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第45話 何でお前は…
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「ターイム」
龍介が試合中にも拘らず過去の失敗を思い出して疑心暗鬼にどっぷり陥っていると誰かがタイムをとったのか試合が中断された事に気付き顔を上げると輝明が彼の目の前に訪れその瞳をジッと見つめていた。
「なあ、お前は…」
お前は…
喉まで出かかった言葉が緊張のせいか沈んでいるせいか中々出さずにいると、輝明の方が先にポケットからある物を取り出して彼の前に差し出した。
は?なんだコレ?カエル…か?カエルのフィギア?………何故に?
これまでの負の感情がこの瞬間は完全に吹っ飛ばされた。それほどまでに意表を付く行動であり、全く意図が読めない行動に困惑していると今度は空いている方の左手で寮の側の方角を指差した。
「カエル…もしかして寮に帰るかって聞いてるのか?」
その問いに対して輝明はゆっくり頷いた。そしてそれが意味する事は試合の放棄。この試合を諦めることに他ならなかった。
「ははははは、そんな事わざわざ聞いて来るほどおちてるように見えたってのかよ…まあ、その通りだけどよ」
(あ、この表情ってやっぱり落ち込んでたんだ)
力無い声で笑う龍介。ほんの一瞬霧が晴れたように感じられたが現在の試合状況にそんな感情はすぐに消し飛び、再び陰鬱な気持ちが彼を包ん。そんなマイナス感情が張り付いて離れないような状態のため、龍介は彼に聞いてみたくなった。
「そういうお前はどうなんだよ?お前こそ帰りたいんじゃないのか?」
(何故そんな風に思われているんだろうか?特に気落ちしたつもりも無いんだけど…)
逃げ出してしまいたい気持ちから参道を促してくれる者探すようなそんな心持となってしまっていた。しかし目の前の小柄な同級生は自分のそんな投げやりな質問に対してポカーンとしていた。
「なんだよその顔、お前だってとっとこの試合を終わらせたいって思ってんだろう?」
確信を持っている龍介の言葉とは裏腹に輝明はキョトンと首を傾げる。その反応に輝明に抱えていた罪悪感よりも怒りの感情の方が勝り始めた。
「こんだけバカスカ打ち込まれてんだぞ!エラーも出まくってんだぞ!アウトだって未だにこの回一つも取れてねえんだぞ!もう投げたくなんてねえんだろ!マウンドからもグラウンドからも逃げ出してなにもかも忘れちまいたい。それが本音だろうが!お前もそう思ってんだろうが!!」
ありのまま。自分が思っている事。この状況で投手が抱くてあろう気持ちを目の前の小さな投手にありのままの感情をぶつけた。
試合中てこんな事を口にすべきではない。頭ではわかってはいても自分の中の情けなさから口にせずにはいられなかった。きっとあの組んでいた投手もそんな気持ちに自分がさせてしまったに違いないという気持ち。
自分の中で消化しきれず残留し続けたそれを同じ状況にしてしまった目の前の相手に同じ言葉を投げかけずにはいられなかった。
しかし輝明ははまたしてもそんな彼の気持ちを理解できないが素直にっ首を横に振って応えた。
何でそんな態度をとれる!そんなどうせ、どうせ!………
どうせただの痩せ我慢。そう決めつけようとするができなかった。そこに強がり故の嘘と思える部分があれば怒鳴りつけて否定できたのだが、輝明の瞳にも態度にも自分のような動揺や焦り、迷いといった濁りが見受けられなかった。状況的には自分以上にダメージを受けていてもおかしくない投手の輝明は平然としているようにしか見えずその件については黙りざるえなかった。
なんでこんな状況なのお前は…
「なあ、この試合…勝てる可能性ってまだあると思うか?」
気休め。それ以上の意味は特にない質問のつもりだった。元々力の差に加えエラーのアンラッキーで士気は下がりに下がった上に大量失点。スコア的にも精神的にも圧倒的に差をつけられた以上、これ以上なるべく点差を引き離されないようにする。
それが精一杯だと考えているものの、このままではその最低限すら起こさない程に沈んでいた。なので気休めでもそこから立ち上がるキッカケを龍介を求めた。
まともに会話が成り立たない輝明では碌な説得材料も無く、ただ頷くのが精一杯だと理解していても、ここのどん底から立ち上がる為に尋ねずにはいられなかった。
しかし輝明から返ってきた答えは彼の想像を大ききく超えものだった。
龍介が試合中にも拘らず過去の失敗を思い出して疑心暗鬼にどっぷり陥っていると誰かがタイムをとったのか試合が中断された事に気付き顔を上げると輝明が彼の目の前に訪れその瞳をジッと見つめていた。
「なあ、お前は…」
お前は…
喉まで出かかった言葉が緊張のせいか沈んでいるせいか中々出さずにいると、輝明の方が先にポケットからある物を取り出して彼の前に差し出した。
は?なんだコレ?カエル…か?カエルのフィギア?………何故に?
これまでの負の感情がこの瞬間は完全に吹っ飛ばされた。それほどまでに意表を付く行動であり、全く意図が読めない行動に困惑していると今度は空いている方の左手で寮の側の方角を指差した。
「カエル…もしかして寮に帰るかって聞いてるのか?」
その問いに対して輝明はゆっくり頷いた。そしてそれが意味する事は試合の放棄。この試合を諦めることに他ならなかった。
「ははははは、そんな事わざわざ聞いて来るほどおちてるように見えたってのかよ…まあ、その通りだけどよ」
(あ、この表情ってやっぱり落ち込んでたんだ)
力無い声で笑う龍介。ほんの一瞬霧が晴れたように感じられたが現在の試合状況にそんな感情はすぐに消し飛び、再び陰鬱な気持ちが彼を包ん。そんなマイナス感情が張り付いて離れないような状態のため、龍介は彼に聞いてみたくなった。
「そういうお前はどうなんだよ?お前こそ帰りたいんじゃないのか?」
(何故そんな風に思われているんだろうか?特に気落ちしたつもりも無いんだけど…)
逃げ出してしまいたい気持ちから参道を促してくれる者探すようなそんな心持となってしまっていた。しかし目の前の小柄な同級生は自分のそんな投げやりな質問に対してポカーンとしていた。
「なんだよその顔、お前だってとっとこの試合を終わらせたいって思ってんだろう?」
確信を持っている龍介の言葉とは裏腹に輝明はキョトンと首を傾げる。その反応に輝明に抱えていた罪悪感よりも怒りの感情の方が勝り始めた。
「こんだけバカスカ打ち込まれてんだぞ!エラーも出まくってんだぞ!アウトだって未だにこの回一つも取れてねえんだぞ!もう投げたくなんてねえんだろ!マウンドからもグラウンドからも逃げ出してなにもかも忘れちまいたい。それが本音だろうが!お前もそう思ってんだろうが!!」
ありのまま。自分が思っている事。この状況で投手が抱くてあろう気持ちを目の前の小さな投手にありのままの感情をぶつけた。
試合中てこんな事を口にすべきではない。頭ではわかってはいても自分の中の情けなさから口にせずにはいられなかった。きっとあの組んでいた投手もそんな気持ちに自分がさせてしまったに違いないという気持ち。
自分の中で消化しきれず残留し続けたそれを同じ状況にしてしまった目の前の相手に同じ言葉を投げかけずにはいられなかった。
しかし輝明ははまたしてもそんな彼の気持ちを理解できないが素直にっ首を横に振って応えた。
何でそんな態度をとれる!そんなどうせ、どうせ!………
どうせただの痩せ我慢。そう決めつけようとするができなかった。そこに強がり故の嘘と思える部分があれば怒鳴りつけて否定できたのだが、輝明の瞳にも態度にも自分のような動揺や焦り、迷いといった濁りが見受けられなかった。状況的には自分以上にダメージを受けていてもおかしくない投手の輝明は平然としているようにしか見えずその件については黙りざるえなかった。
なんでこんな状況なのお前は…
「なあ、この試合…勝てる可能性ってまだあると思うか?」
気休め。それ以上の意味は特にない質問のつもりだった。元々力の差に加えエラーのアンラッキーで士気は下がりに下がった上に大量失点。スコア的にも精神的にも圧倒的に差をつけられた以上、これ以上なるべく点差を引き離されないようにする。
それが精一杯だと考えているものの、このままではその最低限すら起こさない程に沈んでいた。なので気休めでもそこから立ち上がるキッカケを龍介を求めた。
まともに会話が成り立たない輝明では碌な説得材料も無く、ただ頷くのが精一杯だと理解していても、ここのどん底から立ち上がる為に尋ねずにはいられなかった。
しかし輝明から返ってきた答えは彼の想像を大ききく超えものだった。
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