28 / 328
第二章 ダンジョン編
第25話 ダンジョン探索 其の四(ロンド視点)
しおりを挟む
ラムハの外れにダンジョンが出来たと聞いたときは、一瞬平静を保てなくなるくらいには興奮した。
冒険者ギルドの中で素っ頓狂な声を上げてしまい、ジロジロ見られて恥ずかしかったが、そんなことが気にならないほど頭の中は魔力結晶のことでいっぱいだった。
正直にいうと僕は魔力結晶が大好きだ。陽に透かすとキラキラと光を反射する様はこの上なく美しい。
単純に鑑賞用としても好きなのだが、やはり魔法結晶の素材としての優秀さは他の素材とは比べものにならない。
魔法結晶を使った杖は使っていないものに比べて効果が桁違いだ。全力を出し切れているような錯覚に陥るほど魔力の通りがスムーズになる。
Aランク以上のパーティで魔法使いをやっている者ならば魔法結晶の杖を持っているのは当たり前といった認識があるくらいには魔法使いには欠かせないものだ。
もちろん魔法剣を使う僕も例外じゃない。僕の剣にも柄の部分に魔法結晶が埋め込まれている。
それと同じようにコルネくんにも魔力結晶を使った剣を贈りたいと常々思っていた。結晶つきの剣を使えば彼の魔法剣はさらに上達するだろう。
しかし、僕はこの剣以外に魔力結晶を使ったものを持っていない。ダンジョンに行けないのだ。Sランク冒険者になってからは、緊急事態に備えて所在が分かるようにしなければならなくなった。
そのため、どこかに出掛けるときは王国に申請しなければならない。ダンジョンが出来たと聞きつけて申請をしても、申請が受諾されたと返ってきた頃にはダンジョンは消えているのだ。
それならば、と思って一度トレトのダンジョンに行ったが、レオンさんとサラさんに絶対に入り口の近くまでしか入っては駄目だと言われた。それで持ち帰ったのは剣に付いているこれ一つだったというわけだ。
なら買えばいいのではないかと思うかもしれないが、魔力結晶は市場にはほとんど出回らない。加工して自身で使うか王国魔法師団が買い取るからだ。
そんなところにダンジョン出現の報告、興奮しないわけがない。いつも頼んでいる鍛冶屋に頼んでコルネくんの剣を鍛えてもらおう。余裕があれば他の武具も作ってもらって……出来たら僕のもおそろいで作ってもらおうかな……。
今この街にいる冒険者は僕たちだけ。もしかしたら二人でダンジョン中の魔力結晶を回収できるかもしれない。もちろん最奥の魔力結晶も。
最奥のダンジョンの核となっている魔力結晶は桁違いに大きい。一般的なダンジョンだと、大人が両手で抱えるサイズくらいになる。
このような魔力結晶はほとんど王国が買い取り、王国魔法師団で使われると聞いている。持っていても集団で魔法を使わないのであればあまり効果はないし、移動の邪魔になるからだ。かなりいい値で買い取ってくれると噂では聞く。
この大きい結晶は最初に最奥部までたどり着いた者が持ち帰れるのだが、ダンジョンが出来てから最奥部に着くまでの時間によって大きさが変化するらしいのだ。
時間がかかってしまうとモンスターの魔石ほどになってしまったという例も確認されている。だから急かしてはいけないと思ってコルネくんには伝えてないけれど、僕は出来るだけ早くダンジョンの奥まで行きたい。
あの結晶が手に入ればコルネくんも僕も、もしかしたら新しい魔法が使えるようになるかもしれないしね。
ああ、明日が待ちきれない! こんなにそわそわするのは久しぶりだ。でも早く寝ないと明日に響くから……ベッドの中でそんなことを考えて目を瞑る。
頑張って寝ようとしたが、遠足の前の子どものように僕はしばらく寝付けなかった。
冒険者ギルドの中で素っ頓狂な声を上げてしまい、ジロジロ見られて恥ずかしかったが、そんなことが気にならないほど頭の中は魔力結晶のことでいっぱいだった。
正直にいうと僕は魔力結晶が大好きだ。陽に透かすとキラキラと光を反射する様はこの上なく美しい。
単純に鑑賞用としても好きなのだが、やはり魔法結晶の素材としての優秀さは他の素材とは比べものにならない。
魔法結晶を使った杖は使っていないものに比べて効果が桁違いだ。全力を出し切れているような錯覚に陥るほど魔力の通りがスムーズになる。
Aランク以上のパーティで魔法使いをやっている者ならば魔法結晶の杖を持っているのは当たり前といった認識があるくらいには魔法使いには欠かせないものだ。
もちろん魔法剣を使う僕も例外じゃない。僕の剣にも柄の部分に魔法結晶が埋め込まれている。
それと同じようにコルネくんにも魔力結晶を使った剣を贈りたいと常々思っていた。結晶つきの剣を使えば彼の魔法剣はさらに上達するだろう。
しかし、僕はこの剣以外に魔力結晶を使ったものを持っていない。ダンジョンに行けないのだ。Sランク冒険者になってからは、緊急事態に備えて所在が分かるようにしなければならなくなった。
そのため、どこかに出掛けるときは王国に申請しなければならない。ダンジョンが出来たと聞きつけて申請をしても、申請が受諾されたと返ってきた頃にはダンジョンは消えているのだ。
それならば、と思って一度トレトのダンジョンに行ったが、レオンさんとサラさんに絶対に入り口の近くまでしか入っては駄目だと言われた。それで持ち帰ったのは剣に付いているこれ一つだったというわけだ。
なら買えばいいのではないかと思うかもしれないが、魔力結晶は市場にはほとんど出回らない。加工して自身で使うか王国魔法師団が買い取るからだ。
そんなところにダンジョン出現の報告、興奮しないわけがない。いつも頼んでいる鍛冶屋に頼んでコルネくんの剣を鍛えてもらおう。余裕があれば他の武具も作ってもらって……出来たら僕のもおそろいで作ってもらおうかな……。
今この街にいる冒険者は僕たちだけ。もしかしたら二人でダンジョン中の魔力結晶を回収できるかもしれない。もちろん最奥の魔力結晶も。
最奥のダンジョンの核となっている魔力結晶は桁違いに大きい。一般的なダンジョンだと、大人が両手で抱えるサイズくらいになる。
このような魔力結晶はほとんど王国が買い取り、王国魔法師団で使われると聞いている。持っていても集団で魔法を使わないのであればあまり効果はないし、移動の邪魔になるからだ。かなりいい値で買い取ってくれると噂では聞く。
この大きい結晶は最初に最奥部までたどり着いた者が持ち帰れるのだが、ダンジョンが出来てから最奥部に着くまでの時間によって大きさが変化するらしいのだ。
時間がかかってしまうとモンスターの魔石ほどになってしまったという例も確認されている。だから急かしてはいけないと思ってコルネくんには伝えてないけれど、僕は出来るだけ早くダンジョンの奥まで行きたい。
あの結晶が手に入ればコルネくんも僕も、もしかしたら新しい魔法が使えるようになるかもしれないしね。
ああ、明日が待ちきれない! こんなにそわそわするのは久しぶりだ。でも早く寝ないと明日に響くから……ベッドの中でそんなことを考えて目を瞑る。
頑張って寝ようとしたが、遠足の前の子どものように僕はしばらく寝付けなかった。
0
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。


爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる