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13 ただいま元の世界
13-1 一章完 ※下品
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「とーう! グガッ!」
「ぅーーっ!」
ドアが開いた感触がした途端、脇目も振らず白い枠線の間へ飛び込んだ。瞬間なにかに叩きつけられた激痛。すんでのところで全身を捻り、背中からダイブしたのが不幸中の幸いだ。背中はしこたまぶつけたが、頭は背負っていた小向の枕入りスポーツバッグに助けられた。というかどっちかというと、衝撃で小向の頭部に顎を強打された方のが痛い。だが流れに身を任せて小向を地面と俺の間にサンドイッチしなくてほんとよかった。
「いたたたたー小向まじ石頭」
「いたい、石あご」
お互い痛いところを押え、地面に転がる。見上げた頭上には、恋しくて恋しくてたまらなかった低い天井と、電気文明の存在を知らせる蛍光灯があった。窓から射し込む日差しは、夕暮れのあたたかさで、そっと優しくクラスメイトたちの机をオレンジに染めている。懐かしく、けれど変わらない光景に全身から力が抜けた。
帰ってきたんだな、俺たち。お互いに何も語らずしばらくの間、思い思いに感慨にふけった。無事二人して帰ってこられた事に喜びがつきない。だがそんなつかの間の感動も、横から聞こえた情けない腹の音に中断させられる。
俺はよいしょと起き上がり、背負っていた小向のスポーツバッグを小向とは反対側におろして、チャックを開いた。そして中からバスケットの中布で包んでいたものをそのまま取り出す。
「パンあるよ。小向にあげようと思って持ってきたんだ」
冷えちゃったけど美味しいと思うよと包を開いたら、そこにはずっと大事に持ち歩いていたパン、とピナナがあった。そうだピナナがあった。
俺は横に寝そべってる小向に軽く乗り上げ、邪魔なベールをそっとまくった。あらわになった顔はガードのかたい前髪でしっかりと上半分隠されていたが、俺が今用があるのは、無防備に半開きになってるぷるんとした唇。
「あのさ、俺ピナナ持って帰ってきたんだ」
そっと一本持ち上げて、小向の唇をちょんちょんと先っぽでつついてみる。半開きになってたせいで、先っぽがちょっとだけお口の中にインした。
「ねね、ちょっとだけ……ピナナプレイ、しない?」
はぁはぁはぁはぁ、息が荒ぶる。俺が本気の力を出せば、ピナナの先端を千切らなくとも、表の皮をまくれ上げることなど容易い。無理に剥いた反動でぺろんと飛び出した薄皮を纏った果肉の先が潰れ、漏れた白濁とした果汁がぴゅっと小向の唇に飛んでしまったのもご愛嬌だ。
悪い子な俺のお手手が暴走しだす。ちょっとだけ顔を出した白濁果汁滴らすうすピンクな果肉を、無防備な小向の上唇と下唇の間を出入りさせたがってさせたがって。
「吸って! ほら先っぽ、ちゅーちゅーして!」
「んっぅ、ぅく」
器用に握ってる手の指先だけで表の皮をズル剥いた俺は、ほとんどお目見えした果肉部分をずぽずぽずぽずぽ。小向の口内へとロングストロークで激しく出入りさせて、本望のピナナプレイを堪能する。他の男のものになるはずだった花嫁姿の小向を上からのしかかってピナナプレイ。やばいすごいたぎる。
一本目の果肉がぺひょんとこうべを垂れるまで、俺は大切に大切にそのピナナを使い続けた。完璧に使い倒した。一本目の粘り強い頑張りに感服して、よし次だと二本目に移行するために、萎れてへにょへにょになった一本目を小向の口内から取り出そうと引いた。瞬間、突如牙をむいた小向に、文字通りしおしおピナナに噛みつかれ、お役目を終えた砲身を引き千切られた。
「ッギャァァァァアッ!!!」
痛い!視覚的に痛い!引き千切った俺の手の中にあるピナナの一部をぺっと吐き出した小向は、ただただ擬似痛覚の恐怖に慄き絶叫する俺を押しやって上半身を起こすと、手を振り上げ
「シネ」
「あだあだぁぁあ!」
ばちばちーん!こ気味いい音を響かせながら、俺の頬に強烈な往復ビンタをお見舞いした。
そして今度は物理的な痛みに悶絶して床を転がる俺を見下ろし、蔑むかのようにチッと舌打ちすると、俺の大切なピナナを包んでいたバスケットの中布を綺麗に包み直してスポーツバッグに押し込んだ。そのままスポーツバッグを握りしめ、自身の机の横に置きっぱなしになっていたカバンも回収し、出入り口の扉に向かっていく。
「制服だけはっ俺の制服だけはおいていってええ……」
俺は暴走してしまった情けなさと思考の愚かさに打ちのめされ、追いかける気力がわかずに、その場で凹んだ。だがスポーツバッグの中に俺の制服も入っている事を思い出し、お情けを下さいと懇願する。さすがにこの恰好じゃ家に帰れない。
そんな俺にジト目を寄越した小向は、呆気無くドアを閉めて一人颯爽と帰ってしまった。
「ああなんて俺は馬鹿なんだ……ほんとばか! バカバカ!」
だがしばらくその場でウジウジしてたら少しメンタルが回復した。なので、一縷の望みをかけて廊下をこっそり覗くと、端っこの方にくちゃくちゃの俺の制服が投げ捨ててあった。
「はは、はははは」
小向ってなんだかんだ言って、やっぱ優しい。うん、明日ちゃんと謝ろう。
一章完
「ぅーーっ!」
ドアが開いた感触がした途端、脇目も振らず白い枠線の間へ飛び込んだ。瞬間なにかに叩きつけられた激痛。すんでのところで全身を捻り、背中からダイブしたのが不幸中の幸いだ。背中はしこたまぶつけたが、頭は背負っていた小向の枕入りスポーツバッグに助けられた。というかどっちかというと、衝撃で小向の頭部に顎を強打された方のが痛い。だが流れに身を任せて小向を地面と俺の間にサンドイッチしなくてほんとよかった。
「いたたたたー小向まじ石頭」
「いたい、石あご」
お互い痛いところを押え、地面に転がる。見上げた頭上には、恋しくて恋しくてたまらなかった低い天井と、電気文明の存在を知らせる蛍光灯があった。窓から射し込む日差しは、夕暮れのあたたかさで、そっと優しくクラスメイトたちの机をオレンジに染めている。懐かしく、けれど変わらない光景に全身から力が抜けた。
帰ってきたんだな、俺たち。お互いに何も語らずしばらくの間、思い思いに感慨にふけった。無事二人して帰ってこられた事に喜びがつきない。だがそんなつかの間の感動も、横から聞こえた情けない腹の音に中断させられる。
俺はよいしょと起き上がり、背負っていた小向のスポーツバッグを小向とは反対側におろして、チャックを開いた。そして中からバスケットの中布で包んでいたものをそのまま取り出す。
「パンあるよ。小向にあげようと思って持ってきたんだ」
冷えちゃったけど美味しいと思うよと包を開いたら、そこにはずっと大事に持ち歩いていたパン、とピナナがあった。そうだピナナがあった。
俺は横に寝そべってる小向に軽く乗り上げ、邪魔なベールをそっとまくった。あらわになった顔はガードのかたい前髪でしっかりと上半分隠されていたが、俺が今用があるのは、無防備に半開きになってるぷるんとした唇。
「あのさ、俺ピナナ持って帰ってきたんだ」
そっと一本持ち上げて、小向の唇をちょんちょんと先っぽでつついてみる。半開きになってたせいで、先っぽがちょっとだけお口の中にインした。
「ねね、ちょっとだけ……ピナナプレイ、しない?」
はぁはぁはぁはぁ、息が荒ぶる。俺が本気の力を出せば、ピナナの先端を千切らなくとも、表の皮をまくれ上げることなど容易い。無理に剥いた反動でぺろんと飛び出した薄皮を纏った果肉の先が潰れ、漏れた白濁とした果汁がぴゅっと小向の唇に飛んでしまったのもご愛嬌だ。
悪い子な俺のお手手が暴走しだす。ちょっとだけ顔を出した白濁果汁滴らすうすピンクな果肉を、無防備な小向の上唇と下唇の間を出入りさせたがってさせたがって。
「吸って! ほら先っぽ、ちゅーちゅーして!」
「んっぅ、ぅく」
器用に握ってる手の指先だけで表の皮をズル剥いた俺は、ほとんどお目見えした果肉部分をずぽずぽずぽずぽ。小向の口内へとロングストロークで激しく出入りさせて、本望のピナナプレイを堪能する。他の男のものになるはずだった花嫁姿の小向を上からのしかかってピナナプレイ。やばいすごいたぎる。
一本目の果肉がぺひょんとこうべを垂れるまで、俺は大切に大切にそのピナナを使い続けた。完璧に使い倒した。一本目の粘り強い頑張りに感服して、よし次だと二本目に移行するために、萎れてへにょへにょになった一本目を小向の口内から取り出そうと引いた。瞬間、突如牙をむいた小向に、文字通りしおしおピナナに噛みつかれ、お役目を終えた砲身を引き千切られた。
「ッギャァァァァアッ!!!」
痛い!視覚的に痛い!引き千切った俺の手の中にあるピナナの一部をぺっと吐き出した小向は、ただただ擬似痛覚の恐怖に慄き絶叫する俺を押しやって上半身を起こすと、手を振り上げ
「シネ」
「あだあだぁぁあ!」
ばちばちーん!こ気味いい音を響かせながら、俺の頬に強烈な往復ビンタをお見舞いした。
そして今度は物理的な痛みに悶絶して床を転がる俺を見下ろし、蔑むかのようにチッと舌打ちすると、俺の大切なピナナを包んでいたバスケットの中布を綺麗に包み直してスポーツバッグに押し込んだ。そのままスポーツバッグを握りしめ、自身の机の横に置きっぱなしになっていたカバンも回収し、出入り口の扉に向かっていく。
「制服だけはっ俺の制服だけはおいていってええ……」
俺は暴走してしまった情けなさと思考の愚かさに打ちのめされ、追いかける気力がわかずに、その場で凹んだ。だがスポーツバッグの中に俺の制服も入っている事を思い出し、お情けを下さいと懇願する。さすがにこの恰好じゃ家に帰れない。
そんな俺にジト目を寄越した小向は、呆気無くドアを閉めて一人颯爽と帰ってしまった。
「ああなんて俺は馬鹿なんだ……ほんとばか! バカバカ!」
だがしばらくその場でウジウジしてたら少しメンタルが回復した。なので、一縷の望みをかけて廊下をこっそり覗くと、端っこの方にくちゃくちゃの俺の制服が投げ捨ててあった。
「はは、はははは」
小向ってなんだかんだ言って、やっぱ優しい。うん、明日ちゃんと謝ろう。
一章完
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