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第74話 5回裏 バッテリー対決?
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「よっしゃー!ワンナウト」
先頭打者であった百田は初球を打ち上げてしまい簡単にアウトになってしまった事で申し訳なさそうに小さくなって帰ろうとしていた。しかしそんな百田を励まそうと自由が声を掛ける。
「そんな落ち込むなって!俺が百田の分までぶっ飛ばしてくるから」
「う、うん。ありがとう」
彼女の肩を軽く叩いた後に数回大振りしてから今にも鼻歌でも歌い出しそうなご機嫌な感じでに打席に入った。
「ふっふっふ、悪いな伸介。どうやらお天道様は俺とお前の対決を見たいらしい。お前が敵として立ちふさがるのは寂しさ以上に燃えてくるものがあるぞ!相棒だからって手加減しないからな!」
「………」
バッテリー対決というのもあって気分が高揚している自由とは対照的に『お天道様云々じゃなくお前が勝手に突然そっちに行った事によって偶然ではなく必然的に発生した対決なんだけど』と、呆れた視線を向けており、互いの対決における温度差は大きな開きがあった。
(さあ、何でくる。ストレートか?スライダーか?それとも意表を付いて初球からチェンジアップか?何でもいいぞ!)
「さあ、こぉ――い!!」
ランナーいないからいつもみたく出塁の事だけ考えてテンパるのを期待してたんだけど…当てが外れたな。あれ多分何も考えずに来た球に合わせて振ってくる、対戦する時に一番めんどくさいスタンスだ。それじゃやっぱりプランBの方で…
剣崎がサインを送って捕手がそれに軽く頷いた。
(よぉ~し!引き離された後だし、先頭打者として凡退しちゃった百田の敵を取る為にもここは一発大きいのを狙って…)
”プュゥ~~” ”パン”
「ボール!」
「んん~~~???」
どんな球種に対しても適応するつもりでいた自由。しかし剣崎の手元から放たれたのはチェンジアップよりも更に球速が遅く、大きく弧の軌道を描いた球。しかしカーブの様に変化するようすなど微塵も見せることなく、それは一般的に言うスローボールとしか思えないような手抜きボール。しかもそれはストライゾーンから大きく外れた起立している捕手のミットへと吸い込まれた。
あまりに予想外の球に自由は宣言《コール》された直後も目を大きく見開きながら『何が起こったのか分かりません』といった表情を浮かべながら呆気に取られてしばらく立ち尽くしていた。
「………ええっと。伸介君、今のって新球のすっぽ抜けとかかな?」
「普通に敬遠球だが?」
「???…ああ~そうかそうか!初球は気の無いボールで俺を油断させるとかそういう作戦か。なるほど、なるほど。流石は伸介、この俺を打ち取る為に幾重にも策を張り巡らせてこようとは…」
「いや、だから普通に敬遠球だってば。作戦云々で言うなら自由は敬遠して歩かせるって事だ」
「………」
「………」
現実逃避していた自由だったが剣崎のこれ以上無いくらいの端的で分かりやすい説明により誤魔化せなくなって口を閉ざした。それにより一瞬グラウンドに静寂が訪れるも、それはすぐさま彼の咆哮よって破られた。
「っ、ノォオ――ットォ!!」
「どうした?いきなり叫び出して」
「な、な、何で!?何で敬遠球!?夢のバッテリー対決は!?」
「お前にとっては楽しみな夢の対決でも俺にっては避けたい悪夢の対決だよ。こっちの勝率どんだけ低いと思ってるんだよ?まともに勝負してもほとんど負ける未来しかか見えないぞ」
「そ、そんなのやってみないとわからないだろう!?」
「いやいや、やらなくても大体分かるわ。しかもこういう時に限って何故か普段のようなポカをやらかしそうな感じがしないからな。勝利を優先するなら敬遠すべき場面だわ。大体強打者は警戒されて当然だろう?まして前打席でホームラン打ってるような打者なら尚更な」
剣崎がそう言うとファーストの守備に就いていた鬼頭が話に割って入る。
「これは『剣崎の』と言うより『チームの』選択。良かったじゃないか?お前の求めていたチーム一丸云々が直に見られたのだから」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬ!」
「そもそもこの試合で散々好き勝手やっているお前が正当な戦法に対してアレコレ言う権利なんかないだろう?」
鬼頭が付け加えるようにそう言った直後他の部員からも意見を支持し、自由を批判する声が上がって来た。
「そうだそうだ!勝手にチーム裏切って堂々相手チームで試合出てる奴が文句言うな!」」
「説明も謝罪もちゃんとしてない奴に抗議する権利なんかねーぞ!」
「というか普段自然に迷惑かけまくってる分もちゃんと謝れ!」
「うわ~ヤジというか罵声が凄いわね。相手チームからの」
「普段から溜まっている鬱憤を吐き出さんとばかりにね」
そうしてブーイングが続けられる中でも剣崎の投球とは名ばかりの敬遠球《ふんわりボール》が放られる。
”プュゥ~~” ”パン”
「ボール!」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬ!伸介!こんな戦法を使うなんて恥ずかしいとは思わないのかぁ!?」
「いや、微塵も思わないけど」
為す術の無い自由は食って掛かるも剣崎はそれを軽くいなした。そしてそれらのやり取りを聞いて他からの罵声が更に強まる。
「碌にストライク入れらないような奴が恥がどうのこうの抜かすな!」
「そうだそうだ!歩く恥が恥を語るな!」
「「「ウウウゥゥ――!!」」」
グラウンドのあまりの混沌ぶりに一年生ベンチは引いていた。
「…なんか、こっちが恥ずかしくなってきた」
「奇遇だな。俺もだ」
「あはははは、私は第三者目線として面白いものが見れた程度だから全然かまないんだけど、身内としてはちょっと居合わせたくない状況かもね」
「そ、そこまで言うほどじゃない…と、思うよ」
百田がなんとかフォローしようとするも目の前の壮絶な状況を前にしてはベンチの皆に彼女の言葉は届かなかった。そして三球目にも同じく枠を大きく外れそうな敬遠球が投げ込まれた。このまま歩かされるのを良しとしなかった自由はその高めのボール球を腕を伸ばして強引に打ちに行こうとした。
(ぐぬぬ、卑怯な。だが…くっくっく!甘い、甘いぞ伸介!その程度の外し方ならば俺のリーチをもってすれば射程範囲だ!そらっ、これくらいの距離なら腕を迷一杯伸ばせば…)
「ギリギリ、とどぉ――く!!」
バッターボックスから出ないように気を付けつつ懸命に腕を伸ばしたバットは敬遠球を捉えかけた。しかしボールがバットに接触する少し手前でボールがスライドしながら僅かに落ちた。
(なっ!)
なんとかバットに当てはしたものの無理矢理態勢を崩していた上に芯を大きく外していた打球はファースト方面に力なくコロコロと転がっていき、なんなくキャッチした鬼頭が倒れて立ち上がった自由に笑顔でタッチした。
「アアアァッウトオォ――!!」
一塁の塁審を務めていた上級生がこれでもかというくらい大きな宣言《コール》を上げ、それに釣られて他の選手も大きな盛り上がりを見せた。
「クッソォォ――!!何たる卑劣!」
自由が恨めしそうにマウンドの剣崎を睨みつけながらベンチへと戻り、その間上級生の数人は挑発するようなポーズを自由に見せつけて彼を更に煽っていた。
「チームを代表するといっても過言ではない4番で正捕手の御扇の要に位置する選手とは思えない扱いね」
「さっきの回を超えるこの試合一番の盛り上がり。本当に兄貴が同じチームなのかすら疑わしくなるわね。まあ他チームの選手に対しては決してこんな事できないんだけど」
龍介と涼夏含め一年生サイドの選手はあまりのグラウンドの状況に色々と付いて行けないと心底思わされた。
先頭打者であった百田は初球を打ち上げてしまい簡単にアウトになってしまった事で申し訳なさそうに小さくなって帰ろうとしていた。しかしそんな百田を励まそうと自由が声を掛ける。
「そんな落ち込むなって!俺が百田の分までぶっ飛ばしてくるから」
「う、うん。ありがとう」
彼女の肩を軽く叩いた後に数回大振りしてから今にも鼻歌でも歌い出しそうなご機嫌な感じでに打席に入った。
「ふっふっふ、悪いな伸介。どうやらお天道様は俺とお前の対決を見たいらしい。お前が敵として立ちふさがるのは寂しさ以上に燃えてくるものがあるぞ!相棒だからって手加減しないからな!」
「………」
バッテリー対決というのもあって気分が高揚している自由とは対照的に『お天道様云々じゃなくお前が勝手に突然そっちに行った事によって偶然ではなく必然的に発生した対決なんだけど』と、呆れた視線を向けており、互いの対決における温度差は大きな開きがあった。
(さあ、何でくる。ストレートか?スライダーか?それとも意表を付いて初球からチェンジアップか?何でもいいぞ!)
「さあ、こぉ――い!!」
ランナーいないからいつもみたく出塁の事だけ考えてテンパるのを期待してたんだけど…当てが外れたな。あれ多分何も考えずに来た球に合わせて振ってくる、対戦する時に一番めんどくさいスタンスだ。それじゃやっぱりプランBの方で…
剣崎がサインを送って捕手がそれに軽く頷いた。
(よぉ~し!引き離された後だし、先頭打者として凡退しちゃった百田の敵を取る為にもここは一発大きいのを狙って…)
”プュゥ~~” ”パン”
「ボール!」
「んん~~~???」
どんな球種に対しても適応するつもりでいた自由。しかし剣崎の手元から放たれたのはチェンジアップよりも更に球速が遅く、大きく弧の軌道を描いた球。しかしカーブの様に変化するようすなど微塵も見せることなく、それは一般的に言うスローボールとしか思えないような手抜きボール。しかもそれはストライゾーンから大きく外れた起立している捕手のミットへと吸い込まれた。
あまりに予想外の球に自由は宣言《コール》された直後も目を大きく見開きながら『何が起こったのか分かりません』といった表情を浮かべながら呆気に取られてしばらく立ち尽くしていた。
「………ええっと。伸介君、今のって新球のすっぽ抜けとかかな?」
「普通に敬遠球だが?」
「???…ああ~そうかそうか!初球は気の無いボールで俺を油断させるとかそういう作戦か。なるほど、なるほど。流石は伸介、この俺を打ち取る為に幾重にも策を張り巡らせてこようとは…」
「いや、だから普通に敬遠球だってば。作戦云々で言うなら自由は敬遠して歩かせるって事だ」
「………」
「………」
現実逃避していた自由だったが剣崎のこれ以上無いくらいの端的で分かりやすい説明により誤魔化せなくなって口を閉ざした。それにより一瞬グラウンドに静寂が訪れるも、それはすぐさま彼の咆哮よって破られた。
「っ、ノォオ――ットォ!!」
「どうした?いきなり叫び出して」
「な、な、何で!?何で敬遠球!?夢のバッテリー対決は!?」
「お前にとっては楽しみな夢の対決でも俺にっては避けたい悪夢の対決だよ。こっちの勝率どんだけ低いと思ってるんだよ?まともに勝負してもほとんど負ける未来しかか見えないぞ」
「そ、そんなのやってみないとわからないだろう!?」
「いやいや、やらなくても大体分かるわ。しかもこういう時に限って何故か普段のようなポカをやらかしそうな感じがしないからな。勝利を優先するなら敬遠すべき場面だわ。大体強打者は警戒されて当然だろう?まして前打席でホームラン打ってるような打者なら尚更な」
剣崎がそう言うとファーストの守備に就いていた鬼頭が話に割って入る。
「これは『剣崎の』と言うより『チームの』選択。良かったじゃないか?お前の求めていたチーム一丸云々が直に見られたのだから」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬ!」
「そもそもこの試合で散々好き勝手やっているお前が正当な戦法に対してアレコレ言う権利なんかないだろう?」
鬼頭が付け加えるようにそう言った直後他の部員からも意見を支持し、自由を批判する声が上がって来た。
「そうだそうだ!勝手にチーム裏切って堂々相手チームで試合出てる奴が文句言うな!」」
「説明も謝罪もちゃんとしてない奴に抗議する権利なんかねーぞ!」
「というか普段自然に迷惑かけまくってる分もちゃんと謝れ!」
「うわ~ヤジというか罵声が凄いわね。相手チームからの」
「普段から溜まっている鬱憤を吐き出さんとばかりにね」
そうしてブーイングが続けられる中でも剣崎の投球とは名ばかりの敬遠球《ふんわりボール》が放られる。
”プュゥ~~” ”パン”
「ボール!」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬ!伸介!こんな戦法を使うなんて恥ずかしいとは思わないのかぁ!?」
「いや、微塵も思わないけど」
為す術の無い自由は食って掛かるも剣崎はそれを軽くいなした。そしてそれらのやり取りを聞いて他からの罵声が更に強まる。
「碌にストライク入れらないような奴が恥がどうのこうの抜かすな!」
「そうだそうだ!歩く恥が恥を語るな!」
「「「ウウウゥゥ――!!」」」
グラウンドのあまりの混沌ぶりに一年生ベンチは引いていた。
「…なんか、こっちが恥ずかしくなってきた」
「奇遇だな。俺もだ」
「あはははは、私は第三者目線として面白いものが見れた程度だから全然かまないんだけど、身内としてはちょっと居合わせたくない状況かもね」
「そ、そこまで言うほどじゃない…と、思うよ」
百田がなんとかフォローしようとするも目の前の壮絶な状況を前にしてはベンチの皆に彼女の言葉は届かなかった。そして三球目にも同じく枠を大きく外れそうな敬遠球が投げ込まれた。このまま歩かされるのを良しとしなかった自由はその高めのボール球を腕を伸ばして強引に打ちに行こうとした。
(ぐぬぬ、卑怯な。だが…くっくっく!甘い、甘いぞ伸介!その程度の外し方ならば俺のリーチをもってすれば射程範囲だ!そらっ、これくらいの距離なら腕を迷一杯伸ばせば…)
「ギリギリ、とどぉ――く!!」
バッターボックスから出ないように気を付けつつ懸命に腕を伸ばしたバットは敬遠球を捉えかけた。しかしボールがバットに接触する少し手前でボールがスライドしながら僅かに落ちた。
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なんとかバットに当てはしたものの無理矢理態勢を崩していた上に芯を大きく外していた打球はファースト方面に力なくコロコロと転がっていき、なんなくキャッチした鬼頭が倒れて立ち上がった自由に笑顔でタッチした。
「アアアァッウトオォ――!!」
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「チームを代表するといっても過言ではない4番で正捕手の御扇の要に位置する選手とは思えない扱いね」
「さっきの回を超えるこの試合一番の盛り上がり。本当に兄貴が同じチームなのかすら疑わしくなるわね。まあ他チームの選手に対しては決してこんな事できないんだけど」
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