284 / 292
第2章
第十一話 ~詩織との二回目のデート~ ③
しおりを挟む
第十一話 ~詩織との二回目のデート~ ③
電車から降りた俺と詩織は手を繋いで駅の中を歩く。
そして、改札口を出たところで目の前にはオシャレなカフェが見えた。
「あれが話をしていたカフェなんだ。落ち着いた雰囲気でコーヒーやスコーンが美味しいと評判なんだ」
「そうなんですね。実は私、コーヒーが好きなんですよ」
彼女がコーヒーを好きと言う話は、実は斉藤さんから話を得ていた。
詩織と仲良くなって色々話す中で知り得た情報らしい。
「斉藤さんからその話を聞いてね、詩織が好きそうな店を探していたんだよね」
「そう言えば、彩さんにお話した記憶がありますね。悠斗くんと彩さんは結構仲が良いと聞いてますが?」
少しだけ探るような彼女の視線。
斉藤さんに対しては『異性の友人』という感情しか持ってない。以上でも以下でもないからな。
石崎が彼女に対して恋慕をしているみたいだけど。
俺から彼女に対しては特に無いかな。
「一年の時から良く話はしてたかな。だけど異性の友人という感情しか彼女には持ってないよ」
「ふふふ。そうですか。彩さんにまで手を伸ばしていたら、流石の私も少し怒っていましたよ?」
「あはは。彼女に対しては俺よりも石崎の方が感情を向けてると思うよ。何回か相談も受けてるしね」
「あら、そうなんですね。では彩さんが石崎くんの告白に前向きな姿勢を見せてるのは悠斗くんのお陰だったのかもしれませんね」
詩織の言葉に俺は少しだけ驚いた。
体育祭の時に告白するとは言ってたけどな。
どうやら斉藤さんは前向きに考えてくれてるみたいなんだな。
「へぇ、そうなんだ。その話を詩織は斉藤さんから聞いてたんだね」
「はい。昨日悠斗くんとのデートの相談をしていた時に、彼女からお話がありましたから」
そんな話が出来るくらいに、詩織は斉藤さんと仲が良くなってるんだな。
親友。と言ってもいいのかもしれないな。
「詩織に親友が出来たこと。俺は凄く嬉しく思うよ」
「ありがとうございます。きっかけは少しアレでしたけど、私にとってはとても大切な人を手にすることが出来ました」
そう言ってふわりと笑う詩織。
彼女からそんな表情を引き出した斉藤さんに、俺は少しだけ嫉妬の感情を覚えた。
ははは……全く。俺はどうしようもない人間だな。
なんて思いながら、俺たちはカフェの扉を開ける。
この店は九時から開店しているので問題は無い。
すると、奥から一名の店員さんがやって来る。
『お待たせしました。二名様ですか?』
「はい、そうです」
開店して直ぐに行く予定だったので予約とかはしていない。
人気店ではあるが、この時間はお客も少ないし静かに過ごせるだろう。
『ではご案内します、こちらへどうぞ』
「ありがとうございます」
俺と詩織は店員さんに案内された席に座る。
メニューを開いて中を見ていると、水が届けられる。
その水を一口飲んでから詩織に声をかける。
「実はこの店はブレンドコーヒーにこだわってるみたいでね」
「そうなんですか。でしたらブレンドコーヒーを頼もうと思います」
「じゃあブレンドを二つ。あとはサンドイッチとスコーンを頼んで軽く朝ごはんとしようか」
「はい。賛成です」
俺は手元の呼び鈴を鳴らして店員さんを呼ぶ。
リーンと言う音が店内に鳴り響くと、先程の店員さんがやって来た。
『ご注文をどうぞ』
「ブレンドを二つにサンドイッチを二つ。あとはスコーンを二つ。以上でお願いします」
店員さんは手元のメモに注文を書きとめる。
『ご注文を確認します。ブレンドを二つ。サンドイッチを二つ。スコーンを二つ。以上で宜しいですか?』
「はい。大丈夫です」
『かしこまりました。少々お待ちください』
店員さんは一礼すると、俺たちの元を去っていった。
「ふふふ。悠斗くんの言うおすすめのブレンドコーヒーが楽しみですね」
「俺も見聞きした情報でしか知らなかったからね。とても楽しみではあるよ」
そんな話をしながら待っていると、ブレンドコーヒーが二つやって来た。
『お待たせしました。ブレンド二つになります。コーヒーのおかわりはサンドイッチとスコーンを頼んでいるお客様は100円で出来ますのでお気軽にお声掛けください』
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
俺と詩織は店員さんからコーヒーを受け取る。
そして、俺も詩織もブレンドの香りを楽しんだあと、ブラックの状態でコーヒーを飲む。
「まぁ……これは美味しいですね」
「そうだね。これは比率に拘ってるだけの事はあるね」
「サンドイッチとスコーンを頼んでいると、おかわりが安くなるのも嬉しいですね」
