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第五話②・天災級の天才
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逆夢海亥の教室での顔は、誰にも集中力を妨げられない、まともに関われない人間だが、興味への熱量は誰もが認める天才そのものだった。
七補士と逆夢の違いは、勉学への本気の取り組みが定期テストというものを始めて中学で行った際に芽生えたかどうか?というものだった。
前者は物心ついた時から好奇心の塊であったが、後者は小学生までは寧ろ退廃的で学業など何も興味のない子供だった。
あまりにもボケッとしすぎていて、精神的な問題を抱えていることも考えられたが、検査をした限りではマイペースなだけで知能も精神的な診断もなかったようだ。
それは、彼に明確な指標がなかったからだ。
小学校で求められる表面的な問題は、彼には思考を割くに値しないと脳が認識してロックをかけていたような状態だった。
中学での定期テストで、初めてそのロックが解かれ、彼の頭の中はあらゆる学問への好奇心と探求心が滝のようにあふれ出たと彼は後に言っていた。
逆夢の学力は、校内どころか町域の歴代住民の中で一番高いと称されている。
運動能力もそれなりにあるうえ、チームプレイでの周囲の能力や個人競技のペース把握を完璧に把握してしまうため、彼が動き始めた時は味方は勝利確定、相手は敗北確定となっていた。
自分や味方の能力が足りなくても、相手の僅かな弱点を見抜き、突破口を作り、味方にそのチャンスがあることを気づかせる力があった。
そんな逆夢と、唯一拮抗する力を持っていたのが七補士鶴姫だった。
いつも一回目のテストは逆夢が満点を取るが、二回目以降は必ず七補士と逆夢で満点を叩きだすのが定番となっていた。
ひどい乱視の彼が、声をかけてきた七補士をやっと眼鏡での視力で見た時、その目は歓喜で輝いていた。
「君が。君が七補士さんなんだあ!」
瞳に星屑がいくつも散りばめられているようにも見えるその目で、逆夢はいつもの集中口を年相応のあどけない少年のように開いた。
七補士の名前はいつも順位張り出しやクラスメイトの会話から時々耳に入ってくる言葉で知っていたが、やはりこちらも顔は知らなかったようだ。
あまりにも七補士には眩しすぎる、一色の色も介入できないほど純粋なその表情に、七補士は少々戸惑っていた。
七補士に拮抗する『天災級の天才』と称される逆夢という生徒が、ここまで眩しい人間だと思っていなかった。
逆夢が『天災級の天才』と呼ばれる理由は、テストの回答や授業中に話を聞かない罰として授業後に没収した何十枚ものルーズリーフを興味本位で眺めた際に、明らかに新定理や理論がいくつも混じっていたからだ。
その中の一つを物理や化学の教師が解析したところ、使いようによっては核爆弾よりも高威力かつ付加効果を持つ爆弾や武器を今までにないほど低コストで作ることができる恐ろしい理論だったのだ。
そんなものが、彼のメモには複数散在している。
最も、逆夢はただ理論を考えることが好きなだけであり、一般の学生がみたところで判別がつかないものではあるため、価値を知る者が悪用しない限り利用されることはないだろう。
教師の間でまずそのあだ名が畏怖を込めて付けられ、元々七補士以外には肉薄できないくらいの成績と、その響きが中学生には格好よく聞こえるのか、いつから校内中に広がり、逆夢は『天災級の天才』と称されるようになったのだった。
七補士と逆夢の違いは、勉学への本気の取り組みが定期テストというものを始めて中学で行った際に芽生えたかどうか?というものだった。
前者は物心ついた時から好奇心の塊であったが、後者は小学生までは寧ろ退廃的で学業など何も興味のない子供だった。
あまりにもボケッとしすぎていて、精神的な問題を抱えていることも考えられたが、検査をした限りではマイペースなだけで知能も精神的な診断もなかったようだ。
それは、彼に明確な指標がなかったからだ。
小学校で求められる表面的な問題は、彼には思考を割くに値しないと脳が認識してロックをかけていたような状態だった。
中学での定期テストで、初めてそのロックが解かれ、彼の頭の中はあらゆる学問への好奇心と探求心が滝のようにあふれ出たと彼は後に言っていた。
逆夢の学力は、校内どころか町域の歴代住民の中で一番高いと称されている。
運動能力もそれなりにあるうえ、チームプレイでの周囲の能力や個人競技のペース把握を完璧に把握してしまうため、彼が動き始めた時は味方は勝利確定、相手は敗北確定となっていた。
自分や味方の能力が足りなくても、相手の僅かな弱点を見抜き、突破口を作り、味方にそのチャンスがあることを気づかせる力があった。
そんな逆夢と、唯一拮抗する力を持っていたのが七補士鶴姫だった。
いつも一回目のテストは逆夢が満点を取るが、二回目以降は必ず七補士と逆夢で満点を叩きだすのが定番となっていた。
ひどい乱視の彼が、声をかけてきた七補士をやっと眼鏡での視力で見た時、その目は歓喜で輝いていた。
「君が。君が七補士さんなんだあ!」
瞳に星屑がいくつも散りばめられているようにも見えるその目で、逆夢はいつもの集中口を年相応のあどけない少年のように開いた。
七補士の名前はいつも順位張り出しやクラスメイトの会話から時々耳に入ってくる言葉で知っていたが、やはりこちらも顔は知らなかったようだ。
あまりにも七補士には眩しすぎる、一色の色も介入できないほど純粋なその表情に、七補士は少々戸惑っていた。
七補士に拮抗する『天災級の天才』と称される逆夢という生徒が、ここまで眩しい人間だと思っていなかった。
逆夢が『天災級の天才』と呼ばれる理由は、テストの回答や授業中に話を聞かない罰として授業後に没収した何十枚ものルーズリーフを興味本位で眺めた際に、明らかに新定理や理論がいくつも混じっていたからだ。
その中の一つを物理や化学の教師が解析したところ、使いようによっては核爆弾よりも高威力かつ付加効果を持つ爆弾や武器を今までにないほど低コストで作ることができる恐ろしい理論だったのだ。
そんなものが、彼のメモには複数散在している。
最も、逆夢はただ理論を考えることが好きなだけであり、一般の学生がみたところで判別がつかないものではあるため、価値を知る者が悪用しない限り利用されることはないだろう。
教師の間でまずそのあだ名が畏怖を込めて付けられ、元々七補士以外には肉薄できないくらいの成績と、その響きが中学生には格好よく聞こえるのか、いつから校内中に広がり、逆夢は『天災級の天才』と称されるようになったのだった。
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