21 / 51
20話 悪事の証拠を録音することに成功!
しおりを挟む
「本当!?」
「適切に調理をして頂けるならなんの問題もないでござる」
アキナとレナの要求を、商人はあっけなく承諾した。
無理な条件を提示されると思った2人は、肩透かしをくらった気分になる。
「ただ、こちらの契約書にサインをして頂きたいでござる」
レナもアキナの横で出された契約書を確認する。
確認しながら、同時にアキナの表情も横目で伺った。
アキナはとても満足そうな表情を浮かべている。。
このままだと、前回と同じように理不尽な内容だと気づかずサインしてしまいかねない。
「分かっ――」
「絶対サインしちゃダメっす!」
「アキナ様は乗り気でござるのに、お主は何を申されるか?」
「8のところに書いてある事マジあり得ないんだけど!」
レナが問題にした契約書の8条には、以下の様な事が書いてあった。
第8条(期間限定飲食イベントに関する規定)
1.小葉白奈(あきな)(以下、アキナ様と称します)がダンジョン内で公開した料理動画に登場するレシピに基づいて、ダンジョンの1階層受付フロアにおいて期間限定の飲食イベント(以下、「イベント」と称します)を開催することがあります。
2.本イベントはアキナ様の配信者名であるアラフォーなつめの名を冠して行われますが、全てのイベントに関する収益は当方(以下、「ゴンザレス」と称します)が保有し、アキナ様には一切のマージンや収益分配は行われません。
3.本イベントにおいて供される料理は、アキナ様が動画で紹介したレシピを忠実に再現するように善処致します。
4.本イベントの企画、運営、宣伝に関するすべての権限はゴンザレスが持つものとします。
「ど、動画で紹介した美味しいモンスター料理を多くの人に食べて頂く事に、なにか不満ござるのか?」
「名前借りといてカネ全然払わねえとか舐めてんの!?」
「何回も言うけど私は、これで必要以上におカネを稼ぐつもりはないの」
「アキさん、そんな……」
「レシピ通りちゃんと作ってくれるなら問題ないわ」
「と、いう事でござる」
仮面の奥で、商人がニタニタしている事が簡単に予想できた。
絶対になにか悪だくみを企んでいることは間違いないので、負けずに食い下がる。
「でも、再現するじゃなくて善処するってなってるっすよ。きっと色々言い訳して食えねえマジヤベえもん出すつもりっすよ!」
「……そうね。どうして善処するなの? 説明してくれる?」
「動画で紹介したモンスターが、その日狩猟できなかったら味が近しい代わりのもので代用したり、別のメニューを提供するしかないでござる」
「うーん、それはそうね」
「また例えばでござるが、動画の中で塩を振って食べるのが美味しいと紹介していても、人によってはそれを不味いと感じ、代わりに醤油やマスタードをつけて食べたい人もいるでござる。そういった場合は忠実に再現できなくなるので、それを了承頂きたいと思い、この文章にしたでござる」
「なるほど、私たちが美味しいって感じる事を無理やりお客さん押し付けのは良くないわね。説明ありがとう。サインするわ!」
「アキさんこんな奴のいう事絶対に信じちゃだめっす。下手したら大炎上にウチら巻き込まれることに……」
「れなちゃん、そんなに人を疑うのは良くないわよ」
レナの頑張りも虚しく、アキナはサインをしてしまう。
レナはお人よし過ぎるアキナに呆れながらも、こんな時のためにスマホの録音アプリをオンにしていて良かったとひそかに安堵していた。
「適切に調理をして頂けるならなんの問題もないでござる」
アキナとレナの要求を、商人はあっけなく承諾した。
無理な条件を提示されると思った2人は、肩透かしをくらった気分になる。
「ただ、こちらの契約書にサインをして頂きたいでござる」
レナもアキナの横で出された契約書を確認する。
確認しながら、同時にアキナの表情も横目で伺った。
アキナはとても満足そうな表情を浮かべている。。
このままだと、前回と同じように理不尽な内容だと気づかずサインしてしまいかねない。
「分かっ――」
「絶対サインしちゃダメっす!」
「アキナ様は乗り気でござるのに、お主は何を申されるか?」
「8のところに書いてある事マジあり得ないんだけど!」
レナが問題にした契約書の8条には、以下の様な事が書いてあった。
第8条(期間限定飲食イベントに関する規定)
1.小葉白奈(あきな)(以下、アキナ様と称します)がダンジョン内で公開した料理動画に登場するレシピに基づいて、ダンジョンの1階層受付フロアにおいて期間限定の飲食イベント(以下、「イベント」と称します)を開催することがあります。
2.本イベントはアキナ様の配信者名であるアラフォーなつめの名を冠して行われますが、全てのイベントに関する収益は当方(以下、「ゴンザレス」と称します)が保有し、アキナ様には一切のマージンや収益分配は行われません。
3.本イベントにおいて供される料理は、アキナ様が動画で紹介したレシピを忠実に再現するように善処致します。
4.本イベントの企画、運営、宣伝に関するすべての権限はゴンザレスが持つものとします。
「ど、動画で紹介した美味しいモンスター料理を多くの人に食べて頂く事に、なにか不満ござるのか?」
「名前借りといてカネ全然払わねえとか舐めてんの!?」
「何回も言うけど私は、これで必要以上におカネを稼ぐつもりはないの」
「アキさん、そんな……」
「レシピ通りちゃんと作ってくれるなら問題ないわ」
「と、いう事でござる」
仮面の奥で、商人がニタニタしている事が簡単に予想できた。
絶対になにか悪だくみを企んでいることは間違いないので、負けずに食い下がる。
「でも、再現するじゃなくて善処するってなってるっすよ。きっと色々言い訳して食えねえマジヤベえもん出すつもりっすよ!」
「……そうね。どうして善処するなの? 説明してくれる?」
「動画で紹介したモンスターが、その日狩猟できなかったら味が近しい代わりのもので代用したり、別のメニューを提供するしかないでござる」
「うーん、それはそうね」
「また例えばでござるが、動画の中で塩を振って食べるのが美味しいと紹介していても、人によってはそれを不味いと感じ、代わりに醤油やマスタードをつけて食べたい人もいるでござる。そういった場合は忠実に再現できなくなるので、それを了承頂きたいと思い、この文章にしたでござる」
「なるほど、私たちが美味しいって感じる事を無理やりお客さん押し付けのは良くないわね。説明ありがとう。サインするわ!」
「アキさんこんな奴のいう事絶対に信じちゃだめっす。下手したら大炎上にウチら巻き込まれることに……」
「れなちゃん、そんなに人を疑うのは良くないわよ」
レナの頑張りも虚しく、アキナはサインをしてしまう。
レナはお人よし過ぎるアキナに呆れながらも、こんな時のためにスマホの録音アプリをオンにしていて良かったとひそかに安堵していた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~
尾藤みそぎ
ファンタジー
陰キャのコミュ障女子高生、灰戸亜紀は人見知りが過ぎるあまりソロでのダンジョン探索をライフワークにしている変わり者。そんな彼女は、ダンジョンの出現に呼応して「プライムアビリティ」に覚醒した希少な特級探索者の1人でもあった。
ある日、亜紀はダンジョンの中層に突如現れたSランクモンスターのサラマンドラに襲われている探索者と遭遇する。
亜紀は人助けと思って、サラマンドラを一撃で撃破し探索者を救出。
ところが、襲われていたのは探索者兼インフルエンサーとして知られる水無瀬しずくで。しかも、救出の様子はすべて生配信されてしまっていた!?
そして配信された動画がバズりまくる中、偶然にも同じ学校の生徒だった水無瀬しずくがお礼に現れたことで、亜紀は瞬く間に身バレしてしまう。
さらには、ダンジョン管理局に目をつけられて依頼が舞い込んだり、水無瀬しずくからコラボ配信を持ちかけられたり。
コミュ障を極めてひっそりと生活していた亜紀の日常はガラリと様相を変えて行く!
はたして表舞台に立たされてしまった亜紀は安らぎのぼっちライフを守り抜くことができるのか!?
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~
椿紅颯
ファンタジー
目標である登録者3万人の夢を叶えた葭谷和昌こと活動名【カズマ】。
しかし次の日、身に覚えのない大炎上を経験してしまい、SNSと活動アカウントが大量の通報の後に削除されてしまう。
タイミング良くアルバイトもやめてしまい、完全に収入が途絶えてしまったことから探索者になることを決める。
数日間が経過し、とある都市伝説を友人から聞いて実践することに。
すると、聞いていた内容とは異なるものの、レアドロップ&レアスキルを手に入れてしまう!
手に入れたものを活かすため、一度は去った配信業界へと戻ることを決める。
そんな矢先、ダンジョンで狩りをしていると少女達の危機的状況を助け、しかも一部始終が配信されていてバズってしまう。
無名にまで落ちてしまったが、一躍時の人となり、その少女らとパーティを組むことになった。
和昌は次々と偉業を成し遂げ、底辺から最速で成り上がっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる