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第10話 凄いコントロール(後編)
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何だろう?もしかして捕りずらかったとかだろうか?でも久しぶりに聞いたけどミットからはしっかりとした音が聞こえてきたし、捕球にてこずっているようにも見えなかったけど…
マウンドに近寄って来る自由の意図が読めず疑問に思う輝明の耳にグローブで口元を隠して問いかけてきた。
「あのさ、もしかして打ちやすいようにわざと真ん中高めに投げてくれてる」
ああ、そいう事か。もしかして必要なかったかな?でもフリーバッティングみたいなもんだし、最初は気持ちよく打たせた方がいいのかと思ったけど。
”コク”
(うわ~マジか~、さっきから全く同じ所にしか球が来ないからおかしいとは思ったけど。わざわざ気を遣わせちゃったか)
「みんなそこそこ出来るだろうから気にしないで厳しいコースに投げていいから」
よかった。他の人達があまりにも嬉しそうにしているものだから判断に迷っていたけど真ん中ばかりだと全然実践練習に練習になんないもんね。
”コク”
「なんならぶつけても文句言わないだろうから。あ、1球試しに投げみる?」
…すごいこと言うなこの人。突然知らないマウンドに上がった僕への配慮(?)というか、投手の緊張をほぐす為の冗談、だよね?
「おい!あの馬鹿なんかとんでもないこと中学生に吹き込んでだけど!?」
「やめろ!馬鹿が移るだろうがぁ!」
「そうだぁ!前沢菌が移るから決して真似したら駄目だぞ中学生君!」
「ちょっと!前沢菌って何ですか!?」
多分返答しなくていい内容だと思うけど一応断っとこ
”フルフル”
「ははは、じゃあぶつけてもぶつけなくてもいいから好きに投げてくれ!」
(いい子だな~全然喋ってくれないけど)
厳しいコースか。なら試しに…
「よぉーし、こぉーい!」
(これまで基本高めのボールばっかだからな。低めに絞って振り抜けば多分当たることは無いだろう。正直俺も打ちたいけど二打席目にでも打てればいいや。今はとりあえず普通の野球を継続できる事とあまりストレスを与えないように努めるのが最優先だ)
”シュッ”
(よし、ここで空ぶっ…!)
輝明の投球に合わせてバットを振りだそうとした法川だったが予想外な事にボールの軌道が低めに来たのでバットを振る事が出来ずボールはミットに収まった。
「……入っ…てる?」
「え、ええ。ちゃんベースの上を通過しましたし高さも低め一杯入ってますね。ナイスボール!」
(ビックリした~!高めにだと思ってたらいきなり低めにくるだもんよ。それに…)
「すげ~いいとこきまったな。正直あれ続けられたら打てる気しないんだけど」
そんな風に思っている中で打者に放たれた第二球は一球目と同じく低めにミットに収まった。
「ストライク、ツー!」
「………うそ」
もしかして手が出ない…かな?
”パァン”
「ストライーク!バッターアウト!」
三球目も低めに決まり当初の空振りする作戦などは頭から抜け落ちており、法川は何もできずに打席を離れた。
「こらー法川!1球ぐらい振れよ!」
「あははは…わりぃ」
「いいぞ中学生君。どっかのノーコンキングも少しは見習え」
「さあ次行きましょう!」
…コースが厳し過ぎた?でもスピードあんまり速くないよね?とりあえずヒット打たれるまで同じコースを続けてみよう。他の人は高めの浮いた球は打ってたし今度は高さを変えて…
”シュッ”
「ひぃ!」
先程と違い低めでなく高めのインコースに投げ込まれたボール。打者は予想以上に近くに来た球に驚き仰け反ろうとして地面に倒れた。
「あっぶね」
「ストライーク」
「えぇ?」
「インハイ一杯で入ってます」
「マジで?」
「マジです。少しインコース寄りに立ってるからより近く感じたんだと思いますよ」
「そ、そうか」
”シュッ” ”パァン”
「ストライーク!」
(やっぱり…マグレじゃない)
「あのさ前沢。付き合ってもらってるからとか俺らに厳しくするためとかでわざとボール球をストライク判定してるとかは…「残念ながらないです」…そうですかい」
”シュッ” ”パァン”
「ストライク、バッターアウト!」
「………本当に入ってるんだよね…球《これ」》」
「俺もさっきから際どい所にポンポン放ってくるので驚いてますけどボールがベースをギリギリはみ出してないので余程節穴でなければ横の判定は誰が審判でもストライクだと思いますよ」
「ナイスピッチ」
(予想以上にコントロール良いな、あの子。コーナーにポンポン投げ込んでくる。最悪楽しんでもらえばいいかな~ぐらい考えてたんだけど思いもよらない展開になったな。うちはボール見極めるのが苦手な奴多いし、これはかなりいい練習になりそう。だけどこれは流石にな~)
自由は再びマウンドに駆け寄った。
「ええっと…もっと好きに散らしていっていいからね」
”コクリ”
(う~ん、以前表情変わらないな。そして無口。やっぱ初対面とかで色々緊張してんのかな?ボールからはそういう感じ伝わってこないけど)
文字通り自由に投げていい事を伝える為でもあったが、輝明の反応を見る意味もありマウンドに行って声を掛けた。しかし由自は輝明の一切変化が見られない表情や仕草から考えていることが一切読み取る事が出来ず、結果今彼がどんな気持ちなのか理解出来なくて困惑していた。
「いや~有難いわ。安心して打席に立てるの」
「それはどういう意味なんだ?」
「自分の胸に聞いてみな」
(あれだけやらかして何故に無自覚なんだこの阿呆わ!?)
この人もだけど皆なんだかんだ楽しそうにやってるな。やっぱり普通はこういう感じなのだろか?
”シュッ” ”パァン”
「!」
「ストライーク」
「………前沢君?無理矢理連れて来たから甘くしたくなるのはわかるけど流石に贔屓が過ぎるんじゃないかな?」
「さっきも似たようなこと言われたけど全然贔屓してないぞ。間違いなくゾーンに入ってるからな?お前もベース近くに立ちすぎなんだよ。それに贔屓どころかまだかなり部員《お前ら》を甘やかしてるくらいだから」
「うっそだ~こんだけ厳しいコースに投げ込ませてるくせにそれは言い過ぎだろ」
(いや、それが嘘じゃないんだよ。寧ろその厳しいコースを寸分たがわず3球連続で投げてくるんだ。最初は外角低め、二人目は内角高め、そして三人目《お前》は内角低め。縦も横もベースはみ出ないギリギリだけど1㎝も違わないじゃないかってぐらい全く同じ所をだ。
最初は外角低めしか投げる制球力がないのかと思ってたけどこれだけそれぞれコーナーに投げれてるからまずないか。そうなると連続で同じ所に放るのが好きなか、連続じゃないとコントロールがばらけるのか。それかそれだけで抑えられと舐められてるか…これは嫌だな。或いは…四隅に散らしたら全く打てないかもしれないと思ってあえて同じコースに投げてくれてるか………だな)
「少しベースから離れるか」
(何も喋ってくれないし表情変わんないからわかりずらいけど傲慢には見えないし、最後のが濃厚っぽいと思うんだけど…少し試してみるか)
マウンドに近寄って来る自由の意図が読めず疑問に思う輝明の耳にグローブで口元を隠して問いかけてきた。
「あのさ、もしかして打ちやすいようにわざと真ん中高めに投げてくれてる」
ああ、そいう事か。もしかして必要なかったかな?でもフリーバッティングみたいなもんだし、最初は気持ちよく打たせた方がいいのかと思ったけど。
”コク”
(うわ~マジか~、さっきから全く同じ所にしか球が来ないからおかしいとは思ったけど。わざわざ気を遣わせちゃったか)
「みんなそこそこ出来るだろうから気にしないで厳しいコースに投げていいから」
よかった。他の人達があまりにも嬉しそうにしているものだから判断に迷っていたけど真ん中ばかりだと全然実践練習に練習になんないもんね。
”コク”
「なんならぶつけても文句言わないだろうから。あ、1球試しに投げみる?」
…すごいこと言うなこの人。突然知らないマウンドに上がった僕への配慮(?)というか、投手の緊張をほぐす為の冗談、だよね?
「おい!あの馬鹿なんかとんでもないこと中学生に吹き込んでだけど!?」
「やめろ!馬鹿が移るだろうがぁ!」
「そうだぁ!前沢菌が移るから決して真似したら駄目だぞ中学生君!」
「ちょっと!前沢菌って何ですか!?」
多分返答しなくていい内容だと思うけど一応断っとこ
”フルフル”
「ははは、じゃあぶつけてもぶつけなくてもいいから好きに投げてくれ!」
(いい子だな~全然喋ってくれないけど)
厳しいコースか。なら試しに…
「よぉーし、こぉーい!」
(これまで基本高めのボールばっかだからな。低めに絞って振り抜けば多分当たることは無いだろう。正直俺も打ちたいけど二打席目にでも打てればいいや。今はとりあえず普通の野球を継続できる事とあまりストレスを与えないように努めるのが最優先だ)
”シュッ”
(よし、ここで空ぶっ…!)
輝明の投球に合わせてバットを振りだそうとした法川だったが予想外な事にボールの軌道が低めに来たのでバットを振る事が出来ずボールはミットに収まった。
「……入っ…てる?」
「え、ええ。ちゃんベースの上を通過しましたし高さも低め一杯入ってますね。ナイスボール!」
(ビックリした~!高めにだと思ってたらいきなり低めにくるだもんよ。それに…)
「すげ~いいとこきまったな。正直あれ続けられたら打てる気しないんだけど」
そんな風に思っている中で打者に放たれた第二球は一球目と同じく低めにミットに収まった。
「ストライク、ツー!」
「………うそ」
もしかして手が出ない…かな?
”パァン”
「ストライーク!バッターアウト!」
三球目も低めに決まり当初の空振りする作戦などは頭から抜け落ちており、法川は何もできずに打席を離れた。
「こらー法川!1球ぐらい振れよ!」
「あははは…わりぃ」
「いいぞ中学生君。どっかのノーコンキングも少しは見習え」
「さあ次行きましょう!」
…コースが厳し過ぎた?でもスピードあんまり速くないよね?とりあえずヒット打たれるまで同じコースを続けてみよう。他の人は高めの浮いた球は打ってたし今度は高さを変えて…
”シュッ”
「ひぃ!」
先程と違い低めでなく高めのインコースに投げ込まれたボール。打者は予想以上に近くに来た球に驚き仰け反ろうとして地面に倒れた。
「あっぶね」
「ストライーク」
「えぇ?」
「インハイ一杯で入ってます」
「マジで?」
「マジです。少しインコース寄りに立ってるからより近く感じたんだと思いますよ」
「そ、そうか」
”シュッ” ”パァン”
「ストライーク!」
(やっぱり…マグレじゃない)
「あのさ前沢。付き合ってもらってるからとか俺らに厳しくするためとかでわざとボール球をストライク判定してるとかは…「残念ながらないです」…そうですかい」
”シュッ” ”パァン”
「ストライク、バッターアウト!」
「………本当に入ってるんだよね…球《これ」》」
「俺もさっきから際どい所にポンポン放ってくるので驚いてますけどボールがベースをギリギリはみ出してないので余程節穴でなければ横の判定は誰が審判でもストライクだと思いますよ」
「ナイスピッチ」
(予想以上にコントロール良いな、あの子。コーナーにポンポン投げ込んでくる。最悪楽しんでもらえばいいかな~ぐらい考えてたんだけど思いもよらない展開になったな。うちはボール見極めるのが苦手な奴多いし、これはかなりいい練習になりそう。だけどこれは流石にな~)
自由は再びマウンドに駆け寄った。
「ええっと…もっと好きに散らしていっていいからね」
”コクリ”
(う~ん、以前表情変わらないな。そして無口。やっぱ初対面とかで色々緊張してんのかな?ボールからはそういう感じ伝わってこないけど)
文字通り自由に投げていい事を伝える為でもあったが、輝明の反応を見る意味もありマウンドに行って声を掛けた。しかし由自は輝明の一切変化が見られない表情や仕草から考えていることが一切読み取る事が出来ず、結果今彼がどんな気持ちなのか理解出来なくて困惑していた。
「いや~有難いわ。安心して打席に立てるの」
「それはどういう意味なんだ?」
「自分の胸に聞いてみな」
(あれだけやらかして何故に無自覚なんだこの阿呆わ!?)
この人もだけど皆なんだかんだ楽しそうにやってるな。やっぱり普通はこういう感じなのだろか?
”シュッ” ”パァン”
「!」
「ストライーク」
「………前沢君?無理矢理連れて来たから甘くしたくなるのはわかるけど流石に贔屓が過ぎるんじゃないかな?」
「さっきも似たようなこと言われたけど全然贔屓してないぞ。間違いなくゾーンに入ってるからな?お前もベース近くに立ちすぎなんだよ。それに贔屓どころかまだかなり部員《お前ら》を甘やかしてるくらいだから」
「うっそだ~こんだけ厳しいコースに投げ込ませてるくせにそれは言い過ぎだろ」
(いや、それが嘘じゃないんだよ。寧ろその厳しいコースを寸分たがわず3球連続で投げてくるんだ。最初は外角低め、二人目は内角高め、そして三人目《お前》は内角低め。縦も横もベースはみ出ないギリギリだけど1㎝も違わないじゃないかってぐらい全く同じ所をだ。
最初は外角低めしか投げる制球力がないのかと思ってたけどこれだけそれぞれコーナーに投げれてるからまずないか。そうなると連続で同じ所に放るのが好きなか、連続じゃないとコントロールがばらけるのか。それかそれだけで抑えられと舐められてるか…これは嫌だな。或いは…四隅に散らしたら全く打てないかもしれないと思ってあえて同じコースに投げてくれてるか………だな)
「少しベースから離れるか」
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第三部表紙絵制作者様→NYAZU様《https://skima.jp/profile?id=156412》
登場人物集です→https://jiechuandazhu.webnode.jp/%e5%bd%97%e6%98%9f%e3%81%a8%e9%81%ad%e3%81%86%e3%80%90%e7%99%bb%e5%a0%b4%e4%ba%ba%e7%89%a9%e3%80%91/
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