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第27話 シニア組集合(後編)
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食堂で昼食を済ませた後野球部は新入生含めて一緒に練習を行う…かと思われたが不思議にも上級生と新入生とで練習は別々に行うこととなり、新入生の彼らには疑問が残った。
「どうして俺らと先輩たちで別メニューなんだろう?」
「さあな。もしかしたら『俺らとお前らではレベルが違うから同じチームに入れたからって同格になったわけじゃねーぞっ』ていう警告なのかも」
「なんだそりゃ、完全に上から目線で語ってくれやがって。とっとと引きずり降ろしてやるよ」
「完全に憶測もいいとこだろ?龍介も簡単に乗せられんなよ」
「確かに思うところはあるけど俺達にわざわざグラウンド貸してくれてるんだし良い先輩達だと思うんだけど」
「舐めてんだよ。力の差があり過ぎるから少しの間くらい譲ってやるっていうな」
「ひねくれてるな~。まあ少し自由過ぎると思わなくもないかな。練習も自分たちでグラウンドと道具を使って自由にしていいって」
「くっちゃべってないでちゃんと柔軟やりなさいよ。練習早々に準備不足で怪我とか洒落にならないんだから」
「おお、おお。体硬い人はいうと説得力がありますな~」
「あんたも同類でしょうが!」
(けど、確かになんでわざわざ分けたんだろう?ただでさえ練習グラウンドで使える日とか限られてんのに)
「とりあえずこの6人で出来る事を…」
(って、あれ?)
「一人足りなくない?」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「わざわざ後輩にグラウンド譲ってやるなんていい先輩だな~お・れ・ら。こうやって先輩の度量を見せつけて好感度アップが狙いなんだよな?」
「後輩の為とかいいながら自分の事しか考えてないイヤな先輩の思考だなそれ」
「え?俺はてっきり入ったばっかりの奴らがハードな練習に付いて来るのが厳しいだろうから分けてんのかと思ってた」
「ああ~そういえば俺らも練習内容がガチになってから毎日筋肉痛やらランニングでゲロ吐いたりやらで大変だったもんな」
「あの頃はどうやって逃げだそうかいつも頭よぎってたもんな」
「今でも普通に弱音吐いてる時がありますけどね」
「それを考えたら確かに受験とかでなまった体の中学生上がりの子達にこの練習メニューに付いてこさせるのは酷ってものだもんね」
「一人おもいっきり例外がいたけどな」
「そうそう、この輝明君が俺らより平然とハイペースで黙々と練習こなしていくもんだから後輩に負けじと意地になってなんとか付いていかんとして練習レベルが底上げされて大変だよな~って、え?」
「ちょい待ち、何で赤坂こっちにいるんだ?」
グラウンド側にいるはずの赤坂が何故か自分たちの方のランニングに自然と参加している事に気付き、驚いた面々はその場で立ち止まった。
「えーっと説明を聞きそびれたのかな赤坂くんはあっちのグラウンドで今日来たみんなや涼夏ちゃんらと一緒に練習だからね」
(やはりそう言われてしまうんだ。でも…)
先輩部員が説明しても輝明はグラウンドへと向かおうとせず俯いたまま黙り込んでおり、その反応に先輩部員らも困っていた。
「今の説明って難しかったかな?」
「………」
「あっち側に混ざるのが怖いのか?」
反応を示さない輝明に困り果てているとその後ろから自由が前に出て輝明に質問を投げかけた。
「怖い?」
「初対面の連中の輪に自分から入っていくのが怖いんだろ?というより入りづらいんだろう?」
"コク"
「ああ~そういえば最初の頃って俺らと一緒に練習するのも少し抵抗あった感じしたもんな。前沢がちょっと強引に引っ張って来てたけど」
「一緒に生活して見てきた限りだとこれまであんまり他人とコミュニケーションを取ろうとしてこなかったであろう輝明にとって自分からああいう中に入るのに勇気が必要なのは分かる」
輝明にとって幸か不幸か他の新入生より入寮が早かったため必然的に上級生との生活を共にする事となった。彼らも先輩という立場と面倒見の良さに加え、輝明のコミュニケーション不足ということもあって積極的に関わる事にしていた。
その甲斐もあって初めはぎこちなさも感じていた輝明もすぐに彼らの意気揚々とした空気に溶け込んだ。
けれどそれ故に一度慣れ親しんだ巣穴を飛び出して別の巣穴に足を踏み入れる事に足をすくませた。
「けどこれはきっと今の輝明にとって必要な事だとも思う。特にお前が辿り着きたいところへと進む為の一歩としてこの経験はきっと必須だろうって」
「!」
そう、ですよね。きっとこれは本来通ってこなきゃいけなかった道ですもんね。
「だから大変だろうけど…」
"ブンブンブンブンブン!"
