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第31話 歓迎試合前
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「それで私が私がピッチャーする事になったんだけどさ…」
「…………」
「受験は明けか春休みボケのせいかはかわからないけど動きが鈍くてさ…」
「最初は連続三振取れて気分良かったんだけど2巡目以降なっても誰もバットにボール当てられなくて。逆にだんだんイライラしてきちゃってさ」
「………」
「しかも龍介の奴は悔しいからってストライク入ってても全然認めようとしないしそのせいで全然勝負にならなかったんだよね。けど勝負する前から妙にイラついてるっていうかかなり調子崩してるぽかったんだよね」
「………」
「空に他の奴らも動きが悪いのは別としてもどうも気持ちが入ってないというか心ここにあらずっていうか。なんか抜けてる感じで…」
「………」
「あのさぁ私の話聞いてる?ここ最近の練習がどんな感じなのか知りたいってそっちから聞いてきたんだからね?」
「はあぁ~、何で輝明俺の球を取りたいって申し出てくれなかったのかな…」
「なんか途中から妙に静かになったと思ってたらそんな事で落ち込んでたの?」
「そんな事じゃないよ…俺の方が付き合い長いのにポットでの涼夏に知らない間に奪われてたなんて」
「ダメだ、あいつら以上にこっちも色々抜けちゃてるわ。ねえ、わけわかんない被害妄想膨らませてないでとっと現実に戻ってきてくんない?」
「ああ、うんわかった。とりあえず忘れる事にするわ…………はあ~。リセッシュせたら一周回って寧ろ清々しい気持ちになってきた!」
(相変わらず恐ろしいくらい都合よくできてるわね兄貴ののうみそ)
「ああそうだ、今日一年生の歓迎試合するから」
「そう…はい?」
早朝に呼び出されて話していた中で突然兄から言い放たれた予期しなかった言葉に絶句した。
「それとお前は外野で選手兼監督役として指揮してもらうことになってるから」
「ちょ、ちょっと待って。色々聞きたい事あるけど、そもそも私一言も聞いてないだけどそんな話!?」
「そりゃ今言ったからな。忘れてた、スマン」
「覚えたなさいよ馬鹿兄貴」
「そもそも試合って…現段階での新入部員って確か5人、あたし入れても6人しかいないわよね。他のメンバーどうするのよ?そっちから足りない人数引っ張ってくるの?」
自由は笑みを浮かべながら一枚の紙を涼夏に手渡した。
「これメンバー表な」
「………なに、このメンバー表」
――――――――――――――――――――
1番:レフト・則祐
2番:セカンド・魁斗
3番:サード・誠
4番:キャッチャー・龍介
5番:センター兼監督・涼香
6番:ライト・スーパー助っ人
7番:ショート・スーパー助っ人2
8番:ファースト・園ちゃん先生
9番:ピッチャー・輝明
――――――――――――――――――――
「あのさ、色々気になるとこはあるんだけど、このスーパー助っ人って誰?ネーミングからして嫌な感じがするんだけ。どまさか訳わかんない人連れてくるわけじゃないでしょうね」
「ちゃんと学校関係者だぞ。俺と同じ学年でソフトボール部の女子生徒だ。今日は練習休みみたいだからお願いしたらOKもらえた」
「そう、良かったね。それで後半あたし投げていいの?」
「え?駄目だよ。お前は今日監督役って言ったじゃん」
「それじゃ途中で先輩のどっちかと交代させて一軍にぶつけるのね」
「いや、基本一年生側のピッチャー交代させないぞ」
「はあぁ!?」
「けど他のポジションは人数の関係上ポジション被ってたのを無理にずらしてる奴もいるからお前の判断でいじってもいいから」
「いや、問題はそこじゃなくてそれって一年生チームはアイツ一人で投げきれってこと?」
「まあ基本的には」
「まだ正式に入学すらしてないこの時期に無茶過ぎない?」
「いや、本人にも一応確認したけど体力面だけなら大丈夫だとは思うし実験も兼ねるからまず問題ないだろうよ。もし厳しいとしてもそれはきっと体力とかとは違うもっと別の部分だろうから」
「それどういう意味?」
「まあ、試合になればわかるさ。そいうのを色々試合を通して直に見ときたいんだよ。それとキャッチャーなんだが…」
___________________
「それではこれより上級生チームと新入生チームの歓迎試合を行います。互いに礼!」
「「よろしくお願いします!」」
「さあ。気張りなさいよ、あんたら!」
(とは言ってもこの相手のメンバー…殆ど控え中心なんですけど?まあ一年相手って考えたら別に何もおかしくはないんだけど、直に見ときたいとか言って割にベンチって。まあどっちにしても試合後半には出てくるか)
「あいつが仕切ってると無性に腹立つな。それに…」
「………」
(よりによってこいつがピッチャーかよ。この三日間一緒に練習してきたけど無口な上にやる気があまり見られない。おまけに球種が真っすぐだけとか…本当にこいつで先発で試合が成立すんのかよ?)
