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3話 ダンジョンに入るといきなり裏ボス!
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「こんなん買っちゃってたんすね」
「うん。私もう完全にダンジョン配信をする気満々だったから、身バレしないようにトンキで買ってたの」
次元の穴がある公園に車で向かう途中、アキナは自宅に立ち寄り、ダンジョン配信をする時につける予定だったカツラと伊達メガネをつけてきた。
「ハハハ。アキさん先走りすぎっすよ。でも、なんでそれつけちゃうんすか?」
「もう絶対つけることなんて無いから、買ったのに勿体ないじゃない」
「ハハハ。てか、そのジャージとスニーカーでマジでダンジョン探索しちゃう気なんすか?」「その為に一緒に着替えてきたんだけどダメかなあ?」
「ガチでヤバいからダメっすよ! 次元の穴に入ったらすぐ売店があるから、そこで装備をレンタルしてください!」
「売店?」
「異世界の人達がウチらのために開いている店が、ダンジョンの中にあるんっすよ」
「ダ、ダンジョンの中でえ!?」
レナの言葉に驚いたアキナは、思わず叫んでしまった。
ダンジョン周辺には装備やアイテムが販売する露店が存在する事もある。
またダンジョン内でも商人を兼業しているような冒険者が、なにか売っていることもある。
だが、モンスターが沢山ばっこするダンジョンの中に売店が開かれている事など彼女の経験上ありえなかった。
◇
公園の駐車場に車を停めてしばらく歩くと、次元の穴が開いているという広場が見えてきた。
次元の穴の前には警察官が2人立ち、これからダンジョンに入ろうとする数人の配信者の手荷物やポケットをチェックしていた。
「アレなにしてんの?」
「ボディチェックっす」
「ボディチェック!?」
「前は鉄パイプやスタンガンとか、色々ダンジョンに持ってこれたんすけど、危ないもの持ってタムロしているヤバい奴が沢山いるって、次元の穴が開いている全部の場所の近所の人達から文句きたっぽいんっすよ」
「そ、そうなのね」
「で、近所の人たちや自治体とダンジョンの偉い人が、危ないものは持ち込めないようするって話し合って決めたみたいっす」
「ダ、ダンジョンの偉い人!?」
ダンジョンに人と話し合う代表者の様なものがいるということだろうか。
アキナが知っている【生態系の迷宮】の主は、頭がよく人とコミュニケーションをとることができた。
だが、ダンジョンの支配者が、異世界の人間と態々そんな約束をする理由はない。
となると、どこかの冒険者が勝手にダンジョンを自分たちの縄張りだと言って代表者を気取りそんな約束をしているのだろうか?
(でも、異世界とは言葉が違うから意思疎通は難しいはずだし……)
頭が混乱する中、レナはアキナに話し続けてくる。
「刀とか猟銃は免許を持ってて、自治体とダンジョンの許可とってれば持ち込めるみたいっすけど、手続きめんどくさくて、おカネもかかるみたいすね」
「え? じゃあほとんどの人はダンジョンには丸腰で入るの!? それって危ないと思うけど……」
「さっきの売店で装備買えるから、大丈夫っすよ。ただ、異世界でゲットしたものをこっちに持ってくるのは魔道具以外はダメになったみたいっすけどね」
「ま、魔道具は良いのね」
「こっちじゃ使えないんで安全だからOKって話になったみたいっす」
(な、なにがどうなってるのかしら?)
様々な疑問を抱きながら、ボディチェックを終えアキナはレナと共に次元の穴をくぐった。
◇
次元の穴をくぐり、周囲を確認する。場所は生態系の迷宮の1階で間違いない様だ。ここは多数の部屋が迷路状に配置されて連なっている階層だが、この場所はいくつかの部屋の壁が壊されて大きな広間の様に改造されている。
(異世界の人間を迎え入れるために地形を作り替えたってこと? ……!)
「ビックリしちゃいました? そうっすよね、異世界なんて、普通くる事ないっすもんね」
異世界にくるのは、これで2回目だ。慣れてはないが別に驚きはしない。
驚いているのはもっと別の事だ。
(青い肌に金色の瞳と髪‥‥…まさかあれは、アストラル・ジン!)
最終10階層の守護者、エンドレス・ワイバーンを倒した者の前のみに姿を現す真の支配者たる知の魔神。異世界でもその存在を知る者はごく僅かである。
それが1階層、しかも入り口を入って直ぐの場所にいることにアキナは驚きを隠せなかった。
だが、いつまでも驚いてはいられない。レナを守らなければ。
そう思い、身構えたその時だった。
「あーッ レナじゃん! 最近来てくれないからどうしたのかって思っちゃったよ」
「えー! ジン君 覚えててくれたんだあ! 久しぶりぃ」
よく見たら、アストラル・ジンは受付の様な場所に立っている。
しかも受付のカウンターの上には、パソコンの様なものまで置いてある。
(えー!? もうなにがどうなってるのお?)
