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第一章
第9話 サラの訪問 其の一
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次の日道場の裏で、一人でいつものメニューをこなしていたら、人が来た気配がした。
「ただいまー、コルネくん」
会議から師匠が帰ってきたようだ。だが、聞こえる足音は明らかに一人分ではない。
「ここがロンドの道場……うちと比べても遜色ないくらい広いねぇ」
誰だろう……知らないおばあさんの声がする。
「あ、いたいた。コルネくん、紹介するね。こちらは魔法使いのサラさん。おそらくこの世で最も偉大な魔法使いだよ。で、こっちが弟子のルカくん。今日はコルネくんに魔法を見てもらうためにお呼びしたんだ」
「初めまして、私はサラさね。あんたがコルネくんだね、よろしく」
「ルカです。よろしくお願いします」
「ロンドさんの弟子のコルネです。よろしくお願いします」
「弟子……そう……コルネくんは僕の弟子なんだよなぁ……今でも夢みたいだ」
大きな帽子を被り暗い色の服を着たおばあさんと俺と同じくらいの男の子が突然やってきた。
師匠が一人で帰ってくると思っていたからびっくりしてしまった。いきなり知らない人が来て理解が追い付かない。
「この世で最も偉大な魔法使いだよ」ってそんな紹介聞いたことない。というかサラってもしかしなくてもあのSランク冒険者の一人のあのサラ!? それならあの紹介も頷けるけど……
そういえばロンドさんの会議には国中のトップが集まるってヘルガさんが言っていた。ロンドさんが参加するってことは他のSランク冒険者も当然招集されたんだろう──なるほど、そこでうちに呼ぶって話になったのか。
「紹介も終わったし、早速だけど魔法を見せるさね。長くはいられないし、場所もちょうどいいからねぇ。魔法剣に使えそうなのがいいって言われても、どれがいいのか分からないから片っ端から見せていくよ」
「僕もサラさんの魔法をじっくり見るのは初めてだから楽しみだな」
Sランク冒険者の一角である魔法使い。どんな魔法を使うんだろう。
「まずはこれ、ブライト!」
サラさんが手を掲げ唱える。同時にあたりが白い光に包まれる。
眩しい──せっかくの魔法を見逃さないようにと目を凝らしていたからもろに食らってしまった。
しばらくして手で庇のように覆いながら、おそるおそる目を開ける。もう大丈夫そうだ。
見回すと師匠もルカくんも目を押さえている。
「もう大丈夫じゃよ」
「そういうのやるときは先に言ってくださいよ」
「本当ですよ……」
「ごめんごめん、つい張り切ってしまって忘れていたねぇ」
反応を見る限り、こういううっかりは珍しいことではないみたいだ。
「ともかくこれは魔法剣に使えそうだね。次はどんな魔法かなぁ」
「実は私の魔法だとこれ以外は使えそうなのは思いつかなくてねぇ……ルカ」
「はい、アレですね」
「アレさね」
全てをアレと呼ぶけど話が通じる熟年夫婦みたいな会話だけど、アレってなんだろう。どうやら師匠も分かっていないようだ。
「ただいまー、コルネくん」
会議から師匠が帰ってきたようだ。だが、聞こえる足音は明らかに一人分ではない。
「ここがロンドの道場……うちと比べても遜色ないくらい広いねぇ」
誰だろう……知らないおばあさんの声がする。
「あ、いたいた。コルネくん、紹介するね。こちらは魔法使いのサラさん。おそらくこの世で最も偉大な魔法使いだよ。で、こっちが弟子のルカくん。今日はコルネくんに魔法を見てもらうためにお呼びしたんだ」
「初めまして、私はサラさね。あんたがコルネくんだね、よろしく」
「ルカです。よろしくお願いします」
「ロンドさんの弟子のコルネです。よろしくお願いします」
「弟子……そう……コルネくんは僕の弟子なんだよなぁ……今でも夢みたいだ」
大きな帽子を被り暗い色の服を着たおばあさんと俺と同じくらいの男の子が突然やってきた。
師匠が一人で帰ってくると思っていたからびっくりしてしまった。いきなり知らない人が来て理解が追い付かない。
「この世で最も偉大な魔法使いだよ」ってそんな紹介聞いたことない。というかサラってもしかしなくてもあのSランク冒険者の一人のあのサラ!? それならあの紹介も頷けるけど……
そういえばロンドさんの会議には国中のトップが集まるってヘルガさんが言っていた。ロンドさんが参加するってことは他のSランク冒険者も当然招集されたんだろう──なるほど、そこでうちに呼ぶって話になったのか。
「紹介も終わったし、早速だけど魔法を見せるさね。長くはいられないし、場所もちょうどいいからねぇ。魔法剣に使えそうなのがいいって言われても、どれがいいのか分からないから片っ端から見せていくよ」
「僕もサラさんの魔法をじっくり見るのは初めてだから楽しみだな」
Sランク冒険者の一角である魔法使い。どんな魔法を使うんだろう。
「まずはこれ、ブライト!」
サラさんが手を掲げ唱える。同時にあたりが白い光に包まれる。
眩しい──せっかくの魔法を見逃さないようにと目を凝らしていたからもろに食らってしまった。
しばらくして手で庇のように覆いながら、おそるおそる目を開ける。もう大丈夫そうだ。
見回すと師匠もルカくんも目を押さえている。
「もう大丈夫じゃよ」
「そういうのやるときは先に言ってくださいよ」
「本当ですよ……」
「ごめんごめん、つい張り切ってしまって忘れていたねぇ」
反応を見る限り、こういううっかりは珍しいことではないみたいだ。
「ともかくこれは魔法剣に使えそうだね。次はどんな魔法かなぁ」
「実は私の魔法だとこれ以外は使えそうなのは思いつかなくてねぇ……ルカ」
「はい、アレですね」
「アレさね」
全てをアレと呼ぶけど話が通じる熟年夫婦みたいな会話だけど、アレってなんだろう。どうやら師匠も分かっていないようだ。
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