「そうなんだよね。だからプラネタリウムは焦らないで11時からのを考えているんだ」
俺はそう言うと、スマホにプラネタリウムのスケジュールを出す。
「11時から12時までの上映を楽しんだ後、館内の施設でお土産を選ぼうか。理由は昼の時間を少し外した方が人が少なくて待ち時間が少なく済むと思うから。そしたらイートインスペースで昼ごはんにしよう」
「はい。賛成です」
「その後はアクセサリーショップに行こうと思ってる」
「…………え?」
俺の言葉に、詩織が驚いたような表情を浮かべる。
「今日の記念にペアアクセサリーを買おうと思ってね。君が望むなら何でも買ってあげるよ。ペアリングでも構わない」
「ほ、本当ですか……」
「もちろん。お金の遠慮なんかいらないよ。今日はそう言うのは何も考えないと決めているからね」
俺がそう言うと、詩織は俺の手を両手で握ってきた。
「悠斗くん……大好きです……」
「ははは……俺も大好きだよ、詩織」
少しだけ瞳に涙を浮かべる詩織に、俺は微笑みながら愛を伝えてあげた。
電車から降りた俺と詩織は手を繋いで駅の中を歩く。
そして、改札口を出たところで目の前にはオシャレなカフェが見えた。
「あれが話をしていたカフェなんだ。落ち着いた雰囲気でコーヒーやスコーンが美味しいと評判なんだ」
「そうなんですね。実は私、コーヒーが好きなんですよ」
彼女がコーヒーを好きと言う話は、実は斉藤さんから話を得ていた。
詩織と仲良くなって色々話す中で知り得た情報らしい。
「斉藤さんからその話を聞いてね、詩織が好きそうな店を探していたんだよね」
「そう言えば、彩さんにお話した記憶がありますね。悠斗くんと彩さんは結構仲が良いと聞いてますが?」
少しだけ探るような彼女の視線。
斉藤さんに対しては『異性の友人』という感情しか持ってない。以上でも以下でもないからな。
石崎が彼女に対して恋慕をしているみたいだけど。
俺から彼女に対しては特に無いかな。
「一年の時から良く話はしてたかな。だけど異性の友人という感情しか彼女には持ってないよ」
「ふふふ。そうですか。彩さんにまで手を伸ばしていたら、流石の私も少し怒っていましたよ?」
「あはは。彼女に対しては俺よりも石崎の方が感情を向けてると思うよ。何回か相談も受けてるしね」
「あら、そうなんですね。では彩さんが石崎くんの告白に前向きな姿勢を見せてるのは悠斗くんのお陰だったのかもしれませんね」
詩織の言葉に俺は少しだけ驚いた。
体育祭の時に告白するとは言ってたけどな。
どうやら斉藤さんは前向きに考えてくれてるみたいなんだな。
「へぇ、そうなんだ。その話を詩織は斉藤さんから聞いてたんだね」
「はい。昨日悠斗くんとのデートの相談をしていた時に、彼女からお話がありましたから」
そんな話が出来るくらいに、詩織は斉藤さんと仲が良くなってるんだな。
親友。と言ってもいいのかもしれないな。
「詩織に親友が出来たこと。俺は凄く嬉しく思うよ」
「ありがとうございます。きっかけは少しアレでしたけど、私にとってはとても大切な人を手にすることが出来ました」
そう言ってふわりと笑う詩織。
彼女からそんな表情を引き出した斉藤さんに、俺は少しだけ嫉妬の感情を覚えた。
ははは……全く。俺はどうしようもない人間だな。
なんて思いながら、俺たちはカフェの扉を開ける。
この店は九時から開店しているので問題は無い。
すると、奥から一名の店員さんがやって来る。
『お待たせしました。二名様ですか?』
「はい、そうです」
開店して直ぐに行く予定だったので予約とかはしていない。
人気店ではあるが、この時間はお客も少ないし静かに過ごせるだろう。
『ではご案内します、こちらへどうぞ』
「ありがとうございます」
俺と詩織は店員さんに案内された席に座る。
メニューを開いて中を見ていると、水が届けられる。
その水を一口飲んでから詩織に声をかける。
「実はこの店はブレンドコーヒーにこだわってるみたいでね」
「そうなんですか。でしたらブレンドコーヒーを頼もうと思います」
「じゃあブレンドを二つ。あとはサンドイッチとスコーンを頼んで軽く朝ごはんとしようか」
「はい。賛成です」
俺は手元の呼び鈴を鳴らして店員さんを呼ぶ。
リーンと言う音が店内に鳴り響くと、先程の店員さんがやって来た。
『ご注文をどうぞ』
「ブレンドを二つにサンドイッチを二つ。あとはスコーンを二つ。以上でお願いします」
店員さんは手元のメモに注文を書きとめる。
『ご注文を確認します。ブレンドを二つ。サンドイッチを二つ。スコーンを二つ。以上で宜しいですか?』
「はい。大丈夫です」
『かしこまりました。少々お待ちください』
店員さんは一礼すると、俺たちの元を去っていった。