「しゃああ!こいや!」
バッターボックスに立った上級生がマウンドの投手含めグランドに檄を飛ばす。
(意外にも滅茶苦茶気合入ってるわね。てっきりベストメンバーでボコボコにして力の差を見せつけにくると思ってたけど控え中心の組み合わせ。兄貴やレギュラー組ならまだしもこの人らのデータ殆どあいつの頭に無いでしょうね。だから試合を通して情報を探っていくしかないんだけど…分かってんでしょうね)
(こんなピッチャーをどうリードしろってんだよ、たく。取りあえず長打を防ぐことだけ考えるか)
龍介はサインを出して外に構えた。輝明は少し後になってから首を縦に振った。
(首振らなかったか。まあストレート一本じゃ首振るもクソもないか。にしても球種が一つってのはサイン出すのも虚しいな。せめてコントロールミスだけはしないでくれよ)
”シュッ” ”パン”
「ストライーク!」
(良かった、思ったより酷いコントロールじゃねーや。このまま外を続けて…)
そう思った刹那、輝明の投げた第2球は内野の頭を超えて行った。
「…………」
「受験は明けか春休みボケのせいかはかわからないけど動きが鈍くてさ…」
「最初は連続三振取れて気分良かったんだけど2巡目以降なっても誰もバットにボール当てられなくて。逆にだんだんイライラしてきちゃってさ」
「………」
「しかも龍介の奴は悔しいからってストライク入ってても全然認めようとしないしそのせいで全然勝負にならなかったんだよね。けど勝負する前から妙にイラついてるっていうかかなり調子崩してるぽかったんだよね」
「………」
「空に他の奴らも動きが悪いのは別としてもどうも気持ちが入ってないというか心ここにあらずっていうか。なんか抜けてる感じで…」
「………」
「あのさぁ私の話聞いてる?ここ最近の練習がどんな感じなのか知りたいってそっちから聞いてきたんだからね?」
「はあぁ~、何で輝明俺の球を取りたいって申し出てくれなかったのかな…」
「なんか途中から妙に静かになったと思ってたらそんな事で落ち込んでたの?」
「そんな事じゃないよ…俺の方が付き合い長いのにポットでの涼夏に知らない間に奪われてたなんて」
「ダメだ、あいつら以上にこっちも色々抜けちゃてるわ。ねえ、わけわかんない被害妄想膨らませてないでとっと現実に戻ってきてくんない?」
「ああ、うんわかった。とりあえず忘れる事にするわ…………はあ~。リセッシュせたら一周回って寧ろ清々しい気持ちになってきた!」
(相変わらず恐ろしいくらい都合よくできてるわね兄貴ののうみそ)
「ああそうだ、今日一年生の歓迎試合するから」
「そう…はい?」
早朝に呼び出されて話していた中で突然兄から言い放たれた予期しなかった言葉に絶句した。
「それとお前は外野で選手兼監督役として指揮してもらうことになってるから」
「ちょ、ちょっと待って。色々聞きたい事あるけど、そもそも私一言も聞いてないだけどそんな話!?」
「そりゃ今言ったからな。忘れてた、スマン」
「覚えたなさいよ馬鹿兄貴」
「そもそも試合って…現段階での新入部員って確か5人、あたし入れても6人しかいないわよね。他のメンバーどうするのよ?そっちから足りない人数引っ張ってくるの?」
自由は笑みを浮かべながら一枚の紙を涼夏に手渡した。
「これメンバー表な」
「………なに、このメンバー表」
――――――――――――――――――――
1番:レフト・則祐
2番:セカンド・魁斗
3番:サード・誠
4番:キャッチャー・龍介
5番:センター兼監督・涼香
6番:ライト・スーパー助っ人
7番:ショート・スーパー助っ人2
8番:ファースト・園ちゃん先生
9番:ピッチャー・輝明
――――――――――――――――――――
「あのさ、色々気になるとこはあるんだけど、このスーパー助っ人って誰?ネーミングからして嫌な感じがするんだけ。どまさか訳わかんない人連れてくるわけじゃないでしょうね」
「ちゃんと学校関係者だぞ。俺と同じ学年でソフトボール部の女子生徒だ。今日は練習休みみたいだからお願いしたらOKもらえた」
「そう、良かったね。それで後半あたし投げていいの?」
「え?駄目だよ。お前は今日監督役って言ったじゃん」
「それじゃ途中で先輩のどっちかと交代させて一軍にぶつけるのね」
「いや、基本一年生側のピッチャー交代させないぞ」
「はあぁ!?」
「けど他のポジションは人数の関係上ポジション被ってたのを無理にずらしてる奴もいるからお前の判断でいじってもいいから」
「いや、問題はそこじゃなくてそれって一年生チームはアイツ一人で投げきれってこと?」
「まあ基本的には」
「まだ正式に入学すらしてないこの時期に無茶過ぎない?」
「いや、本人にも一応確認したけど体力面だけなら大丈夫だとは思うし実験も兼ねるからまず問題ないだろうよ。もし厳しいとしてもそれはきっと体力とかとは違うもっと別の部分だろうから」
「それどういう意味?」
「まあ、試合になればわかるさ。そいうのを色々試合を通して直に見ときたいんだよ。それとキャッチャーなんだが…」
___________________
「それではこれより上級生チームと新入生チームの歓迎試合を行います。互いに礼!」
「「よろしくお願いします!」」
「さあ。気張りなさいよ、あんたら!」
(とは言ってもこの相手のメンバー…殆ど控え中心なんですけど?まあ一年相手って考えたら別に何もおかしくはないんだけど、直に見ときたいとか言って割にベンチって。まあどっちにしても試合後半には出てくるか)
「あいつが仕切ってると無性に腹立つな。それに…」
「………」
(よりによってこいつがピッチャーかよ。この三日間一緒に練習してきたけど無口な上にやる気があまり見られない。おまけに球種が真っすぐだけとか…本当にこいつで先発で試合が成立すんのかよ?)
「しゃああ!こいや!」
バッターボックスに立った上級生がマウンドの投手含めグランドに檄を飛ばす。
(意外にも滅茶苦茶気合入ってるわね。てっきりベストメンバーでボコボコにして力の差を見せつけにくると思ってたけど控え中心の組み合わせ。兄貴やレギュラー組ならまだしもこの人らのデータ殆どあいつの頭に無いでしょうね。だから試合を通して情報を探っていくしかないんだけど…分かってんでしょうね)
(こんなピッチャーをどうリードしろってんだよ、たく。取りあえず長打を防ぐことだけ考えるか)
龍介はサインを出して外に構えた。輝明は少し後になってから首を縦に振った。
(首振らなかったか。まあストレート一本じゃ首振るもクソもないか。にしても球種が一つってのはサイン出すのも虚しいな。せめてコントロールミスだけはしないでくれよ)
”シュッ” ”パン”
「ストライーク!」
(良かった、思ったより酷いコントロールじゃねーや。このまま外を続けて…)
そう思った刹那、輝明の投げた第2球は内野の頭を超えて行った。
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