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第一章
第19話 ドラゴン討伐 其の五
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──レンド王国王宮、玉座の間にて。
いつも静寂に包まれている玉座に繋がる大扉が騒々しく叩かれ、一人の高官が飛び込んでくる。
「陛下! 大変です! ラムハの街にてドラゴンの幼体が出現したとの報告が!」
ラムハの街は周りにモンスターの生息地がなく、その安全性から商業の中心地として栄えてきた。そんな場所になぜドラゴンが──不自然だ、誰かの作為を感じる。
そうなると、Aランク以上の討伐が禁止されているドラゴンから子どもを攫ってきたということか。そんなことをするのはよほどの馬鹿か、もしドラゴンに襲われても倒せるほどの実力を持った者か……
「すぐに救援を向かわせよう。ラムハ周辺で今派遣できる騎士団がいる街は──」
「それが、報告が入ってきたときにはすでに討伐されていたようです」
「討伐したのはどのパーティだ?」
幼体とはいえドラゴン──それなりの強さのはずだ。一口に幼体といっても生まれたてと成体の一歩手前では雲泥の差がある。この報告の慌てようを見る限り、かなり強かったのではないか? ならば討伐したパーティはBかCランクあたりか?
「パーティには所属していない、コルネという一人の冒険者です」
「……なるほど」
「なお、その前に戦ったCランクパーティを含む他のパーティは全滅だそうです」
一人で討伐したと聞いたときは予想が外れたのかと思ったが、話を聞く限り一人で少なくともCランクパーティには匹敵すると。
しかも一人でドラゴンに挑み、倒すとはとんだ度胸だ。気になるな──調べさせておこう。
* * *
いつものようにパーティメンバー募集に応募した人がいないか、ギルドの受付のお姉さんに訊きに行くと父上がいた。
「ジャン、そろそろ気が済んだか?」
「いえ、まだ……まだです。きっと新しいメンバーがやってきてまた討伐に行くんです」
新しいメンバーが入ってこないことなんかとっくに分かっているのに。
「冒険者にとって一番大事なことは何だと思う」
「モンスターをたくさん退治して、たくさんの人を助けることです」
「それも大事だとは思うが、そのためには仲間との協力が欠かせないだろう。ジャンは出来ていたか?」
討伐のときは飛び出していったのをエミルに庇ってもらってばかりだった。あのときはそれが盾の役目だと思っていたが、今思い出せば同じように剣を使っていたコルネは俺に比べて庇ってもらう回数がずっと少なかった。
「クエストを受けていなかったときも自分勝手な行動をしていなかったか?」
クエスト以外のとき、みんな話を聞いてくれた。でも最初から気付いていた。聞いているときはうちの使用人と同じ顔──聞きたくないけど口には出さないという顔──をしていたのを。
でも他の話し方が分からなくてそれを続けてしまった。
そうだ、全部原因は俺にあったんだ。知らないふりをしていただけで、最初から知っていた。
「帰ろう、ジャン」
「……はい、父上」
いつも静寂に包まれている玉座に繋がる大扉が騒々しく叩かれ、一人の高官が飛び込んでくる。
「陛下! 大変です! ラムハの街にてドラゴンの幼体が出現したとの報告が!」
ラムハの街は周りにモンスターの生息地がなく、その安全性から商業の中心地として栄えてきた。そんな場所になぜドラゴンが──不自然だ、誰かの作為を感じる。
そうなると、Aランク以上の討伐が禁止されているドラゴンから子どもを攫ってきたということか。そんなことをするのはよほどの馬鹿か、もしドラゴンに襲われても倒せるほどの実力を持った者か……
「すぐに救援を向かわせよう。ラムハ周辺で今派遣できる騎士団がいる街は──」
「それが、報告が入ってきたときにはすでに討伐されていたようです」
「討伐したのはどのパーティだ?」
幼体とはいえドラゴン──それなりの強さのはずだ。一口に幼体といっても生まれたてと成体の一歩手前では雲泥の差がある。この報告の慌てようを見る限り、かなり強かったのではないか? ならば討伐したパーティはBかCランクあたりか?
「パーティには所属していない、コルネという一人の冒険者です」
「……なるほど」
「なお、その前に戦ったCランクパーティを含む他のパーティは全滅だそうです」
一人で討伐したと聞いたときは予想が外れたのかと思ったが、話を聞く限り一人で少なくともCランクパーティには匹敵すると。
しかも一人でドラゴンに挑み、倒すとはとんだ度胸だ。気になるな──調べさせておこう。
* * *
いつものようにパーティメンバー募集に応募した人がいないか、ギルドの受付のお姉さんに訊きに行くと父上がいた。
「ジャン、そろそろ気が済んだか?」
「いえ、まだ……まだです。きっと新しいメンバーがやってきてまた討伐に行くんです」
新しいメンバーが入ってこないことなんかとっくに分かっているのに。
「冒険者にとって一番大事なことは何だと思う」
「モンスターをたくさん退治して、たくさんの人を助けることです」
「それも大事だとは思うが、そのためには仲間との協力が欠かせないだろう。ジャンは出来ていたか?」
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でも他の話し方が分からなくてそれを続けてしまった。
そうだ、全部原因は俺にあったんだ。知らないふりをしていただけで、最初から知っていた。
「帰ろう、ジャン」
「……はい、父上」
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