「ふふふ。悠斗くんの言うおすすめのブレンドコーヒーが楽しみですね」
「俺も見聞きした情報でしか知らなかったからね。とても楽しみではあるよ」
そんな話をしながら待っていると、ブレンドコーヒーが二つやって来た。
『お待たせしました。ブレンド二つになります。コーヒーのおかわりはサンドイッチとスコーンを頼んでいるお客様は100円で出来ますのでお気軽にお声掛けください』
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
俺と詩織は店員さんからコーヒーを受け取る。
そして、俺も詩織もブレンドの香りを楽しんだあと、ブラックの状態でコーヒーを飲む。
「まぁ……これは美味しいですね」
「そうだね。これは比率に拘ってるだけの事はあるね」
「サンドイッチとスコーンを頼んでいると、おかわりが安くなるのも嬉しいですね」
「そうなんだよね。だからプラネタリウムは焦らないで11時からのを考えているんだ」
俺はそう言うと、スマホにプラネタリウムのスケジュールを出す。
「11時から12時までの上映を楽しんだ後、館内の施設でお土産を選ぼうか。理由は昼の時間を少し外した方が人が少なくて待ち時間が少なく済むと思うから。そしたらイートインスペースで昼ごはんにしよう」
「はい。賛成です」
「その後はアクセサリーショップに行こうと思ってる」
「…………え?」
俺の言葉に、詩織が驚いたような表情を浮かべる。
「今日の記念にペアアクセサリーを買おうと思ってね。君が望むなら何でも買ってあげるよ。ペアリングでも構わない」
「ほ、本当ですか……」
「もちろん。お金の遠慮なんかいらないよ。今日はそう言うのは何も考えないと決めているからね」
俺がそう言うと、詩織は俺の手を両手で握ってきた。
「悠斗くん……大好きです……」
「ははは……俺も大好きだよ、詩織」
少しだけ瞳に涙を浮かべる詩織に、俺は微笑みながら愛を伝えてあげた。
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説


十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。
十分以上に勝算がある。と思っていたが、
「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」
と完膚なきまでに振られた俺。
失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。
彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。
そして、
「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」
と、告白をされ、抱きしめられる。
突然の出来事に困惑する俺。
そんな俺を追撃するように、
「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」
「………………凛音、なんでここに」
その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。

腹ぺこお嬢様の飯使い ~隣の部屋のお嬢様にご飯を振舞ったら懐かれた件~
味のないお茶
恋愛
「お腹が空きました。何か食べさせてください」
春休みの最終日。俺、海野凛太郎(うみのりんたろう)の部屋に同年代くらいの一人の女が腹を空かせてやって来た。
そいつの名前は美凪優花(みなぎゆうか)
今日。マンションの隣の部屋に母親と一緒に引っ越して来た奴だった。
「なんで初対面の人間に飯を振る舞わなきゃなんねぇんだよ?」
そう言う俺に、
「先程お母さんに言ったそうですね。『何か困り事があったら言ってください。隣人同士、助け合いで行きましょう』と」
と笑顔で言い返して来た。
「まさか、その言葉を言って数時間でこんな事になるとは思いもしなかったわ……」
「ふふーん。こんな美少女にご飯を振る舞えるのです。光栄に思ってくださ……」
パタン
俺は玄関の扉を閉めた。
すると直ぐに
バンバンバン!!!!
と扉を叩く音
『ごめんなさい!!嘘です!!お腹ぺこぺこなんです!!助けてください!!隣人さん!!』
そんな声が扉を突きぬけて聞こえて来る。
はぁ……勘弁してくれよ……
近所の人に誤解されるだろ……
俺はため息をつきながら玄関を開ける。
そう。これが俺と彼女のファーストコンタクト。
腹ぺこお嬢様の飯使いになった瞬間だった。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる