28 / 88
第26話 シニア組集合(前編)
しおりを挟む
涼夏が入寮してから三日が経過した頃に涼夏の元いたシニアチームの数名が学生寮の門を潜った。これより今年の春に入学の決まっている中で輝明、涼夏含む早期入寮予定の6名全てが入寮したのだった。
そしてその6名は部屋への荷下ろしが終わった後、食堂へと集められていた。
「まだ一年生全員が揃っているわけではないがとりあえず早期に入寮してくれた君たちにお世辞にも強豪とはいえないうちを選んでくれた事に感謝を述べたい、ありがとう。俺は野球部主将の鬼頭だ、よろしく。そして君たちもよく知っているとは思うが俺の両隣に…あ~、右隣にいるのが副主将の剣崎だ。数少ない頼りになる先輩なのでドンドン頼ってやってくれ」
「さらっとプレッシャーを押し付けるのやめてくだいよ」
「お前なら大丈夫だろ。それでうちの高校についてだが…」
「ちょいちょいちょい!」
鬼頭が自分らの自己紹介を簡単に終えて話を次に進めようとしていると左隣の人物から邪魔が入り、鬼頭の予想していた展開すぎて新入生の前にも拘わらず思わず溜息が出た。
「…なんだ」
「俺、俺の初回は!?何で同じ副主将なのに伸介は紹介して俺だけ紹介無しなんですか?」
「そんなもんシンプルに紹介したくなかったからに決まってるだろう」
「酷い!」
「ああ、駄々をこねるめんどくさいのがうるさいので一応伝えておくがこれがもう一人の副主将の前沢自由。以上だ」
「それだけですか!もっとなんかあるでしょう?伸介みたいに頼りになる先輩とかなんとか」
(((前沢先輩、ここのところは全然変わってないな)))
シニア組って基本お前の元居たチームなんだから今更説明なんか必要ないだろうに。
「仕方ないので簡潔に説明すると剣崎とは正反対のお手本にしてはいけない反面教師のような存在だ。なので決して『前沢先輩みたいになりたい!』とは思わないように」
(((大丈夫です。基本的にそういう風には思いませんから)))
(((あの奇行を知ってる連中ならそういう牽制はしなくても大丈夫だと理解してるだろうけど駄々をこねられた仕返しと一応で釘を刺したってところだろうな)))
(え、そうなの?確かに少し変わっているところはあると思うけど頼りになる先輩だと思うけど)
ほとんどの者が同じように思いながらも輝明だけは違う感想を抱いていた。
「さて、話を少し戻すがうちは農業高校という少し特殊な学校だ。それ故に他の学校とは少し違う部分が存在する。学校内の畑や農場なんかでの実習が主だが、その中でのルールというか罰について少し早いがいい機会なので説明しておこうと思う」
「例えば農業科だと収穫のトマトやキュウリなんかの収穫物を誤って傷つけて売り物にならなくしてしまったらその分を罰当番として放課後とかで先生の手伝いをしてもらうみたいな事をやらなちゃいけなくなるみたな感じかな。罰当番の内容や期間は時期や学科によって様々だけどよっぽどのやらかしとかでない限り大抵一日、二日で終わるから心配しなくていいよ」
「そう、余程の事をやらかさない限りは…」
ゆったりながら怒りを確かに感じられる鬼頭の声とギロリと睨み込んで来る視線に自由はびくりと体を震わせた。
「何故まだ入学すらしていなこの時期の自分たちにこんな話をするのだろうと疑問に思った者もいるだろう。それはここに立っている今度二年生になり君たちの先輩となる男がその余程の事をやらかしてしまったからだ」
直接的に誰なのかは明言しなかったが彼の向けている視線からそれが誰なのかは一目瞭然だった。
「具体的に何をやからしたんですか」
「端的に言うと張り切り過ぎた結果一箱分野菜を駄目にした」
「なにやからしてすか先輩」
「その結果三日間罰当番を行う羽目になってしまったという訳だ」
「うげ、何やってんだ兄貴」
「あれ、でも三日だけですか?通常の一、二日とあまり違わないような気がするんですけど」
「そうだな。説明不足だったので少し補足をするとしよう。さっきも言った通り通常の罰当番は放課後に精々二時間程度行うだけなのだがこの時期は学校が半日で終わる関係上罰当番は午後の頭から行える」
「つまり五、六時間ぐらいの罰当番を三日連続ということだね」
「「「うわ~」」」
「しかも学校が半日で終われる時期というのは片付けなどを除いた長時間の練習時間を確保して集中して鍛えられる期間とも言える。そんな時期に…いや、そんな時期でなくとも練習時間を潰されて登板させれる事を望む者はいなだろう?」
その問いに対して当然皆一斉に頷いた。
「まあ学校への奉仕やボランティア精神にとんでいていて進んで行いたいという者がいるのであれば止めはしないが…」
鬼頭のその言葉にこれまた一堂に皆首を横に振った。
