124 / 262
第九章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 準決勝編
124.寄り添うもの
しおりを挟む
「おい、ブランって言ったか? お前今なんて言った」
「ですから。あなた達のレベルではこのダンジョンの攻略は百パーセントできません。装備もそんな装備で行くなんてどうかしてる」
「あ? やんのかてめぇこら。こちとら天下の冒険者様だぞ? 案内人風情がしゃしゃり出てくんなよ」
俺に手を出してくるか。ふ、雑魚が。
「な! いってぇ……」
「ボ、ボスが一瞬でひっくり返された!?」
「お前らもボスの言うことばかり聞いてると無駄死にするぞ。このダンジョンの攻略をしたいなら、まずそのボスをどうにかするんだな」
「くそ……また来る」
「ありがとうございました」
身の程知らずのくそ冒険者め。
「おいおい、ブラン。やりすぎだぞ……」
「マスター、しかし本当のことを言っただけで」
「あぁ、もちろんお前の判断は正しい。だがな、判断だけじゃなくて冒険者をもっと信じて可能性も提示してやれよ」
「マスター。可能性を提示してそれを信じた冒険者が死んだらどちらの責任になるのでしょう」
「ブラン……お前やっぱりまだ……」
「すみませんマスター。俺にはこういうやり方しかできないので」
俺は復帰して数日でこの案内所の業績トップを取った。
案内人に復帰すると決めて一か月は死ぬ気で様々な情報を集めまくった。ギルドに登録されている冒険者情報、この世にある装備、ダンジョンの詳細なマッピング、そして戦い方。その一つ一つのデータを元に案内を行っていく。
冒険者の意図や意思は必要ない。常に答えは俺のイエスかノーだ。一パーセントでも失敗する可能性があるのならノーと言い切る。そうやって俺はトップまで登りつめた。
「マスター。ブランさんやっぱり変ですよ。最近は特に」
「スレスタか。あぁ、戻ってきてからのあいつの営業スタイルは異常と言える。だが全てが的確で的を射たアドバイスをしているのも確かだ」
「確かにダンジョン攻略に加担した案件は百パーセントの成功率ですからね。ただそれ以上に断った件数があります」
「うむ、案内所として売り上げは右肩上がりだが、全体の満足度は下がってきてはいるからな。少々のテコ入れは必要かもな」
「必要ありません」
「ブラン!?」
「ブランさんっ!?」
「いつからそこに……」
「さっきからずっといたよスレスタ。君もまだわかってないようだね。我々案内人に必要なのはデータに基づく的確な判断と、百パーセントを約束された結果だ。それ以外はすべて切り捨てろ」
「……本当にそうなのでしょうか」
「何だと……」
「ひっ、な、なんでもないです」
「スレスタ。ガイドなり立てのお前が上級ガイドになった俺にもう一度口答えしてみろ。一生案内できなくなるまで殴り続けてやる」
「ひ、すみませんすみませんすみません、ですので下ろしてください」
「やめろ、ブラン」
「マスター……」
「マスターも他の案内人も甘すぎる。そんなんだとマーラみたいになりますよ」
「……なぁ、ブラン。お前の今の姿。マーラが見たら喜ぶのか?」
「……それは」
「お前は胸を張って案内人をやってるってマーラに言えるのか?」
「……俺とマーラの夢のためなんです。それを邪魔するならマスターでも容赦はしません」
そう、俺にはこうやって登りつめていくしかないんだ。
ん? 誰か来たな……。
「すみませーん。私、王都案内人育成委員会取締役秘書のスーザン・アレクと申します。息子さ……じゃなかった。ブラン・ゴードンさんはこちらにいらっしゃいますでしょうか……?」
来たな。公認の案内人適性試験の推薦。これはチャンスだ。
「ふふふ。あははは!」
「……あなたがブランさん?」
「えぇ、初めましてスーザンさん。早速お話をお聞かせ願いますか?」
なぁ、マーラ。俺のやり方はやはり間違っていたのだろうか。お前のようにダリウスを信用して寄り添っていたら、こんなことにはなっていなかったのだろうか……。
俺には案内人の素質などなかったのか、教えてくれマーラ。俺は……俺は……。
「ブランさん……あなた、やっぱりまだマーラさんのこと……」
スーザンは膝を着き空を見上げているブランを静かに見つめる。
ブランがそうしているうちにダリウスがフィールドに上がった。
「サテラ、お待たせ」
「ダリウス。あら、グローブを使うのはやめたのね」
ダリウスはちらりとブランを見る。