自由の思いに応えるように輝明は数回にわたって首を縦に振り続けた。
(これなら大丈夫そうだな)
輝明の姿に自由が安堵していると彼の肩が背後にいた人物によってがっしりと掴まれた。
「いい話してるところ悪いんだけどさ、お前なんでここにいんの?」
「へっ?何でってそりゃ、練習に…」
「いやだからさ、なに罰当番サボって自然に練習に参加してるのかって聞いているんだが?」
「………」
彼の今思い出したとでも言わんばかりの表情にその場のほとんどが呆れ返った。
「とっとと行ってこい」
「くっ、これもまたバッテリー引き離そうとせん神の試練か」
「馬鹿言ってないでとっと行け!」
「輝明、お前も頑張れよ!俺も頑張るから」
それに頷くと輝明もグラウンドへと向かい、それを見た後に自由も走りだした。
「さて、ランニング再開するか」
シニア組は5…いや、前沢妹はメンバー入りできないから4、か。前沢達もスカウトの為にいくつかの近隣のシニアチームに声を掛けてくれたんだがこの結果。かつての所属チーム以外からは振られてしまったということか。理想としては声を掛けて集まった面々で一チーム作ってこの短い間に親睦を深めて軽く連携が取れるようになってもらう事だったんだが…やはりそう上手くいかんか。
いや、うちのような学校にシニアクラスが来てくれただけで万々歳だもんな。それに予定外の戦力にピッチャー可能な子がいたんだし寧ろいい傾向か。元々無名な上にうちみたいなチームだと尚更ピッチャーとしては来たくないだろうからな。
練習で直接球筋を見れなかったのは残念だけど前沢も絶賛してたし、あの感じだと多分即戦力になる逸材なんだろう。今度の日曜日が楽しみだ。
鬼頭は先頭を走りながらこれからの事に期待に胸を膨らませながら微笑した。
「どうして俺らと先輩たちで別メニューなんだろう?」
「さあな。もしかしたら『俺らとお前らではレベルが違うから同じチームに入れたからって同格になったわけじゃねーぞっ』ていう警告なのかも」
「なんだそりゃ、完全に上から目線で語ってくれやがって。とっとと引きずり降ろしてやるよ」
「完全に憶測もいいとこだろ?龍介も簡単に乗せられんなよ」
「確かに思うところはあるけど俺達にわざわざグラウンド貸してくれてるんだし良い先輩達だと思うんだけど」
「舐めてんだよ。力の差があり過ぎるから少しの間くらい譲ってやるっていうな」
「ひねくれてるな~。まあ少し自由過ぎると思わなくもないかな。練習も自分たちでグラウンドと道具を使って自由にしていいって」
「くっちゃべってないでちゃんと柔軟やりなさいよ。練習早々に準備不足で怪我とか洒落にならないんだから」
「おお、おお。体硬い人はいうと説得力がありますな~」
「あんたも同類でしょうが!」
(けど、確かになんでわざわざ分けたんだろう?ただでさえ練習グラウンドで使える日とか限られてんのに)
「とりあえずこの6人で出来る事を…」
(って、あれ?)
「一人足りなくない?」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「わざわざ後輩にグラウンド譲ってやるなんていい先輩だな~お・れ・ら。こうやって先輩の度量を見せつけて好感度アップが狙いなんだよな?」
「後輩の為とかいいながら自分の事しか考えてないイヤな先輩の思考だなそれ」
「え?俺はてっきり入ったばっかりの奴らがハードな練習に付いて来るのが厳しいだろうから分けてんのかと思ってた」
「ああ~そういえば俺らも練習内容がガチになってから毎日筋肉痛やらランニングでゲロ吐いたりやらで大変だったもんな」
「あの頃はどうやって逃げだそうかいつも頭よぎってたもんな」
「今でも普通に弱音吐いてる時がありますけどね」
「それを考えたら確かに受験とかでなまった体の中学生上がりの子達にこの練習メニューに付いてこさせるのは酷ってものだもんね」
「一人おもいっきり例外がいたけどな」
「そうそう、この輝明君が俺らより平然とハイペースで黙々と練習こなしていくもんだから後輩に負けじと意地になってなんとか付いていかんとして練習レベルが底上げされて大変だよな~って、え?」
「ちょい待ち、何で赤坂こっちにいるんだ?」
グラウンド側にいるはずの赤坂が何故か自分たちの方のランニングに自然と参加している事に気付き、驚いた面々はその場で立ち止まった。
「えーっと説明を聞きそびれたのかな赤坂くんはあっちのグラウンドで今日来たみんなや涼夏ちゃんらと一緒に練習だからね」
(やはりそう言われてしまうんだ。でも…)
先輩部員が説明しても輝明はグラウンドへと向かおうとせず俯いたまま黙り込んでおり、その反応に先輩部員らも困っていた。
「今の説明って難しかったかな?」
「………」
「あっち側に混ざるのが怖いのか?」
反応を示さない輝明に困り果てているとその後ろから自由が前に出て輝明に質問を投げかけた。
「怖い?」
「初対面の連中の輪に自分から入っていくのが怖いんだろ?というより入りづらいんだろう?」
"コク"
「ああ~そういえば最初の頃って俺らと一緒に練習するのも少し抵抗あった感じしたもんな。前沢がちょっと強引に引っ張って来てたけど」
「一緒に生活して見てきた限りだとこれまであんまり他人とコミュニケーションを取ろうとしてこなかったであろう輝明にとって自分からああいう中に入るのに勇気が必要なのは分かる」
輝明にとって幸か不幸か他の新入生より入寮が早かったため必然的に上級生との生活を共にする事となった。彼らも先輩という立場と面倒見の良さに加え、輝明のコミュニケーション不足ということもあって積極的に関わる事にしていた。
その甲斐もあって初めはぎこちなさも感じていた輝明もすぐに彼らの意気揚々とした空気に溶け込んだ。
けれどそれ故に一度慣れ親しんだ巣穴を飛び出して別の巣穴に足を踏み入れる事に足をすくませた。
「けどこれはきっと今の輝明にとって必要な事だとも思う。特にお前が辿り着きたいところへと進む為の一歩としてこの経験はきっと必須だろうって」
「!」
そう、ですよね。きっとこれは本来通ってこなきゃいけなかった道ですもんね。
「だから大変だろうけど…」
"ブンブンブンブンブン!"
自由の思いに応えるように輝明は数回にわたって首を縦に振り続けた。
(これなら大丈夫そうだな)
輝明の姿に自由が安堵していると彼の肩が背後にいた人物によってがっしりと掴まれた。
「いい話してるところ悪いんだけどさ、お前なんでここにいんの?」
「へっ?何でってそりゃ、練習に…」
「いやだからさ、なに罰当番サボって自然に練習に参加してるのかって聞いているんだが?」
「………」
彼の今思い出したとでも言わんばかりの表情にその場のほとんどが呆れ返った。
「とっとと行ってこい」
「くっ、これもまたバッテリー引き離そうとせん神の試練か」
「馬鹿言ってないでとっと行け!」
「輝明、お前も頑張れよ!俺も頑張るから」
それに頷くと輝明もグラウンドへと向かい、それを見た後に自由も走りだした。
「さて、ランニング再開するか」
シニア組は5…いや、前沢妹はメンバー入りできないから4、か。前沢達もスカウトの為にいくつかの近隣のシニアチームに声を掛けてくれたんだがこの結果。かつての所属チーム以外からは振られてしまったということか。理想としては声を掛けて集まった面々で一チーム作ってこの短い間に親睦を深めて軽く連携が取れるようになってもらう事だったんだが…やはりそう上手くいかんか。
いや、うちのような学校にシニアクラスが来てくれただけで万々歳だもんな。それに予定外の戦力にピッチャー可能な子がいたんだし寧ろいい傾向か。元々無名な上にうちみたいなチームだと尚更ピッチャーとしては来たくないだろうからな。
練習で直接球筋を見れなかったのは残念だけど前沢も絶賛してたし、あの感じだと多分即戦力になる逸材なんだろう。今度の日曜日が楽しみだ。
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