「まあ、君たちには縁のない話だと思うが練習時間を削られたくないのならこのお馬鹿な先輩のようなミスをやらかさないよう心掛けてほしい」
「はは、由自新入生の前で怒られてやんの。だっさ」
「日頃の行いがでちったね」
「大丈夫だ前沢、お前が罰当番するのなんていつもの事なんだから気にすんな」
「………ついでに、今あそこで他人事のように笑っている二年の二人。それと一番左の三年もつい最近罰当番くらった馬鹿なのであれも悪い先輩の代表格だと思ってくれ」
「しかもその理由が先生が見てない間にトマト食いまくってバレるとかいう下らない理由での罰当番だからアレらは本当に見習わないように気を付けてほしい」
「………」
「ではもうすぐ昼食なので軽く雑談でもして待っていてくれ」
そういうと鬼頭含む数人は厨房の方へ昼食の準備をしに歩いった。そしてそれと入れ替わるように意気消沈した自由が若干涙目になりがならまるで特等席に座るかのように輝明の隣まで来て椅子に腰かけた。
「うう、俺はそんなに頼りない人間だったのか」
(((まだ気にしてたのか)))
(ええっと、ええっと…あ、そうだ)
見かねた輝明は『自分は頼りになる先輩だと思っています』書いたメモを手渡した。すると憑き物が取れたかのようにすぐにいつもの調子に戻るのだった。
そしてその6名は部屋への荷下ろしが終わった後、食堂へと集められていた。
「まだ一年生全員が揃っているわけではないがとりあえず早期に入寮してくれた君たちにお世辞にも強豪とはいえないうちを選んでくれた事に感謝を述べたい、ありがとう。俺は野球部主将の鬼頭だ、よろしく。そして君たちもよく知っているとは思うが俺の両隣に…あ~、右隣にいるのが副主将の剣崎だ。数少ない頼りになる先輩なのでドンドン頼ってやってくれ」
「さらっとプレッシャーを押し付けるのやめてくだいよ」
「お前なら大丈夫だろ。それでうちの高校についてだが…」
「ちょいちょいちょい!」
鬼頭が自分らの自己紹介を簡単に終えて話を次に進めようとしていると左隣の人物から邪魔が入り、鬼頭の予想していた展開すぎて新入生の前にも拘わらず思わず溜息が出た。
「…なんだ」
「俺、俺の初回は!?何で同じ副主将なのに伸介は紹介して俺だけ紹介無しなんですか?」
「そんなもんシンプルに紹介したくなかったからに決まってるだろう」
「酷い!」
「ああ、駄々をこねるめんどくさいのがうるさいので一応伝えておくがこれがもう一人の副主将の前沢自由。以上だ」
「それだけですか!もっとなんかあるでしょう?伸介みたいに頼りになる先輩とかなんとか」
(((前沢先輩、ここのところは全然変わってないな)))
シニア組って基本お前の元居たチームなんだから今更説明なんか必要ないだろうに。
「仕方ないので簡潔に説明すると剣崎とは正反対のお手本にしてはいけない反面教師のような存在だ。なので決して『前沢先輩みたいになりたい!』とは思わないように」
(((大丈夫です。基本的にそういう風には思いませんから)))
(((あの奇行を知ってる連中ならそういう牽制はしなくても大丈夫だと理解してるだろうけど駄々をこねられた仕返しと一応で釘を刺したってところだろうな)))
(え、そうなの?確かに少し変わっているところはあると思うけど頼りになる先輩だと思うけど)
ほとんどの者が同じように思いながらも輝明だけは違う感想を抱いていた。
「さて、話を少し戻すがうちは農業高校という少し特殊な学校だ。それ故に他の学校とは少し違う部分が存在する。学校内の畑や農場なんかでの実習が主だが、その中でのルールというか罰について少し早いがいい機会なので説明しておこうと思う」
「例えば農業科だと収穫のトマトやキュウリなんかの収穫物を誤って傷つけて売り物にならなくしてしまったらその分を罰当番として放課後とかで先生の手伝いをしてもらうみたいな事をやらなちゃいけなくなるみたな感じかな。罰当番の内容や期間は時期や学科によって様々だけどよっぽどのやらかしとかでない限り大抵一日、二日で終わるから心配しなくていいよ」
「そう、余程の事をやらかさない限りは…」
ゆったりながら怒りを確かに感じられる鬼頭の声とギロリと睨み込んで来る視線に自由はびくりと体を震わせた。
「何故まだ入学すらしていなこの時期の自分たちにこんな話をするのだろうと疑問に思った者もいるだろう。それはここに立っている今度二年生になり君たちの先輩となる男がその余程の事をやらかしてしまったからだ」
直接的に誰なのかは明言しなかったが彼の向けている視線からそれが誰なのかは一目瞭然だった。
「具体的に何をやからしたんですか」
「端的に言うと張り切り過ぎた結果一箱分野菜を駄目にした」
「なにやからしてすか先輩」
「その結果三日間罰当番を行う羽目になってしまったという訳だ」