「うん。私もう完全にダンジョン配信をする気満々だったから、身バレしないようにトンキで買ってたの」
次元の穴がある公園に車で向かう途中、アキナは自宅に立ち寄り、ダンジョン配信をする時につける予定だったカツラと伊達メガネをつけてきた。
「ハハハ。アキさん先走りすぎっすよ。でも、なんでそれつけちゃうんすか?」
「もう絶対つけることなんて無いから、買ったのに勿体ないじゃない」
「ハハハ。てか、そのジャージとスニーカーでマジでダンジョン探索しちゃう気なんすか?」「その為に一緒に着替えてきたんだけどダメかなあ?」
「ガチでヤバいからダメっすよ! 次元の穴に入ったらすぐ売店があるから、そこで装備をレンタルしてください!」
「売店?」
「異世界の人達がウチらのために開いている店が、ダンジョンの中にあるんっすよ」
「ダ、ダンジョンの中でえ!?」
レナの言葉に驚いたアキナは、思わず叫んでしまった。
ダンジョン周辺には装備やアイテムが販売する露店が存在する事もある。
またダンジョン内でも商人を兼業しているような冒険者が、なにか売っていることもある。
だが、モンスターが沢山ばっこするダンジョンの中に売店が開かれている事など彼女の経験上ありえなかった。
◇
公園の駐車場に車を停めてしばらく歩くと、次元の穴が開いているという広場が見えてきた。
次元の穴の前には警察官が2人立ち、これからダンジョンに入ろうとする数人の配信者の手荷物やポケットをチェックしていた。
「アレなにしてんの?」
「ボディチェックっす」
「ボディチェック!?」
「前は鉄パイプやスタンガンとか、色々ダンジョンに持ってこれたんすけど、危ないもの持ってタムロしているヤバい奴が沢山いるって、次元の穴が開いている全部の場所の近所の人達から文句きたっぽいんっすよ」
「そ、そうなのね」
「で、近所の人たちや自治体とダンジョンの偉い人が、危ないものは持ち込めないようするって話し合って決めたみたいっす」
「ダ、ダンジョンの偉い人!?」
ダンジョンに人と話し合う代表者の様なものがいるということだろうか。
アキナが知っている【生態系の迷宮】の主は、頭がよく人とコミュニケーションをとることができた。
だが、ダンジョンの支配者が、異世界の人間と態々そんな約束をする理由はない。
となると、どこかの冒険者が勝手にダンジョンを自分たちの縄張りだと言って代表者を気取りそんな約束をしているのだろうか?
(でも、異世界とは言葉が違うから意思疎通は難しいはずだし……)
頭が混乱する中、レナはアキナに話し続けてくる。
「刀とか猟銃は免許を持ってて、自治体とダンジョンの許可とってれば持ち込めるみたいっすけど、手続きめんどくさくて、おカネもかかるみたいすね」
「え? じゃあほとんどの人はダンジョンには丸腰で入るの!? それって危ないと思うけど……」
「さっきの売店で装備買えるから、大丈夫っすよ。ただ、異世界でゲットしたものをこっちに持ってくるのは魔道具以外はダメになったみたいっすけどね」
「ま、魔道具は良いのね」
「こっちじゃ使えないんで安全だからOKって話になったみたいっす」
(な、なにがどうなってるのかしら?)
様々な疑問を抱きながら、ボディチェックを終えアキナはレナと共に次元の穴をくぐった。
◇
次元の穴をくぐり、周囲を確認する。場所は生態系の迷宮の1階で間違いない様だ。ここは多数の部屋が迷路状に配置されて連なっている階層だが、この場所はいくつかの部屋の壁が壊されて大きな広間の様に改造されている。
(異世界の人間を迎え入れるために地形を作り替えたってこと? ……!)
「ビックリしちゃいました? そうっすよね、異世界なんて、普通くる事ないっすもんね」
異世界にくるのは、これで2回目だ。慣れてはないが別に驚きはしない。
驚いているのはもっと別の事だ。
(青い肌に金色の瞳と髪‥‥…まさかあれは、アストラル・ジン!)
最終10階層の守護者、エンドレス・ワイバーンを倒した者の前のみに姿を現す真の支配者たる知の魔神。異世界でもその存在を知る者はごく僅かである。
それが1階層、しかも入り口を入って直ぐの場所にいることにアキナは驚きを隠せなかった。
だが、いつまでも驚いてはいられない。レナを守らなければ。
そう思い、身構えたその時だった。
「あーッ レナじゃん! 最近来てくれないからどうしたのかって思っちゃったよ」
「えー! ジン君 覚えててくれたんだあ! 久しぶりぃ」
よく見たら、アストラル・ジンは受付の様な場所に立っている。
しかも受付のカウンターの上には、パソコンの様なものまで置いてある。
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