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第78話 今度の打席は
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ここはプライドはとっとと投げ捨ててしっかり見させてもらうのダヨ
輝明が投球モーションに入ったと直後に浮遊はバンドの構えを見せた。
「初球からセーフティー!」
まずはこのフォームに標準を合わせ…!反応遅れ…
”ズバァ――ン!!”
「ストライーク!」
(バントを空振りさせた!しかもあの相良相手先輩に!?)
(それだけボールが走ってるって事かよ!)
分かっていたのに反応が送れた?いや、分かっていたからこそ、か。二打席目とはいえやはりかなりボールの軌道が見ずらい。加えてこのスピード、1打席目の時より格段に速くなり、さっき球筋と重なってかなりやっかいなのだ。もう少し様子見で…
「今度は最初からしっかり構えて来た」
(しっかり見ていくつもりだな浮遊。普通の投手相手なら少しは揺さぶりになるだろう。けどれど…)
バットに当てる事こそ成功したたものの強い勢いのまま後方のフェンスまで飛んでいった。
「ファール!」
手が異様に痺れた!今までに感じたことがないレベルの手応え。まるで砲丸でぶつけられたのかと思うくらいバットにとてつもない衝撃が走ったのダヨ。スピードだけならまだしも球威、そしてボールのキレは過去一かもしれない。もう一球、もう一球あればでちゃんと前に転がせられるか…
「ゆっち、楽しくなって来たのダヨ」
「奇遇だな、俺も最高にキテるぜ!」
(やっぱり捕手《ここ》は特別だ。そしてその為に必要な特別な相手…なあ輝明、お前は今どういう気持ちでそこ立ってるんだ?)
それぞれの気持ちが高揚する中で放たれた三球目。浮遊はそれを上げることなく転がした。しかしボールはピッチャー正面に転がり危なげなくアウトとなった。
今度はサード方面にきっちり運ぶようになっとくのダヨ。けどその前に必ず…
「よぉ、残念だったな」
浮遊がバッターボックスを後にするとベンチ手前で馬場がとても上機嫌な様子で意地の悪い笑みを浮かべながら話しかけてきた。
しかし浮遊はそれに対して無言のまますこしほくそ笑み、涼しい顔で横切った。年下相手に凡退した故もっと悔しがる表情するだろうと思っていた馬場予想外の反応に少し面白くなさそうに眉をひそめるもすぐさま彼の座ったベンチの隣に腰を落とした。
「随分なポーカーフェイスっぷりだけど本当は内心荒れて地団駄を踏んでいるのでないの?ねぇ、ふ~ゆ~君?」
「確かに負けたけど今回は勝つ為に負けたのダヨ」
「けっ、負け惜しみを」
「それに」
「ん?」
「負けた、勝ったで言うのであれば確かにてるきぃーには敗北中だけどはっちには勝利中で僕チンの勝ちなのダヨ」
「………はい?」
「ばっちは一球もかすることなく三振。俺は二球はバットに当てた。三球目に至ってはちゃんと転がした。よってどう考えても今回は僕チン勝ちなのダヨ」
「いやいや、卑怯だろう。同じ凡退なんだから結果は変わらないだろう!?」
「自分の敗北すら受け止めきれないとは、やれやれダヨ。それに前打席もそれぞれ同じ様な結果なのだから寧ろボクちんの圧勝なのダヨ」
「そんな小さな誤差で勝ち誇ってんなよ!見てろよ、今度打席で…」
「はいはい、そういうのは後にしろよ」
中々収まらない2人の言い争いに鬼頭がキャプテンとして割って入った。
「今は取り敢えず剣崎の打席しっかり見とくぞ」
「へ~い………?」
「キャップって次打席だった気がするのダヨ」
「そうだよな。何でネクストサークルじゃなくてこっちにいるんすか?」
「いやまあ、なんというか。剣崎には悪いんだが、この打席に限って言えば凡退してきてほしい。なんだかそんな風に思えてな」
「仮にも見方ベンチにいながらそんな感情を抱くなんて、…もしかしなくても自由菌にでも感染したんですか?」
「それはマズイ。早く全身殺虫剤で除菌した方がいいのダヨ」
「酷い言い草だなそれ」
話し込んでいると僅かながら金属バットの擦れる音が聞こえて来た。
「ストライーク!」
「そのままミットに収まったとはいえ、当てれたみたいだね、すけっち」
「みたいだな。やっぱりネクスト行って準備してた方がいいんじゃないすか?」
「そうだな、お前らと違ってバットに当てたみたいだからな。ちゃんと控えてた方が…」
そう言いながら鬼頭が腰を持ち上げようとした瞬間背後から二人にガシッと抑えられた。
「まだ僅かに掠っただけですから」
「そうそう、まだまともに当たってすらないなら寧ろ守備の準備に備えているべきなのダヨ」
「お前らな~」
(ちょっと煽っただけでこれとは。ほんとに負けず嫌いだなこいつら)
鬼頭は進級してもまったく成長しない目の前の2人を見て苦笑を浮かべるのだった。
輝明が投球モーションに入ったと直後に浮遊はバンドの構えを見せた。
「初球からセーフティー!」
まずはこのフォームに標準を合わせ…!反応遅れ…
”ズバァ――ン!!”
「ストライーク!」
(バントを空振りさせた!しかもあの相良相手先輩に!?)
(それだけボールが走ってるって事かよ!)
分かっていたのに反応が送れた?いや、分かっていたからこそ、か。二打席目とはいえやはりかなりボールの軌道が見ずらい。加えてこのスピード、1打席目の時より格段に速くなり、さっき球筋と重なってかなりやっかいなのだ。もう少し様子見で…
「今度は最初からしっかり構えて来た」
(しっかり見ていくつもりだな浮遊。普通の投手相手なら少しは揺さぶりになるだろう。けどれど…)
バットに当てる事こそ成功したたものの強い勢いのまま後方のフェンスまで飛んでいった。
「ファール!」
手が異様に痺れた!今までに感じたことがないレベルの手応え。まるで砲丸でぶつけられたのかと思うくらいバットにとてつもない衝撃が走ったのダヨ。スピードだけならまだしも球威、そしてボールのキレは過去一かもしれない。もう一球、もう一球あればでちゃんと前に転がせられるか…
「ゆっち、楽しくなって来たのダヨ」
「奇遇だな、俺も最高にキテるぜ!」
(やっぱり捕手《ここ》は特別だ。そしてその為に必要な特別な相手…なあ輝明、お前は今どういう気持ちでそこ立ってるんだ?)
それぞれの気持ちが高揚する中で放たれた三球目。浮遊はそれを上げることなく転がした。しかしボールはピッチャー正面に転がり危なげなくアウトとなった。
今度はサード方面にきっちり運ぶようになっとくのダヨ。けどその前に必ず…
「よぉ、残念だったな」
浮遊がバッターボックスを後にするとベンチ手前で馬場がとても上機嫌な様子で意地の悪い笑みを浮かべながら話しかけてきた。
しかし浮遊はそれに対して無言のまますこしほくそ笑み、涼しい顔で横切った。年下相手に凡退した故もっと悔しがる表情するだろうと思っていた馬場予想外の反応に少し面白くなさそうに眉をひそめるもすぐさま彼の座ったベンチの隣に腰を落とした。
「随分なポーカーフェイスっぷりだけど本当は内心荒れて地団駄を踏んでいるのでないの?ねぇ、ふ~ゆ~君?」
「確かに負けたけど今回は勝つ為に負けたのダヨ」
「けっ、負け惜しみを」
「それに」
「ん?」
「負けた、勝ったで言うのであれば確かにてるきぃーには敗北中だけどはっちには勝利中で僕チンの勝ちなのダヨ」
「………はい?」
「ばっちは一球もかすることなく三振。俺は二球はバットに当てた。三球目に至ってはちゃんと転がした。よってどう考えても今回は僕チン勝ちなのダヨ」
「いやいや、卑怯だろう。同じ凡退なんだから結果は変わらないだろう!?」
「自分の敗北すら受け止めきれないとは、やれやれダヨ。それに前打席もそれぞれ同じ様な結果なのだから寧ろボクちんの圧勝なのダヨ」
「そんな小さな誤差で勝ち誇ってんなよ!見てろよ、今度打席で…」
「はいはい、そういうのは後にしろよ」
中々収まらない2人の言い争いに鬼頭がキャプテンとして割って入った。
「今は取り敢えず剣崎の打席しっかり見とくぞ」
「へ~い………?」
「キャップって次打席だった気がするのダヨ」
「そうだよな。何でネクストサークルじゃなくてこっちにいるんすか?」
「いやまあ、なんというか。剣崎には悪いんだが、この打席に限って言えば凡退してきてほしい。なんだかそんな風に思えてな」
「仮にも見方ベンチにいながらそんな感情を抱くなんて、…もしかしなくても自由菌にでも感染したんですか?」
「それはマズイ。早く全身殺虫剤で除菌した方がいいのダヨ」
「酷い言い草だなそれ」
話し込んでいると僅かながら金属バットの擦れる音が聞こえて来た。
「ストライーク!」
「そのままミットに収まったとはいえ、当てれたみたいだね、すけっち」
「みたいだな。やっぱりネクスト行って準備してた方がいいんじゃないすか?」
「そうだな、お前らと違ってバットに当てたみたいだからな。ちゃんと控えてた方が…」
そう言いながら鬼頭が腰を持ち上げようとした瞬間背後から二人にガシッと抑えられた。
「まだ僅かに掠っただけですから」
「そうそう、まだまともに当たってすらないなら寧ろ守備の準備に備えているべきなのダヨ」
「お前らな~」
(ちょっと煽っただけでこれとは。ほんとに負けず嫌いだなこいつら)
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