「うげ、何やってんだ兄貴」
「あれ、でも三日だけですか?通常の一、二日とあまり違わないような気がするんですけど」
「そうだな。説明不足だったので少し補足をするとしよう。さっきも言った通り通常の罰当番は放課後に精々二時間程度行うだけなのだがこの時期は学校が半日で終わる関係上罰当番は午後の頭から行える」
「つまり五、六時間ぐらいの罰当番を三日連続ということだね」
「「「うわ~」」」
「しかも学校が半日で終われる時期というのは片付けなどを除いた長時間の練習時間を確保して集中して鍛えられる期間とも言える。そんな時期に…いや、そんな時期でなくとも練習時間を潰されて登板させれる事を望む者はいなだろう?」
その問いに対して当然皆一斉に頷いた。
「まあ学校への奉仕やボランティア精神にとんでいていて進んで行いたいという者がいるのであれば止めはしないが…」
鬼頭のその言葉にこれまた一堂に皆首を横に振った。
「まあ、君たちには縁のない話だと思うが練習時間を削られたくないのならこのお馬鹿な先輩のようなミスをやらかさないよう心掛けてほしい」
「はは、由自新入生の前で怒られてやんの。だっさ」
「日頃の行いがでちったね」
「大丈夫だ前沢、お前が罰当番するのなんていつもの事なんだから気にすんな」
「………ついでに、今あそこで他人事のように笑っている二年の二人。それと一番左の三年もつい最近罰当番くらった馬鹿なのであれも悪い先輩の代表格だと思ってくれ」
「しかもその理由が先生が見てない間にトマト食いまくってバレるとかいう下らない理由での罰当番だからアレらは本当に見習わないように気を付けてほしい」
「………」
「ではもうすぐ昼食なので軽く雑談でもして待っていてくれ」
そういうと鬼頭含む数人は厨房の方へ昼食の準備をしに歩いった。そしてそれと入れ替わるように意気消沈した自由が若干涙目になりがならまるで特等席に座るかのように輝明の隣まで来て椅子に腰かけた。
「うう、俺はそんなに頼りない人間だったのか」
(((まだ気にしてたのか)))
(ええっと、ええっと…あ、そうだ)
見かねた輝明は『自分は頼りになる先輩だと思っています』書いたメモを手渡した。すると憑き物が取れたかのようにすぐにいつもの調子に戻るのだった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
彗星と遭う
皆川大輔
青春
【✨青春カテゴリ最高4位✨】
中学野球世界大会で〝世界一〟という称号を手にした。
その時、投手だった空野彗は中学生ながら152キロを記録し、怪物と呼ばれた。
その時、捕手だった武山一星は全試合でマスクを被ってリードを、打っては四番とマルチの才能を発揮し、天才と呼ばれた。
突出した実力を持っていながら世界一という実績をも手に入れた二人は、瞬く間にお茶の間を賑わせる存在となった。
もちろん、新しいスターを常に欲している強豪校がその卵たる二人を放っておく訳もなく。
二人の元には、多数の高校からオファーが届いた――しかし二人が選んだのは、地元埼玉の県立高校、彩星高校だった。
部員数は70名弱だが、その実は三年連続一回戦負けの弱小校一歩手前な崖っぷち中堅高校。
怪物は、ある困難を乗り越えるためにその高校へ。
天才は、ある理由で野球を諦めるためにその高校へ入学した。
各々の別の意思を持って選んだ高校で、本来会うはずのなかった運命が交差する。
衝突もしながら協力もし、共に高校野球の頂へ挑む二人。
圧倒的な実績と衝撃的な結果で、二人は〝彗星バッテリー〟と呼ばれるようになり、高校野球だけではなく野球界を賑わせることとなる。
彗星――怪しげな尾と共に現れるそれは、ある人には願いを叶える吉兆となり、ある人には夢を奪う凶兆となる。
この物語は、そんな彗星と呼ばれた二人の少年と、人を惑わす光と遭ってしまった人達の物語。
☆
第一部表紙絵制作者様→紫苑*Shion様《https://pixiv.net/users/43889070》
第二部表紙絵制作者様→和輝こころ様《https://twitter.com/honeybanana1》
第三部表紙絵制作者様→NYAZU様《https://skima.jp/profile?id=156412》
登場人物集です→https://jiechuandazhu.webnode.jp/%e5%bd%97%e6%98%9f%e3%81%a8%e9%81%ad%e3%81%86%e3%80%90%e7%99%bb%e5%a0%b4%e4%ba%ba%e7%89%a9%e3%80%91/
「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる