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第一章
第15話 ドラゴン討伐 其の一
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それは何の前触れもなく突然起こった。
裏庭で俺が師匠と剣の型稽古をしているときに、玄関の扉がうるさく鳴った。
「大変だ! 近くの麦畑にド、ドラゴンが!」
冒険者ギルドの職員と名乗る男はヘルガさんが扉を開けるなりそう言った。
ドラゴンは人里には姿を見せず、ひっそりと暮らしていることで知られている。人間もまた、ドラゴンとはなるべく関わらないように生活している。
ときどき鳴き声が聞こえるからあの山にはドラゴンが棲んでいるんだろう、ならあの山には入らないでおこう、といったように。
ドラゴン討伐の適性ランクはA以上だ。モンスターの中でもトップクラスの強さである。
しかしドラゴンはこちらから縄張りを犯すことがなければ、向こうからは手を出してこない。だから、討伐が行われるのは非常に稀だ。
しかし妙だな。ドラゴンはひっそりと暮らすために、姿を隠せる森や山の中に棲むことがほとんどだ。
このラムハの街の郊外には麦や野菜の畑が広がっている。姿を隠す場所などない。一体どこからドラゴンは湧いたんだ?
師匠も同じようなことを考えているのか顎に手をあてている。
「それが、いきなり麦畑から出てきたらしいんだ! 麦に隠れるくらいのドラゴンが背の高い麦をかき分けて出てきたんだと」
「となると、幼体か……近くの住民は?」
「すでに避難したさ。でもこのままじゃ街に来るのは時間の問題だ。それで街中パニックになってる。街にいた冒険者はもう討伐に向かって、念のためロンドさんにも連絡したってわけだ」
「よし分かった……と言いたいんだけどコルネくん行けるかい? なるべくならここは君に任せたいんだ」
「ドラゴンと言っても幼体だし、もう討伐は終わってると思うがな。念のため、だ」
麦で見えなくなるほど小さな幼体なら強くてもDかEランクくらいだろう。俺が思うに、今の俺の実力はCランクパーティのメンバーほどだと思う。
ならこの討伐は大丈夫そうだ。
「分かりました、行きましょう」
冒険者ギルドに討伐が終わったかを確かめるために赴くと、ギルドの中に冒険者は誰もおらず、ギルド職員と思われる人が沈痛な面持ちをしていた。
道場に来ていた職員が思わずかけよる。
「おい! 何があった?」
「全滅だ……討伐に行ったパーティ、全員死んだって」
「嘘だろ!? そうだ、その報告は誰がしたんだよ」
「Cランクパーティの一人だよ。命からがら逃げてきたって。すぐに出ていったから今頃は街の外かなぁ……」
ぼそぼそと小さい声で話す職員の表情は絶望に染まっている。
「まだ討伐に行っていないパーティは──」
「いないよ。ここ一帯は平野でモンスターなんてほとんど出ないんだ。だから冒険者の数は少ないし、腕が立つ者もいない。さっきの逃げてきたCランクのパーティが最高ランクなんだ……」
「お願いだ、ロンドの旦那。旦那が討伐してくれなきゃこの街は終わりだ……頼む」
「分かった、コルネくんが対処できそうになかったら僕がなんとかしよう。だから今は一刻でも早く向かおう、さらなる被害が出る前に」
裏庭で俺が師匠と剣の型稽古をしているときに、玄関の扉がうるさく鳴った。
「大変だ! 近くの麦畑にド、ドラゴンが!」
冒険者ギルドの職員と名乗る男はヘルガさんが扉を開けるなりそう言った。
ドラゴンは人里には姿を見せず、ひっそりと暮らしていることで知られている。人間もまた、ドラゴンとはなるべく関わらないように生活している。
ときどき鳴き声が聞こえるからあの山にはドラゴンが棲んでいるんだろう、ならあの山には入らないでおこう、といったように。
ドラゴン討伐の適性ランクはA以上だ。モンスターの中でもトップクラスの強さである。
しかしドラゴンはこちらから縄張りを犯すことがなければ、向こうからは手を出してこない。だから、討伐が行われるのは非常に稀だ。
しかし妙だな。ドラゴンはひっそりと暮らすために、姿を隠せる森や山の中に棲むことがほとんどだ。
このラムハの街の郊外には麦や野菜の畑が広がっている。姿を隠す場所などない。一体どこからドラゴンは湧いたんだ?
師匠も同じようなことを考えているのか顎に手をあてている。
「それが、いきなり麦畑から出てきたらしいんだ! 麦に隠れるくらいのドラゴンが背の高い麦をかき分けて出てきたんだと」
「となると、幼体か……近くの住民は?」
「すでに避難したさ。でもこのままじゃ街に来るのは時間の問題だ。それで街中パニックになってる。街にいた冒険者はもう討伐に向かって、念のためロンドさんにも連絡したってわけだ」
「よし分かった……と言いたいんだけどコルネくん行けるかい? なるべくならここは君に任せたいんだ」
「ドラゴンと言っても幼体だし、もう討伐は終わってると思うがな。念のため、だ」
麦で見えなくなるほど小さな幼体なら強くてもDかEランクくらいだろう。俺が思うに、今の俺の実力はCランクパーティのメンバーほどだと思う。
ならこの討伐は大丈夫そうだ。
「分かりました、行きましょう」
冒険者ギルドに討伐が終わったかを確かめるために赴くと、ギルドの中に冒険者は誰もおらず、ギルド職員と思われる人が沈痛な面持ちをしていた。
道場に来ていた職員が思わずかけよる。
「おい! 何があった?」
「全滅だ……討伐に行ったパーティ、全員死んだって」
「嘘だろ!? そうだ、その報告は誰がしたんだよ」
「Cランクパーティの一人だよ。命からがら逃げてきたって。すぐに出ていったから今頃は街の外かなぁ……」
ぼそぼそと小さい声で話す職員の表情は絶望に染まっている。
「まだ討伐に行っていないパーティは──」
「いないよ。ここ一帯は平野でモンスターなんてほとんど出ないんだ。だから冒険者の数は少ないし、腕が立つ者もいない。さっきの逃げてきたCランクのパーティが最高ランクなんだ……」
「お願いだ、ロンドの旦那。旦那が討伐してくれなきゃこの街は終わりだ……頼む」
「分かった、コルネくんが対処できそうになかったら僕がなんとかしよう。だから今は一刻でも早く向かおう、さらなる被害が出る前に」
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