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12.光合成
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サーベルキャットマンの撃退に成功した。
しかし、俺の怪我もシャレにならないものがある。
たかが猛獣ごときに左腕を食べられるなど。
たかが田舎のイモ臭いモンスターと侮ったのが間違い。
人の手の入らない辺境の地。
文明の根付かない場所にこそ、凶悪なモンスターが巣くうもの。
気を引き締めねばならない。
危うく死ぬところであったのだから。
本気でかからねばならない。
俺は一人ではない。守るべき者があるのだから。
それでも撃退に成功するのが、天才が天才たるゆえん。
倒れたサーベルキャットマンからザクザク魔石を取り出し、手早くその場を離れる。
死体から溢れる血の匂い。
匂いを嗅ぎつけた他のモンスターが、じきにやって来る。
当然。やって来るモンスターは、俺の手に余る猛獣ども。
ここはいち早く村まで戻り、一度態勢を整えたい所だが……
やっかいな事に、俺は山の奥深くまで入り込んでいた。
獲物を探して奥まで入りすぎたのだ。
ここまでの道中、襲われなかったのは、ただ運が良かっただけ。
タートス村まで戻るには、猛獣の徘徊する山を抜けねばならないという。
「ギャオーン!」
「ギャルルー!」
背後で。サーベルキャットマンの死体の辺りで音がする。
血の匂いに引き寄せられた猛獣どもが、死体を漁っているのだろう。
俺は手早く樹木の足元。
藪の中へと身を潜めた。
回収した貴族御用達服でもって血を拭いとる。
引き裂かれた左腕。
患部からの出血は既に止まっている。
さすがは体力自動回復。
これもシルフィア様のおかげ。
そうでなければ、俺は出血多量で死んでいた。
────────────────────────────────────
名前:マサキ+シルフィア
体力:60(160)20UP
魔力:0 (25) 10UP
契約スキル
精霊アイ :F
精霊ボックス:F
魔法スキル
光魔法: F
風魔法: E
水魔法: E
物理スキル
ひっかき : B
かみつき : A
たいあたり: A
パンチ : A
体力自動回復:C
特殊スキル
暴飲暴食
────────────────────────────────────
大怪我からの回復で、体力のMAXが20。
魔石の摂取で、魔力のMAXが10増えていた。
しかし、新たなスキルは習得できていない。
いくら手強いモンスターを退治。食しても。
習得済みのスキルしか有していないのなら意味は無い。
俺が食するべきは、未知のスキルを有したモンスター。
精霊アイ。鑑定眼の熟練度が上がれば、狙って退治できるのだがな……
現在の魔力は0で、怪我も治り切ってはいない。
敵の包囲を脱するためにも。
まずは、魔力の回復。体力の回復を優先する。
「うにゅ……」
だが、シルフィア様は魔石を手にして渋い顔。
それはそうだ。
俺の怪我を治すため。
その小さな身体で、すでに魔石を1個完食している。
いくら魔力を回復させるためとはいえ、そうポンポンとは食べられない。
魔力は時間経過でも回復する。
およそ1日。24時間の経過で失った魔力は全回復するという。
血の染み付いた服を再び精霊ボックスへ。
これで血の匂いから俺を辿るのは難しくなったはずだ。
しばらくこの藪の中でゆっくり身体を休めるとしよう。
ちびちび魔石を舐めるシルフィア様。
お腹がいっぱいにも関わらず、何とか魔力を回復させようとしているのだろう。
頑張るシルフィア様を、ただ見ている事しかできないとは……
いや。俺にも出来る事はあるはずだ。
───シルフィア様情報───
薬草。
森には、怪我を癒す薬効成分を有した植物が生息しています。
食べる。患部に貼り付ける事で、小さな怪我なら即座に治療できます。
人間の街に持ち込めば、お金に替える事も出来ますので、覚えておきなさい。
──────────────
薬草。
辺りに生い茂る植物のうち。
いったいどれが薬草なのか?
森に居た頃の俺は、治療魔法。
光魔法が使えたため、薬草など気にする必要はなかった。
草を食べる、草で怪我を治療するなど。
そのような野蛮な行いは庶民に任せておけば良いと。
だが、今の俺は庶民以下の存在。
ただ、シルフィア様の契約と魔力で力を得ていただけの存在。
誰もが魔力を有する中。魔力を有しない落ちこぼれ。劣等生。
パクリ
ならば、草を食べてでも。
這い上がらねばならない。
パクリ
持たざる者が成り上がるには。
泥水をすすってでも前へ進まねばならない。
パクリ
暴飲暴食。
その副次効果として、何を食べようが決して腹下りする事はないという。
どれが薬草か分からないなら。
精霊アイで鑑定できないなら。
手当たり次第に食べるだけだ。
パクリ
────────────────────────────────────
獲得スキル
光合成 :F(NEW)
────────────────────────────────────
雑草を。木の葉を手あたり次第、口に放り込み続ける俺の脳内に電流が走る。
スキルの習得。相手がモンスターじゃなくとも良いのか……
そこにいち早く気づくとはな……やはり俺は天才でしかない。
光合成。
植物が光を浴びて水をどうとか二酸化炭素がこうとか。
詳しい事は知らないが、とにかく日光を浴びると植物は成長する。
という事は──
俺は身を潜める藪から顔を出す。
照り付ける太陽。
朝方に村を出たのだから、時刻はお昼過ぎか?
太陽が最も強い光を発する時間帯。
山中。木々に囲まれた薄暗い中でも、十分な光が辺りに満ちていた。
────────────────────────────────────
体力:100(160)
魔力:5 (25)
────────────────────────────────────
身体に活力がみなぎるのを感じる。
光を浴びて、俺の体力が回復していく。
脳内が澄み渡っていくのを感じる。
光を浴びて、俺の魔力が回復していく。
これが光合成。
自然の力。大自然の驚異。
いかに文明が、化学が発達しようとも。
大自然の前には、カスのようなものでしかないという。
そして今。
俺は大自然の力。その一端を手に入れたのだ。
モンスター。凶暴な猛獣。
それがどうしたという?
奴らとて自然から生まれた生物の1つにすぎない。
対する俺は大自然そのもの。
自然の力を自在に操る魔法使い。
風水導師となったのだ。
たかがモンスター如き。恐れる必要など何もない。
いや……そんなわけがないだろう。
体力魔力がチョビチョビ回復する程度で、どう猛獣と渡り合うのか?
一撃で食い殺されては、おしまいである。
危ない危ない。
ここで調子に乗っては、先ほどの二の舞。
天才軍師は同じ過ちを繰り返さないもの。
とりあえず、体力魔力の全回復まで大人しくしておくとしよう。
しかし、俺の怪我もシャレにならないものがある。
たかが猛獣ごときに左腕を食べられるなど。
たかが田舎のイモ臭いモンスターと侮ったのが間違い。
人の手の入らない辺境の地。
文明の根付かない場所にこそ、凶悪なモンスターが巣くうもの。
気を引き締めねばならない。
危うく死ぬところであったのだから。
本気でかからねばならない。
俺は一人ではない。守るべき者があるのだから。
それでも撃退に成功するのが、天才が天才たるゆえん。
倒れたサーベルキャットマンからザクザク魔石を取り出し、手早くその場を離れる。
死体から溢れる血の匂い。
匂いを嗅ぎつけた他のモンスターが、じきにやって来る。
当然。やって来るモンスターは、俺の手に余る猛獣ども。
ここはいち早く村まで戻り、一度態勢を整えたい所だが……
やっかいな事に、俺は山の奥深くまで入り込んでいた。
獲物を探して奥まで入りすぎたのだ。
ここまでの道中、襲われなかったのは、ただ運が良かっただけ。
タートス村まで戻るには、猛獣の徘徊する山を抜けねばならないという。
「ギャオーン!」
「ギャルルー!」
背後で。サーベルキャットマンの死体の辺りで音がする。
血の匂いに引き寄せられた猛獣どもが、死体を漁っているのだろう。
俺は手早く樹木の足元。
藪の中へと身を潜めた。
回収した貴族御用達服でもって血を拭いとる。
引き裂かれた左腕。
患部からの出血は既に止まっている。
さすがは体力自動回復。
これもシルフィア様のおかげ。
そうでなければ、俺は出血多量で死んでいた。
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名前:マサキ+シルフィア
体力:60(160)20UP
魔力:0 (25) 10UP
契約スキル
精霊アイ :F
精霊ボックス:F
魔法スキル
光魔法: F
風魔法: E
水魔法: E
物理スキル
ひっかき : B
かみつき : A
たいあたり: A
パンチ : A
体力自動回復:C
特殊スキル
暴飲暴食
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大怪我からの回復で、体力のMAXが20。
魔石の摂取で、魔力のMAXが10増えていた。
しかし、新たなスキルは習得できていない。
いくら手強いモンスターを退治。食しても。
習得済みのスキルしか有していないのなら意味は無い。
俺が食するべきは、未知のスキルを有したモンスター。
精霊アイ。鑑定眼の熟練度が上がれば、狙って退治できるのだがな……
現在の魔力は0で、怪我も治り切ってはいない。
敵の包囲を脱するためにも。
まずは、魔力の回復。体力の回復を優先する。
「うにゅ……」
だが、シルフィア様は魔石を手にして渋い顔。
それはそうだ。
俺の怪我を治すため。
その小さな身体で、すでに魔石を1個完食している。
いくら魔力を回復させるためとはいえ、そうポンポンとは食べられない。
魔力は時間経過でも回復する。
およそ1日。24時間の経過で失った魔力は全回復するという。
血の染み付いた服を再び精霊ボックスへ。
これで血の匂いから俺を辿るのは難しくなったはずだ。
しばらくこの藪の中でゆっくり身体を休めるとしよう。
ちびちび魔石を舐めるシルフィア様。
お腹がいっぱいにも関わらず、何とか魔力を回復させようとしているのだろう。
頑張るシルフィア様を、ただ見ている事しかできないとは……
いや。俺にも出来る事はあるはずだ。
───シルフィア様情報───
薬草。
森には、怪我を癒す薬効成分を有した植物が生息しています。
食べる。患部に貼り付ける事で、小さな怪我なら即座に治療できます。
人間の街に持ち込めば、お金に替える事も出来ますので、覚えておきなさい。
──────────────
薬草。
辺りに生い茂る植物のうち。
いったいどれが薬草なのか?
森に居た頃の俺は、治療魔法。
光魔法が使えたため、薬草など気にする必要はなかった。
草を食べる、草で怪我を治療するなど。
そのような野蛮な行いは庶民に任せておけば良いと。
だが、今の俺は庶民以下の存在。
ただ、シルフィア様の契約と魔力で力を得ていただけの存在。
誰もが魔力を有する中。魔力を有しない落ちこぼれ。劣等生。
パクリ
ならば、草を食べてでも。
這い上がらねばならない。
パクリ
持たざる者が成り上がるには。
泥水をすすってでも前へ進まねばならない。
パクリ
暴飲暴食。
その副次効果として、何を食べようが決して腹下りする事はないという。
どれが薬草か分からないなら。
精霊アイで鑑定できないなら。
手当たり次第に食べるだけだ。
パクリ
────────────────────────────────────
獲得スキル
光合成 :F(NEW)
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雑草を。木の葉を手あたり次第、口に放り込み続ける俺の脳内に電流が走る。
スキルの習得。相手がモンスターじゃなくとも良いのか……
そこにいち早く気づくとはな……やはり俺は天才でしかない。
光合成。
植物が光を浴びて水をどうとか二酸化炭素がこうとか。
詳しい事は知らないが、とにかく日光を浴びると植物は成長する。
という事は──
俺は身を潜める藪から顔を出す。
照り付ける太陽。
朝方に村を出たのだから、時刻はお昼過ぎか?
太陽が最も強い光を発する時間帯。
山中。木々に囲まれた薄暗い中でも、十分な光が辺りに満ちていた。
────────────────────────────────────
体力:100(160)
魔力:5 (25)
────────────────────────────────────
身体に活力がみなぎるのを感じる。
光を浴びて、俺の体力が回復していく。
脳内が澄み渡っていくのを感じる。
光を浴びて、俺の魔力が回復していく。
これが光合成。
自然の力。大自然の驚異。
いかに文明が、化学が発達しようとも。
大自然の前には、カスのようなものでしかないという。
そして今。
俺は大自然の力。その一端を手に入れたのだ。
モンスター。凶暴な猛獣。
それがどうしたという?
奴らとて自然から生まれた生物の1つにすぎない。
対する俺は大自然そのもの。
自然の力を自在に操る魔法使い。
風水導師となったのだ。
たかがモンスター如き。恐れる必要など何もない。
いや……そんなわけがないだろう。
体力魔力がチョビチョビ回復する程度で、どう猛獣と渡り合うのか?
一撃で食い殺されては、おしまいである。
危ない危ない。
ここで調子に乗っては、先ほどの二の舞。
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