56 / 88
第54話 裏切り?(4回裏)
しおりを挟む
///|1|2|3|4|5|6|7|8|9|計
――――――――――――――――――――
高校生|3|0|7|0| |10|
中学生|0|3|2| |5|
状況:4回の表、終了
あそこでまさかインハンイ…いや、釣り球か。止めきれずに手を出してしまった。そのせいで中途半端なスイングになっちゃったな。それは別として…
「仮にも今回こっちのベンチで自軍選手が凡退したのに何でそんなに嬉しそうにニヤニヤしんの?由自」
「いや~この回もピンチを迎えたけど無失点で、それも色々挑戦した感じで凌いだから自信に繋がるだろうし、結果的にチームとっては喜ばしい事だと思って。現にかなり盛り上がってるみたいだし」
「確かに完全に調子付いた感じあるね。先輩二人を釣り球にさそって打ち取ってるから尚更そう思うよ」
「うっ…」
「返す言葉がないな」
「リードはしてるけど内容的には褒められたものじゃないし、勢いは完全に向こうが上だね。というかイジワル判定しなかったら今俺ら負けてたんじゃない?」
「くっ…」
「まあ、ぶちゃけるとこのまま高校生チームは負けてももらっても構わないんだけど」
「「「はああぁっ!?」」」
自由の素っ頓狂な発言にベンチの皆が驚きの声を上げて彼の方に振り返った。
「練習参加して僅か一週間。まだ入学すらしてない元中学生に現役高校生が負けるだなんてさぞ悔しい思いが残って嫌でも今後の練習により一層精を出すだろうからチーム的にはこっちが負けても全然OK…」
「「「んなわけあるか!ふざけんな!」」」
「ですよね~。だったらほら、みんなで円陣組んで気合い入れようか。キャプテン声掛けお願いします」
「急な上に完全に投げやりだな。ああ…まあ、あれだ。ここで負けたら『一年生相手に負けた情けない先輩』という称号が付いて回る事になるな」
「ちょっ…!」
「嫌だろうな~そんな状態でこれから先その負かされた後輩と顔を付き合わせて生活していかないといけないのって」
「ぐっ!」
「しかも相手が野球経験あるとはいえ女子3人と素人同然の先生との混合チーム相手の敗北となると…」
「ああ~嗚呼~!聞きたくない!もう聞きたくないであります!」
「ということでこれからの俺らの学園生活でな心の平穏の為に頑張ろう」
「おおーー!!」
(自分で口にしておきながら情けない発奮材料だが、普通に鼓舞するよりもこっちの方が効きだろうからな)
ある意味チームの心が一つなっていると、それを無視しているかのような発言が聞こえてきた。
「それじゃみんな頑張って下さいね」
「他人事みたいに言うな。次の回から交代してベストメンバーで行くんだろう?言い出しっぺのお前ももっと気合い入れて…」
「いや~悪いんだけど俺これからあっちベンチだから」
「「「はい?」」」
(((何言ってんだこいつ?)))
再び口にされる素っ頓狂な発言により全員只々困惑していた。
「つまりこの3回裏からあっちの選手として出るから」
「「「………はああぁっ!?」」」
「そいうわけなんでみんな頑張って」
「ちょ、なにナチュラルにあっちベンチ行こうとしてんだよ!ちゃんと説明しろよ!」
「いや~元々先生には4回までって言ってあんのよ。既にもう一杯一杯ぽいし?代わってあげないといけないから」
「そ、それは分かるけど、だからって何で交代要員として行くのがお前なんだよ?こっちもこの回終わったら交代すんだかそらその内の一人にあっちでやってもらえばいいだろう」
「他にも理由があってさ、俺じゃないと駄目な理由が。それはまあすぐに分かるだろうから。んじゃ、そゆことで」
呆然と見つめていた。そして時間が経つに連れて氷が溶けるように意識が戻っていた。そして皆が我に帰ると自由のあまりにも勝手な言動と行動に呆れて怒りがフツフツと湧き上がってきた。
「あ、あの野郎~!」
「あのやろうが自由人なのはいつもの事だが…」
「これから気合い入れて行こうとか言って円陣まで組ました張本人がこの横暴」
「開いた口が塞がらないね…流石に」
「おい、もう一回円陣組むぞ」
「え?」
部員達が自由への怒りで業を煮やしていると田中が小さな声でポツリと呟いた。
「一年の奴らに負けられねぇのは確かだが、それ以上に事前に碌な説明もせずに裏切り同然にここまで好き勝手しくさったあの俺は野郎に負けたくねぇ!」
「そうだな、少し灸を据えてやる必要があるよな?」
「おぉーし、お前ら!あの馬鹿ちんをぶっ潰すぞ!」
「「「おおーー!!」」」
結果的にこっちのチームの指揮が上がった。良かったな自由。お前の意図した結果ではないだろうけど
良く言えばチームが一つになったと言えなくもないけど…本来の方向とは別の方に気持ちが燃えてしまっている気はする。まあ、勝利向かっている事には違いないからよしとするか
――――――――――――――――――――
高校生|3|0|7|0| |10|
中学生|0|3|2| |5|
状況:4回の表、終了
あそこでまさかインハンイ…いや、釣り球か。止めきれずに手を出してしまった。そのせいで中途半端なスイングになっちゃったな。それは別として…
「仮にも今回こっちのベンチで自軍選手が凡退したのに何でそんなに嬉しそうにニヤニヤしんの?由自」
「いや~この回もピンチを迎えたけど無失点で、それも色々挑戦した感じで凌いだから自信に繋がるだろうし、結果的にチームとっては喜ばしい事だと思って。現にかなり盛り上がってるみたいだし」
「確かに完全に調子付いた感じあるね。先輩二人を釣り球にさそって打ち取ってるから尚更そう思うよ」
「うっ…」
「返す言葉がないな」
「リードはしてるけど内容的には褒められたものじゃないし、勢いは完全に向こうが上だね。というかイジワル判定しなかったら今俺ら負けてたんじゃない?」
「くっ…」
「まあ、ぶちゃけるとこのまま高校生チームは負けてももらっても構わないんだけど」
「「「はああぁっ!?」」」
自由の素っ頓狂な発言にベンチの皆が驚きの声を上げて彼の方に振り返った。
「練習参加して僅か一週間。まだ入学すらしてない元中学生に現役高校生が負けるだなんてさぞ悔しい思いが残って嫌でも今後の練習により一層精を出すだろうからチーム的にはこっちが負けても全然OK…」
「「「んなわけあるか!ふざけんな!」」」
「ですよね~。だったらほら、みんなで円陣組んで気合い入れようか。キャプテン声掛けお願いします」
「急な上に完全に投げやりだな。ああ…まあ、あれだ。ここで負けたら『一年生相手に負けた情けない先輩』という称号が付いて回る事になるな」
「ちょっ…!」
「嫌だろうな~そんな状態でこれから先その負かされた後輩と顔を付き合わせて生活していかないといけないのって」
「ぐっ!」
「しかも相手が野球経験あるとはいえ女子3人と素人同然の先生との混合チーム相手の敗北となると…」
「ああ~嗚呼~!聞きたくない!もう聞きたくないであります!」
「ということでこれからの俺らの学園生活でな心の平穏の為に頑張ろう」
「おおーー!!」
(自分で口にしておきながら情けない発奮材料だが、普通に鼓舞するよりもこっちの方が効きだろうからな)
ある意味チームの心が一つなっていると、それを無視しているかのような発言が聞こえてきた。
「それじゃみんな頑張って下さいね」
「他人事みたいに言うな。次の回から交代してベストメンバーで行くんだろう?言い出しっぺのお前ももっと気合い入れて…」
「いや~悪いんだけど俺これからあっちベンチだから」
「「「はい?」」」
(((何言ってんだこいつ?)))
再び口にされる素っ頓狂な発言により全員只々困惑していた。
「つまりこの3回裏からあっちの選手として出るから」
「「「………はああぁっ!?」」」
「そいうわけなんでみんな頑張って」
「ちょ、なにナチュラルにあっちベンチ行こうとしてんだよ!ちゃんと説明しろよ!」
「いや~元々先生には4回までって言ってあんのよ。既にもう一杯一杯ぽいし?代わってあげないといけないから」
「そ、それは分かるけど、だからって何で交代要員として行くのがお前なんだよ?こっちもこの回終わったら交代すんだかそらその内の一人にあっちでやってもらえばいいだろう」
「他にも理由があってさ、俺じゃないと駄目な理由が。それはまあすぐに分かるだろうから。んじゃ、そゆことで」
呆然と見つめていた。そして時間が経つに連れて氷が溶けるように意識が戻っていた。そして皆が我に帰ると自由のあまりにも勝手な言動と行動に呆れて怒りがフツフツと湧き上がってきた。
「あ、あの野郎~!」
「あのやろうが自由人なのはいつもの事だが…」
「これから気合い入れて行こうとか言って円陣まで組ました張本人がこの横暴」
「開いた口が塞がらないね…流石に」
「おい、もう一回円陣組むぞ」
「え?」
部員達が自由への怒りで業を煮やしていると田中が小さな声でポツリと呟いた。
「一年の奴らに負けられねぇのは確かだが、それ以上に事前に碌な説明もせずに裏切り同然にここまで好き勝手しくさったあの俺は野郎に負けたくねぇ!」
「そうだな、少し灸を据えてやる必要があるよな?」
「おぉーし、お前ら!あの馬鹿ちんをぶっ潰すぞ!」
「「「おおーー!!」」」
結果的にこっちのチームの指揮が上がった。良かったな自由。お前の意図した結果ではないだろうけど
良く言えばチームが一つになったと言えなくもないけど…本来の方向とは別の方に気持ちが燃えてしまっている気はする。まあ、勝利向かっている事には違いないからよしとするか
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

彗星と遭う
皆川大輔
青春
【✨青春カテゴリ最高4位✨】
中学野球世界大会で〝世界一〟という称号を手にした。
その時、投手だった空野彗は中学生ながら152キロを記録し、怪物と呼ばれた。
その時、捕手だった武山一星は全試合でマスクを被ってリードを、打っては四番とマルチの才能を発揮し、天才と呼ばれた。
突出した実力を持っていながら世界一という実績をも手に入れた二人は、瞬く間にお茶の間を賑わせる存在となった。
もちろん、新しいスターを常に欲している強豪校がその卵たる二人を放っておく訳もなく。
二人の元には、多数の高校からオファーが届いた――しかし二人が選んだのは、地元埼玉の県立高校、彩星高校だった。
部員数は70名弱だが、その実は三年連続一回戦負けの弱小校一歩手前な崖っぷち中堅高校。
怪物は、ある困難を乗り越えるためにその高校へ。
天才は、ある理由で野球を諦めるためにその高校へ入学した。
各々の別の意思を持って選んだ高校で、本来会うはずのなかった運命が交差する。
衝突もしながら協力もし、共に高校野球の頂へ挑む二人。
圧倒的な実績と衝撃的な結果で、二人は〝彗星バッテリー〟と呼ばれるようになり、高校野球だけではなく野球界を賑わせることとなる。
彗星――怪しげな尾と共に現れるそれは、ある人には願いを叶える吉兆となり、ある人には夢を奪う凶兆となる。
この物語は、そんな彗星と呼ばれた二人の少年と、人を惑わす光と遭ってしまった人達の物語。
☆
第一部表紙絵制作者様→紫苑*Shion様《https://pixiv.net/users/43889070》
第二部表紙絵制作者様→和輝こころ様《https://twitter.com/honeybanana1》
第三部表紙絵制作者様→NYAZU様《https://skima.jp/profile?id=156412》
登場人物集です→https://jiechuandazhu.webnode.jp/%e5%bd%97%e6%98%9f%e3%81%a8%e9%81%ad%e3%81%86%e3%80%90%e7%99%bb%e5%a0%b4%e4%ba%ba%e7%89%a9%e3%80%91/
「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる