精霊様と魔法使い~強奪チートで妖精キングダム~

くろげブタ

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32.5 魔族大侵攻

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王国において魔族領と接するトータス村。
そのトータス村から早馬が王城へと訪れる。

「なんじゃと! スーパーオークマンが出没したじゃと?」
「あの時と同じじゃ。東の街が魔族に落とされたあの時と」
「ということは……魔族の侵攻が再び始まる。そういうことか」

スーパーオークマンは魔族の尖兵。
後に続く魔族本体の先触れである。

「この数か月。魔族の侵攻が治まっていたので油断したの」

東の街を落とした魔族だが、その後、王国本土へ攻め入ることはなかった。

それも当然。
妖精の泉に眠るダンジョンコアを落とすため。
その戦力を振り分けていたのだから。

だが、妖精の泉が陥落した今。
再び魔族の侵攻が始まろうとしていた。

「とにかく守りを固めねばならん」
「トータス村の防衛はどうなっている?」
「小さな村なので、兵士は50名。冒険者も50名。そのあたりかと」

一時は多数の兵士を送り塀を、防衛兵器を設置したが、それも過去の話。
魔族も来ないのに、いつまでも辺鄙な村に兵士を駐留させるわけにはいかない。

「まったく足りんではないか」
「元々が無理だと諦めていた村。魔族の侵攻が止まり生き長らえたに過ぎん」
「とにかく大至急に援軍を送らねばな」

取り急ぎ、援軍を送るまで村を防衛するように。
そう言伝を受け、早馬がトータス村へと駆けだしていく。

次いで援軍をどうするのか。
議題に入る議場に、相次いで伝令が訪れる。

「報告します。北の要衝。ホーク砦に魔族が迫りつつあるそうです」
「報告します。南の街。サウス街に魔族が迫りつつあるそうです」

盛大な騒めきをみせる議場。

「なんじゃと! 北。東。南。同時に魔族じゃと?」
「これは……」

王国を包囲するかのような、同時多発の侵攻。

「トータス村への援軍は中止じゃ。小さな村に構っている場合ではない」
「援軍はホーク砦とサウス街へ。重要拠点へ注力せねばならん」
「帝国へ援軍の使者を」

矢継ぎ早に新たな決定が下される。

「じゃがトータス村には援軍を送ると早馬を送ってあるぞ」
「……そのままで良い。すこしでも時間を稼いでくれれば」
「それに、あの村には王国の最新兵器。魔道大弓が1台。備え付けてある」
「そうじゃ。何も見捨てるわけではない。魔道大弓1台。兵士100名に匹敵する戦力じゃ」

こうして。
ひとまずの対策は決定された。
が、魔族の脅威が去るまで、王城での対策会議に終わりはない。
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