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第2章
第十一話 ~詩織さんとの二回目のデート~ ①
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第十一話 ~詩織さんとの二回目のデート~ ①
朝。俺は洗面所の前で身だしなみを『かなりの本気で』整えていた。
体育祭を終え、星くんの恋愛相談にも一区切りをつけ、俺には本当の意味で日常が戻ってきた。
あとは再来週に控える中間テスト。
これまで学年首席を一年間守ってきた黒瀬詩織との本気の勝負。
今年こそは万年二位を返上し、首席を彼女から奪い取ってやる。
そんな意気込みで勉強にも打ち込んできていた。
しかし、今日はそんな殺伐としたものは全て忘れよう。
学園……日本……いや、世界でも屈指の美少女とのデートだ。楽しまなければ損と言うものだろう。
詩織さんからは『今日は悠斗くんの心を少しだけください』と言う話をされている。
まぁ、『少しくらいなら』構わないとは思う。
黒瀬詩織にはそのくらいの感情は持っている。
『一番大切な女性』
『彼女』では無いが、詩織さんに対しては他の女性とは一線を駕すレベルで俺は思慕を抱いている。
正直な話。藤崎朱里と出会っていなければ、詩織さんと人生を共にしていた。その位の人だ。
だが、俺には『一番』の『彼女』である藤崎朱里が居る。
黒瀬詩織とは彼女になり、結婚して家族になることは出来ない。でも彼女や妻にすることは『彼女から求められれば』全て与えるつもりだ。
そんな俺の『どうしようも無い覚悟』を藤崎朱里は容認してくれている。
本当に、俺は彼女には頭が上がらない。
そんなことを思いながら、最後に俺は『あの時買った丸眼鏡』をかける。
「よし。完璧かな」
鏡に映った自分の姿を見て、俺はとりあえずは黒瀬詩織の隣を歩いても許されるレベルの容姿に出来たと思えた。
生半可なレベルでは、彼女の隣に立つことは許されない。
詩織さんに恥をかかせる訳にはいかないからな。
「はぁ……おはようございますお兄さん。本日は『側室』とのデートですか?」
「あはは……おはよう、雫。そうだね、今日は詩織さんとのデートだよ」
俺は後ろからやって来た雫に、朝の挨拶をする。
いつもは『おにぃ』なのに、今日は『お兄さん』と呼んでいる。しかも敬語だ。
壁を感じる……
まぁ、仕方ないよな。雫からしてみれば、自分の兄がこの上なく不道徳なことをしてるわけだから。
しかも、来年は同じ高校に来るって話だし。
「まぁ良いよ。朱里ちゃんとは『差』をつけてるわけだし。それに、おにぃ達の関係に口を出したら、火傷じゃ済まないのは目に見えてる。好きにしたら?」
「あはは……」
「今日はなんのご飯も用意しないから。朝も昼も夜も自分でなんとかしてきてね?」
「わかった」
つまり、今日は帰ってこなくても構わないから。
そういう意味だ。
「じゃあ、側室とのデートを楽しんできてね」
「あぁ、行ってくるよ」
俺は雫にそう言うと、カバンを手にして玄関へと向かう。
中にはデートに必要なものが一式入っている。
お財布にはそれなりのお金も入れてある。
ソシャゲは引退したからお金は貯まってきた。
夏休みは朱里と旅行に行くつもりだけど、今日はある程度は散財するつもりだ。
俺は玄関で靴を履いて扉を開ける。
「うん。絶好のデート日和だな」
梅雨も開け、夏の気配が少しずつ漂ってきた。
俺は白いTシャツに無地のジーパン。
首にはチョーカーをつけている。
筋トレは続けている。こういうラフな格好も似合うレベルの体型にはなってきていると、自信がついてきた。
「さて、行くか」
俺は愛車のポチに跨ると、詩織さんとの待ち合わせ場所の駅へと向かって走らせた。
朝。俺は洗面所の前で身だしなみを『かなりの本気で』整えていた。
体育祭を終え、星くんの恋愛相談にも一区切りをつけ、俺には本当の意味で日常が戻ってきた。
あとは再来週に控える中間テスト。
これまで学年首席を一年間守ってきた黒瀬詩織との本気の勝負。
今年こそは万年二位を返上し、首席を彼女から奪い取ってやる。
そんな意気込みで勉強にも打ち込んできていた。
しかし、今日はそんな殺伐としたものは全て忘れよう。
学園……日本……いや、世界でも屈指の美少女とのデートだ。楽しまなければ損と言うものだろう。
詩織さんからは『今日は悠斗くんの心を少しだけください』と言う話をされている。
まぁ、『少しくらいなら』構わないとは思う。
黒瀬詩織にはそのくらいの感情は持っている。
『一番大切な女性』
『彼女』では無いが、詩織さんに対しては他の女性とは一線を駕すレベルで俺は思慕を抱いている。
正直な話。藤崎朱里と出会っていなければ、詩織さんと人生を共にしていた。その位の人だ。
だが、俺には『一番』の『彼女』である藤崎朱里が居る。
黒瀬詩織とは彼女になり、結婚して家族になることは出来ない。でも彼女や妻にすることは『彼女から求められれば』全て与えるつもりだ。
そんな俺の『どうしようも無い覚悟』を藤崎朱里は容認してくれている。
本当に、俺は彼女には頭が上がらない。
そんなことを思いながら、最後に俺は『あの時買った丸眼鏡』をかける。
「よし。完璧かな」
鏡に映った自分の姿を見て、俺はとりあえずは黒瀬詩織の隣を歩いても許されるレベルの容姿に出来たと思えた。
生半可なレベルでは、彼女の隣に立つことは許されない。
詩織さんに恥をかかせる訳にはいかないからな。
「はぁ……おはようございますお兄さん。本日は『側室』とのデートですか?」
「あはは……おはよう、雫。そうだね、今日は詩織さんとのデートだよ」
俺は後ろからやって来た雫に、朝の挨拶をする。
いつもは『おにぃ』なのに、今日は『お兄さん』と呼んでいる。しかも敬語だ。
壁を感じる……
まぁ、仕方ないよな。雫からしてみれば、自分の兄がこの上なく不道徳なことをしてるわけだから。
しかも、来年は同じ高校に来るって話だし。
「まぁ良いよ。朱里ちゃんとは『差』をつけてるわけだし。それに、おにぃ達の関係に口を出したら、火傷じゃ済まないのは目に見えてる。好きにしたら?」
「あはは……」
「今日はなんのご飯も用意しないから。朝も昼も夜も自分でなんとかしてきてね?」
「わかった」
つまり、今日は帰ってこなくても構わないから。
そういう意味だ。
「じゃあ、側室とのデートを楽しんできてね」
「あぁ、行ってくるよ」
俺は雫にそう言うと、カバンを手にして玄関へと向かう。
中にはデートに必要なものが一式入っている。
お財布にはそれなりのお金も入れてある。
ソシャゲは引退したからお金は貯まってきた。
夏休みは朱里と旅行に行くつもりだけど、今日はある程度は散財するつもりだ。
俺は玄関で靴を履いて扉を開ける。
「うん。絶好のデート日和だな」
梅雨も開け、夏の気配が少しずつ漂ってきた。
俺は白いTシャツに無地のジーパン。
首にはチョーカーをつけている。
筋トレは続けている。こういうラフな格好も似合うレベルの体型にはなってきていると、自信がついてきた。
「さて、行くか」
俺は愛車のポチに跨ると、詩織さんとの待ち合わせ場所の駅へと向かって走らせた。
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