「うん。僕はこれで強くなりたい。それが例えどんなに時間がかかったとしても、どんなに他の人に向いてないと言われても……」
その言葉を聞いたブランが声を震わせながらダリウスに語り掛ける。
「ダリウス……それは愚かだ……お前はもっと強くなれるんだぞ……俺の言うことを聞いておけば。結果いい方向にいくんだぞ。なぜそれが分からない」
ダリウスはブランの方に振り返り、少しだけ頬を上げた。
「……それでも、これが僕のやりたいことだから」
ブランを真っ直ぐに見つめるダリウスの瞳がブランの心を揺さぶった。
「ダリウス」
マーラ。お前はよく言っていた。
『案内人は冒険者と真正面から向き合うものじゃない、冒険者の隣で寄り添うもの』だと。
俺は今からでもそうなれるのだろうか。
「さぁ、サテラ。君の強さを僕に見せてくれ。今日は負けるかもしれない。けど僕はこれから強くなる!」
「……分かったわ。最後まで全力で行かせてもらいます!」
『両者準備が整いました。試合再開!』
「ですから。あなた達のレベルではこのダンジョンの攻略は百パーセントできません。装備もそんな装備で行くなんてどうかしてる」
「あ? やんのかてめぇこら。こちとら天下の冒険者様だぞ? 案内人風情がしゃしゃり出てくんなよ」
俺に手を出してくるか。ふ、雑魚が。
「な! いってぇ……」
「ボ、ボスが一瞬でひっくり返された!?」
「お前らもボスの言うことばかり聞いてると無駄死にするぞ。このダンジョンの攻略をしたいなら、まずそのボスをどうにかするんだな」
「くそ……また来る」
「ありがとうございました」
身の程知らずのくそ冒険者め。
「おいおい、ブラン。やりすぎだぞ……」
「マスター、しかし本当のことを言っただけで」
「あぁ、もちろんお前の判断は正しい。だがな、判断だけじゃなくて冒険者をもっと信じて可能性も提示してやれよ」
「マスター。可能性を提示してそれを信じた冒険者が死んだらどちらの責任になるのでしょう」
「ブラン……お前やっぱりまだ……」
「すみませんマスター。俺にはこういうやり方しかできないので」
俺は復帰して数日でこの案内所の業績トップを取った。
案内人に復帰すると決めて一か月は死ぬ気で様々な情報を集めまくった。ギルドに登録されている冒険者情報、この世にある装備、ダンジョンの詳細なマッピング、そして戦い方。その一つ一つのデータを元に案内を行っていく。
冒険者の意図や意思は必要ない。常に答えは俺のイエスかノーだ。一パーセントでも失敗する可能性があるのならノーと言い切る。そうやって俺はトップまで登りつめた。
「マスター。ブランさんやっぱり変ですよ。最近は特に」
「スレスタか。あぁ、戻ってきてからのあいつの営業スタイルは異常と言える。だが全てが的確で的を射たアドバイスをしているのも確かだ」
「確かにダンジョン攻略に加担した案件は百パーセントの成功率ですからね。ただそれ以上に断った件数があります」
「うむ、案内所として売り上げは右肩上がりだが、全体の満足度は下がってきてはいるからな。少々のテコ入れは必要かもな」
「必要ありません」
「ブラン!?」
「ブランさんっ!?」
「いつからそこに……」
「さっきからずっといたよスレスタ。君もまだわかってないようだね。我々案内人に必要なのはデータに基づく的確な判断と、百パーセントを約束された結果だ。それ以外はすべて切り捨てろ」
「……本当にそうなのでしょうか」
「何だと……」
「ひっ、な、なんでもないです」
「スレスタ。ガイドなり立てのお前が上級ガイドになった俺にもう一度口答えしてみろ。一生案内できなくなるまで殴り続けてやる」
「ひ、すみませんすみませんすみません、ですので下ろしてください」
「やめろ、ブラン」
「マスター……」
「マスターも他の案内人も甘すぎる。そんなんだとマーラみたいになりますよ」
「……なぁ、ブラン。お前の今の姿。マーラが見たら喜ぶのか?」
「……それは」
「お前は胸を張って案内人をやってるってマーラに言えるのか?」
「……俺とマーラの夢のためなんです。それを邪魔するならマスターでも容赦はしません」
そう、俺にはこうやって登りつめていくしかないんだ。
ん? 誰か来たな……。
「すみませーん。私、王都案内人育成委員会取締役秘書のスーザン・アレクと申します。息子さ……じゃなかった。ブラン・ゴードンさんはこちらにいらっしゃいますでしょうか……?」
来たな。公認の案内人適性試験の推薦。これはチャンスだ。
「ふふふ。あははは!」
「……あなたがブランさん?」
「えぇ、初めましてスーザンさん。早速お話をお聞かせ願いますか?」
