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第3章 ギャハハ、お前らも俺と同じ所まで堕ちてきやがれ!
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買い物から帰る途中、スカーレットは、S級冒険者チーム煌剣団の本部の前で足を止めた。
世界5か所に支部を持ち、構成員はS級からB級の上位冒険者、約100名。
剣や槍など前衛での戦闘を得意とし、モンスター退治では世界で右に出るものがいないと言われている。
将来、剣士の冒険者になりたいスカーレットにとって、憧れのチームだった。
立て看板が立てられていたので、それも気になり読んでみる。
(ジュニアチーム、訓練生試験、参加者募集……)
煌剣団のジュニアチームは、同チームで将来活躍する冒険者を育成するための組織だ。
スカーレットと同年代の子たちが在籍し、同チームで活躍する冒険者になるために、現役の上級冒険者の指導のもと様々な特訓を行っている。昔、ジュニアチームに所属していた煌剣団の有名冒険者も多い。
試験内容も確認する。
トーナメント方式で剣術の試合をしていき、1位になった子供だけが訓練生になれるようだ。
「どうしたの?」
ヴィオレに声をかけられ、ハッとした。
「なんでもない。行こ」
煌剣団に憧れる子供は沢山いる。
試験には、その中でも特に強い子たちが、押し寄せてくるだろう。
運よく優勝し、入団できたとしても、月謝、備品代など多くの出費がかかる。
これ以上、コウスケに金銭的な負担をかけたくなかった。
それにコウスケは、煌剣団に強いコンプレックスを持っているはずなので、試験を受けたいと言ったらどんなトラブルがおこるか分からない。
◇
「もしかして受けたいの?」
「ハハ、そんな訳ないじゃん」
スカーレットはそう言ったものの、ヴィオレには彼女が我慢していることが簡単に分かった。
魔法学園に進学したかったが、家庭の事情で諦めていた自分に、今のスカーレットの姿が被る。
「受けましょ! 私も協力する!」
「でも、合格できても……おカネが」
「私の学費の貯金、少しだけ降ろすからさ。良かったら使って」
ヴィオレの母親からコウスケが騙し取った小切手は、魔法学園に合格した時の、学費に使われることになり、銀行に預けられていた。
「え!? でも」
「6年分の学費だから、ちょっと使ってもなんとかなるわ。明日から一緒に特訓しましょ!」
「……本当にありがとう」
「今から申し込みにいきましょう」
受付に行こうとした時、突然スカーレットが、大声をあげた。
「嘘!? すごいよ! 試験当日には剣聖ジャッロが来るんだって!」
「嘘? 絶対に見にいかなくちゃ!」
ジャッロ・ホアンソオ
異名は「剣聖」。
連合王国にある、のどかな村に生まれた彼は、勇者パーティー(アナタの父親のパーティーですよ)に最初期から参加。
剣1本だけで、押し寄せる大軍を難なく薙ぎ払うその姿は、多くの魔族を戦慄させたという。
戦後は世界をまわる冒険者として活躍。
たった1人で、天災のようなモンスターの討伐に何十回と成功し、救われた国や地域は星の数ほどある。
その功績から彼は世界的にも希少なS級冒険者の中でも、頭1つ飛びぬけた存在だった。
現在もモンスター災害を苦しむ人々を救うために世界各地を飛び回っており、災害級のモンスターが、ほぼ討伐されている連合王国に帰ってくることはまずない。
煌剣団は、ジャッロを慕う冒険者たちが自然発生的に集まり作った冒険者チームで、団長は彼が勤めている。
ジャッロに会えるかも知れない。
そう思うと、冒険者事情に疎く、剣術に興味がないヴィオレも興奮が治まらなかった。
「分かってると思うけど、このことはパパには絶対……」
「言わないよ。すごく汚い手を使って邪魔してきそうだもん」
世界5か所に支部を持ち、構成員はS級からB級の上位冒険者、約100名。
剣や槍など前衛での戦闘を得意とし、モンスター退治では世界で右に出るものがいないと言われている。
将来、剣士の冒険者になりたいスカーレットにとって、憧れのチームだった。
立て看板が立てられていたので、それも気になり読んでみる。
(ジュニアチーム、訓練生試験、参加者募集……)
煌剣団のジュニアチームは、同チームで将来活躍する冒険者を育成するための組織だ。
スカーレットと同年代の子たちが在籍し、同チームで活躍する冒険者になるために、現役の上級冒険者の指導のもと様々な特訓を行っている。昔、ジュニアチームに所属していた煌剣団の有名冒険者も多い。
試験内容も確認する。
トーナメント方式で剣術の試合をしていき、1位になった子供だけが訓練生になれるようだ。
「どうしたの?」
ヴィオレに声をかけられ、ハッとした。
「なんでもない。行こ」
煌剣団に憧れる子供は沢山いる。
試験には、その中でも特に強い子たちが、押し寄せてくるだろう。
運よく優勝し、入団できたとしても、月謝、備品代など多くの出費がかかる。
これ以上、コウスケに金銭的な負担をかけたくなかった。
それにコウスケは、煌剣団に強いコンプレックスを持っているはずなので、試験を受けたいと言ったらどんなトラブルがおこるか分からない。
◇
「もしかして受けたいの?」
「ハハ、そんな訳ないじゃん」
スカーレットはそう言ったものの、ヴィオレには彼女が我慢していることが簡単に分かった。
魔法学園に進学したかったが、家庭の事情で諦めていた自分に、今のスカーレットの姿が被る。
「受けましょ! 私も協力する!」
「でも、合格できても……おカネが」
「私の学費の貯金、少しだけ降ろすからさ。良かったら使って」
ヴィオレの母親からコウスケが騙し取った小切手は、魔法学園に合格した時の、学費に使われることになり、銀行に預けられていた。
「え!? でも」
「6年分の学費だから、ちょっと使ってもなんとかなるわ。明日から一緒に特訓しましょ!」
「……本当にありがとう」
「今から申し込みにいきましょう」
受付に行こうとした時、突然スカーレットが、大声をあげた。
「嘘!? すごいよ! 試験当日には剣聖ジャッロが来るんだって!」
「嘘? 絶対に見にいかなくちゃ!」
ジャッロ・ホアンソオ
異名は「剣聖」。
連合王国にある、のどかな村に生まれた彼は、勇者パーティー(アナタの父親のパーティーですよ)に最初期から参加。
剣1本だけで、押し寄せる大軍を難なく薙ぎ払うその姿は、多くの魔族を戦慄させたという。
戦後は世界をまわる冒険者として活躍。
たった1人で、天災のようなモンスターの討伐に何十回と成功し、救われた国や地域は星の数ほどある。
その功績から彼は世界的にも希少なS級冒険者の中でも、頭1つ飛びぬけた存在だった。
現在もモンスター災害を苦しむ人々を救うために世界各地を飛び回っており、災害級のモンスターが、ほぼ討伐されている連合王国に帰ってくることはまずない。
煌剣団は、ジャッロを慕う冒険者たちが自然発生的に集まり作った冒険者チームで、団長は彼が勤めている。
ジャッロに会えるかも知れない。
そう思うと、冒険者事情に疎く、剣術に興味がないヴィオレも興奮が治まらなかった。
「分かってると思うけど、このことはパパには絶対……」
「言わないよ。すごく汚い手を使って邪魔してきそうだもん」
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