようになった。

 師匠も俺がクエストに行っている間に体を動かしているようだ。俺が隣の村から帰ってくると、奥から出てくるのだが、いつも少し汗を浮かべている。

 俺の修行につきっきりで、自分の鍛錬が出来なかったから、きっと俺がいない間にやっているのだろう。

 師匠といえば、初日の討伐から帰ってきた後に、モンスターをきちんと仕留めたのを確認してから運ぶように口を酸っぱくして言われた。一日に何度も何度も言われ、少しくどいなとも思ったが、確かに身に覚えがあったので、それ以来ずっと気を付けている。

 それにしても、ろくに確認もせずにコボルトを背負うなんて、今思うとぞっとする。あのコボルトはおそらく死んでいたのだろうけど、何事もなくてよかった。



 ある日、その日も日課のように隣の村まで討伐に赴き、適当な張り紙を受付で渡す。すると、一日おきに来る人として顔を覚えられている受付嬢に呼び止められる。

「今日のクエストでBランクですね! 頑張ってください」
「えっ」

 突然告げられた言葉に驚く。俺の耳がたしかなら今Bランクと言われたような気がする。

「コルネ様はBランク昇格の必要ポイント数まであと少しなので、そのクエストを達成すればBランクに上がれますよ」

 いつの間にそんなことになっていたのか。俺は一日一回しかこの村には来ていないが、実は一回で複数のクエストを達成することもある。

 森で対象以外のモンスターを倒した場合、ギルドに張り紙がまだ残っていて、素材などの条件を満たせば、倒した後に申請しても達成とみなされるのだ。

 森に入ると、嫌でも関係のないモンスターと出会ってしまう。気性の激しいものは向こうから襲ってくるので、倒すしかない。

 何度かそのようなことがあり、相談したところ、後付けでもクエスト達成となることが分かったので、以来クエストを受けるときに全ての討伐クエストに目を通すようにしている。

 その後、森で倒したモンスターに覚えがあれば、受けたクエストのものと一緒にギルドまで持っていくのだ。

 そうやってついでに倒したモンスターが、案外Bランク相当のクエストになっていたことも何度かあったが、それもそのポイント数に寄与しているのだろう。

 初めて自分の手にしている息絶えたモンスターがBランクと知ったときはびっくりしたが、弱点をしっかりと突いたために、多少ランクが上でも倒せたのかもしれないと思った。

 それにしてもBランクとは──今日のクエストに気合が入るな。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

剣しか取り柄がないという事で追放された元冒険者、辺境の村で魔物を討伐すると弟子志願者が続々訪れ剣技道場を開く

burazu
ファンタジー
剣の得意冒険者リッキーはある日剣技だけが取り柄しかないという理由でパーティーから追放される。その後誰も自分を知らない村へと移住し、気ままな生活をするつもりが村を襲う魔物を倒した事で弓の得意エルフ、槍の得意元傭兵、魔法の得意踊り子、投擲の得意演奏者と様々な者たちが押しかけ弟子入りを志願する。 そんな彼らに剣技の修行をつけながらも冒険者時代にはない充実感を得ていくリッキーだったのだ。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

処理中です...