なぁ、マーラ。俺のやり方はやはり間違っていたのだろうか。お前のようにダリウスを信用して寄り添っていたら、こんなことにはなっていなかったのだろうか……。
俺には案内人の素質などなかったのか、教えてくれマーラ。俺は……俺は……。
「ブランさん……あなた、やっぱりまだマーラさんのこと……」
スーザンは膝を着き空を見上げているブランを静かに見つめる。
ブランがそうしているうちにダリウスがフィールドに上がった。
「サテラ、お待たせ」
「ダリウス。あら、グローブを使うのはやめたのね」
ダリウスはちらりとブランを見る。
「うん。僕はこれで強くなりたい。それが例えどんなに時間がかかったとしても、どんなに他の人に向いてないと言われても……」
その言葉を聞いたブランが声を震わせながらダリウスに語り掛ける。
「ダリウス……それは愚かだ……お前はもっと強くなれるんだぞ……俺の言うことを聞いておけば。結果いい方向にいくんだぞ。なぜそれが分からない」
ダリウスはブランの方に振り返り、少しだけ頬を上げた。
「……それでも、これが僕のやりたいことだから」
ブランを真っ直ぐに見つめるダリウスの瞳がブランの心を揺さぶった。
「ダリウス」
マーラ。お前はよく言っていた。
『案内人は冒険者と真正面から向き合うものじゃない、冒険者の隣で寄り添うもの』だと。
俺は今からでもそうなれるのだろうか。
「さぁ、サテラ。君の強さを僕に見せてくれ。今日は負けるかもしれない。けど僕はこれから強くなる!」
「……分かったわ。最後まで全力で行かせてもらいます!」
『両者準備が整いました。試合再開!』
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する
はにわ
ファンタジー
主人公ゴウキは幼馴染である女勇者クレアのパーティーに属する前衛の拳闘士である。
スラムで育ち喧嘩に明け暮れていたゴウキに声をかけ、特待生として学校に通わせてくれたクレアに恩を感じ、ゴウキは苛烈な戦闘塗れの勇者パーティーに加入して日々活躍していた。
だがクレアは人の良い両親に育てられた人間を疑うことを知らずに育った脳内お花畑の女の子。
そんな彼女のパーティーにはエリート神官で腹黒のリフト、クレアと同じくゴウキと幼馴染の聖女ミリアと、剣聖マリスというリーダーと気持ちを同じくするお人よしの聖人ばかりが揃う。
勇者パーティーの聖人達は普段の立ち振る舞いもさることながら、戦いにおいても「美しい」と言わしめるスマートな戦いぶりに周囲は彼らを国の誇りだと称える。
そんなパーティーでゴウキ一人だけ・・・人を疑い、荒っぽい言動、額にある大きな古傷、『拳鬼』と呼ばれるほどの荒々しく泥臭い戦闘スタイル・・・そんな異色な彼が浮いていた。
周囲からも『清』の中の『濁』だと彼のパーティー在籍を疑問視する声も多い。
素直過ぎる勇者パーティーの面々にゴウキは捻くれ者とカテゴライズされ、パーティーと意見を違えることが多く、衝突を繰り返すが常となっていた。
しかしゴウキはゴウキなりに救世の道を歩めることに誇りを持っており、パーティーを離れようとは思っていなかった。
そんなある日、ゴウキは勇者パーティーをいつの間にか追放処分とされていた。失意の底に沈むゴウキだったが、『濁』なる存在と認知されていると思っていたはずの彼には思いの外人望があることに気付く。
『濁』の存在である自分にも『濁』なりの救世の道があることに気付き、ゴウキは勇者パーティーと決別して己の道を歩み始めるが、流れに流れいつの間にか『マフィア』を率いるようになってしまい、立場の違いから勇者と争うように・・・
一方、人を疑うことのないクレア達は防波堤となっていたゴウキがいなくなったことで、悪意ある者達の食い物にされ弱体化しつつあった。
ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません
野村にれ
恋愛
人としての限界に達していたヨルレアンは、
婚約者であるエルドール第二王子殿下に理不尽とも思える注意を受け、
話の流れから婚約を解消という話にまでなった。
ヨルレアンは自分の立場のために頑張っていたが、
絶対に婚約を解消しようと拳を上げる。
騎士志望のご令息は暗躍がお得意
月野槐樹
ファンタジー
王弟で辺境伯である父を保つマーカスは、辺境の田舎育ちのマイペースな次男坊。
剣の腕は、かつて「魔王」とまで言われた父や父似の兄に比べれば平凡と自認していて、剣より魔法が大好き。戦う時は武力より、どちらというと裏工作?
だけど、ちょっとした気まぐれで騎士を目指してみました。
典型的な「騎士」とは違うかもしれないけど、護る時は全力です。
従者のジョセフィンと駆け抜ける青春学園騎士物語。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【コミカライズ連載中!】私を追放したことを後悔してもらおう~父上は領地発展が私のポーションのお陰と知らないらしい~
ヒツキノドカ
ファンタジー
2022.4.1より書籍1巻発売!
2023.7.26より2巻発売中です!
2024.3.21よりコミカライズ連載がスタートしております。漫画を担当してくださったのは『ぽんこつ陰陽師あやかし縁起』の野山かける先生! ぜひチェックしてみてください!
▽
伯爵令嬢アリシアは、魔法薬(ポーション)研究が何より好きな『研究令嬢』だった。
社交は苦手だったが、それでも領地発展の役に立とうと領民に喜ばれるポーション作りを日々頑張っていたのだ。
しかし――
「アリシア。伯爵令嬢でありながら部屋に閉じこもってばかりいるお前はこの家にふさわしくない。よってこの領地から追放する。即刻出て行け!」
そんなアリシアの気持ちは理解されず、父親に領地を追い出されてしまう。
アリシアの父親は知らなかったのだ。たった数年で大発展を遂げた彼の領地は、すべてアリシアが大量生産していた数々のポーションのお陰だったことを。
アリシアが【調合EX】――大陸全体を見渡しても二人といない超レアスキルの持ち主だったことを。
追放されたアリシアは隣領に向かい、ポーション作りの腕を活かして大金を稼いだり困っている人を助けたりと認められていく。
それとは逆に、元いた領地はアリシアがいなくなった影響で次第に落ちぶれていくのだった。
ーーーーーー
ーーー
※閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。励みになります。
※2020.8.31 お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
※2020.9.8 多忙につき感想返信はランダムとさせていただきます。ご了承いただければと……!
※書籍化に伴う改稿により、アリシアの口調が連載版と書籍で変わっています。もしかしたら違和感があるかもしれませんが、「そういう世界線もあったんだなあ」と温かく見てくださると嬉しいです。
※2023.6.8追記 アリシアの口調を書籍版に合わせました。
工芸職人《クラフトマン》はセカンドライフを謳歌する
鈴木竜一
ファンタジー
旧題:工芸職人《クラフトマン》はセカンドライフを謳歌する~ブラック商会をクビになったので独立したら、なぜか超一流の常連さんたちが集まってきました~
【お知らせ】
このたび、本作の書籍化が正式に決定いたしました。
発売は今月(6月)下旬!
詳細は近況ボードにて!
超絶ブラックな労働環境のバーネット商会に所属する工芸職人《クラフトマン》のウィルムは、過労死寸前のところで日本の社畜リーマンだった前世の記憶がよみがえる。その直後、ウィルムは商会の代表からクビを宣告され、石や木片という簡単な素材から付与効果付きの武器やアイテムを生みだせる彼のクラフトスキルを頼りにしてくれる常連の顧客(各分野における超一流たち)のすべてをバカ息子であるラストンに引き継がせると言いだした。どうせ逆らったところで無駄だと悟ったウィルムは、退職金代わりに隠し持っていた激レアアイテムを持ちだし、常連客たちへ退職報告と引き継ぎの挨拶を済ませてから、自由気ままに生きようと隣国であるメルキス王国へと旅立つ。
ウィルムはこれまでのコネクションを駆使し、田舎にある森の中で工房を開くと、そこで畑を耕したり、家畜を飼育したり、川で釣りをしたり、時には町へ行ってクラフトスキルを使って作ったアイテムを売ったりして静かに暮らそうと計画していたのだ。
一方、ウィルムの常連客たちは突然の退職が代表の私情で行われたことと、その後の不誠実な対応、さらには後任であるラストンの無能さに激怒。大貴族、Sランク冒険者パーティーのリーダー、秘境に暮らす希少獣人族集落の長、世界的に有名な鍛冶職人――などなど、有力な顧客はすべて商会との契約を打ち切り、ウィルムをサポートするため次々と森にある彼の工房へと集結する。やがて、そこには多くの人々が移住し、最強クラスの有名人たちが集う村が完成していったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる